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『サッカークリニック2013年6月号』‐シュートセンスを磨こう!


『サッカークリニック2013年5月号』を読んだ。今回のテーマは「シュートセンスを磨こう!」である。以前の日本代表、日本人選手は決定力不足と嘆かれていたが、現在はどうだろうか?2013年5月25日時点でJリーグの得点ランキング上位はほぼ日本人が占めている。かつては外国人選手が得点王ランキングを独占していた時代もあったが、徐々に時代は変わりつつあるのかもしれない。下記内容を引用する。


・サッカーは瞬発的なパワーを必要とするスポーツなので、その源となる速筋繊維が選手には求められます。にもかかわらず、罰走として緩慢なランニングを科すことで速筋繊維よりも遅筋繊維が優勢になってしまうかもしれません。

・仮に、「右サイドバックにオーバーラップを頻繁にしてほしい」とします。そこで「右サイドバックの選手だけを集めて30から50mのスプリントを課す」というアイディアは最悪だと思います。指導者がすべきなのは、ゲーム形式のトレーニングの中で、右サイドバックの選手に対して頻繁にオーバーラップするように要求することです。

・「選手は知らない」というところから始まっていた指導が「選手は知っているからそれを引き出してあげる」となったのです。

・イヴィチャ・オシム(元日本代表監督)が以前、小さいうちから相手がいるトレーニングをして、ゲームをたくさんやっていくと、いろいろなものが磨かれていく、と話していました。

・子供のころの思い出を忘れてはいけません。誰もがゴールを決めたくてフィールドに向かったはずです。「いつか決めたゴール、そのボールの軌道」が記憶に残り、そういう映像や記憶こそがモチベーションになるのです。

・私たちは練習に参加している人数よりも3,4割増しのボールを用意します。20人の選手がいればボールは30個くらいとなります。練習のオーガナイズ以外にも、目の前にボールがあれば子供はそれを蹴るものです。そういう本能を引き出してあげたいと思ってボールを多く用意しています。

・守備をしなければならない場面で2人のアウトサイドが下がり、その結果、陣形が「5-3-2」になったとして、それのどこがいけないというのだ。

・スペインでは選手の練習態度を改善させる際に、態度に対する直接的な指導を行うよりも、「規律が乱れない練習」を行うことが優先されます。逆に言えば、規律を乱す選手がいた場合、その選手ではなく、選手を規律ある状態に置けないコーチが批判されるのです。

・チームの規律を支える3大要素
①コーチと選手の人間関係
②練習法の質と魅力
③試合結果と選手の出場時間

・規律ある練習を構成する要素
①プレーモデルの反映
②練習のテンポ
③試合と共通する状況
④感情のコントロール
⑤チーム内の競争


私自身、選手時代はMFでプレーすることが多かったため、ゴールを決めたこともたくさんあった。印象的なゴールは今でも覚えているし、そのイメージこそが「次もゴールを決めたい!もっと上手くなりたい!」というモチベーションにつながっていた。やはりボールがゴールのネットを揺らした瞬間、そのイメージは子供たちに多大な影響を与える。そういう意味でもシュート練習は定期的に練習メニューに入れたほうが良いのかもしれない。


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テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

ウォーミングアップは子供たちに任せる!?

「子供たちに自立して行動してもらいたい」

このように思っている指導者は多いだろう。子供たちが自分たちで考え、主体的に行動することを求めている指導者はたくさんいる。これはスポーツの世界だけではなくビジネスにおいてもそうである。管理職は部下が自分の指示の元動くだけではなく、部下が自分で考え主体的に行動する姿を求めている。

ただ小学生を教えているとわかると思うが、現実と理想のギャップは意外と大きい。もちろん子供たち一人一人によって異なる部分はあるが、指導者が指示を出さないと何も出来ない子供もたくさんいる。これはある程度仕方がない部分もある。子供たちそれぞれサッカーに対するモチベーションも異なるし、家庭での教育方針なども異なる。特に小学生低学年においてそこまで求めるのは酷だろう。

しかし小学生高学年になるにつれて、子供たちが自立的に行動できるような仕掛けも必要になってくる。特に中学生になると、指導者が不足していて自分たちで何もかもやらなくてはならないようなチームに入る可能性もある。何でも指導者の指示待ちになるのではなく、自分たちで考えて行動することがどんどん求められてくる。小学生を教えている指導者も、子供たちが徐々に主体的に行動できるようになるような仕掛けを考えなくてはならない。

もちろん最初から全て自分たちでやらせようとすると失敗する。まずは簡単なことからやらせてみて、徐々にその割合を増やしていくと良い。例えば簡単なのはウォーミングアップをまずは自分たちでやらせてみることである。おそらく多くのチームは練習が始まる前にグラウンドの周りを走って、そのあとストレッチにうつるだろう。私が教えているチームではこの部分を子供たちに任せている。

子供たちに伝えていることは下記3つのみである。

①練習開始の10分前から自分たちでストレッチを始めること
②ストレッチを始める前に各自グラウンドを10周走っておくこと
③ストレッチが終わったら練習開始までリフティングをすること

基本的にこの部分に指導者が関わることはない。キャプテン/副キャプテン中心に子供たちだけでやらせている。もちろんこの部分をサボったりふざけている子がいたら後から注意するが、ストレッチ開始の指示などは指導者から出すことはない。また、練習に来る時間もそれぞれの子供たちに任せている。子供たちによってグラウンドを走る時間は異なるため、ストレッチ開始時間に間に合うようにしてくれればそれで問題ない。

これぐらいの話であれば子供たち自身で十分可能である。また、クールダウンも同じように子供たちに任せても良い。さすがに練習一つ一つを子供たちだけでやらせるのは難しいが、それ以外の部分で子供たちに任せても良い部分を探すことは難しくない。もちろん全てを指導者が管理、監視するのも一つの指導方法かもしれないが、それだけだとただの指示待ち人間が増えることになる。

子供たちは自分で考えて行動したことで失敗すると、その後自分で考えるようになる。しかし指導者から指示されたことで失敗すると、それを指導者のせいにする。どちらが将来伸びるかは明白だろう。良い上司は「部下の失敗を願っている」というが、これはまず部下に考えさせ自分たちでやらせることが前提である。そのためには上司や指導者が途中で口を出さないという我慢が必要になってくる。子供たちを教えている指導者もこれと同じではないだろうか。

ショートカウンターを採用するチームは小学生年代に原点回帰している!?


現代サッカーにおいてはショートカウンターというものが流行っている。通常のカウンターはボールを奪う位置が自陣のことが多いが、ショートカウンターでは相手陣地でボールをカットしてカウンターに持ち込む。特に前線からのプレスを得意とするチームがショートカウンターを採用することが多い。

ショートカウンターではボールを奪ってから数秒以内にゴール前まで攻めきることを目的としている。攻撃に関わる人数も3,4人で一気にシュートまで持ち込む。その間はドリブル、縦パスが中心で、横パスやバックパスを使うことは少ない。あくまでもゴールまで一直線というイメージである。

従来のカウンターはゴール前にブロックを敷いて、そこでボールを奪った後に攻撃を始める。しかしボール奪取位置が低いため、ドリブルやショートパスよりも、ロングパスが中心になることが多い。よってカウンターを成功させるためには、攻撃力のずば抜けているFWがいることが前提となる。特に元浦和レッズのエメルソンのように、スピードのあるドリブルができるFWがいなければ、カウンターは成功しない可能性が高い。

しかしショートカウンターにおいてはそこまでずば抜けた能力を持ったFWがいなくても良い。ボール奪取位置が高いため、数人でショートパスを数本つなぐことができればボール前まで持ち込むことができる。逆にデメリットとしては、前線からのプレスが必要になるため運動量が求められる点である。ショートカウンターを採用するチームは、90分運動量が持つかどうかが重要なポイントになる。

少し前まではゴール前にブロックを敷いて、前線からのプレスはハーフエイライン前後からというチームが多くなった。モウリーニョがチェルシーやインテルで採用した戦術が世界全体に浸透したためである。現在でもマンチェスターUなど強豪チームはこの戦術を採用することが多い。ゴール前まで押し込まれてもフィジカル能力の高いCBが跳ね返すことができるからである。

しかし近年前線からのプレス+ショートカウンターを採用するチームが出てきている。その典型がドルトムントだろう。クロップ監督率いるドルトムントは、前線からのプレスを積極的にしかけ、ショートカウンターで攻めきることを重視している。ドルトムントの前線はレヴァンドフスキやゲッツェなどスピードがある選手がいるわけではない(以前は香川がトップ下である)。高さや運動量が多い選手を前線に起用して、複数人のコンビネーションでゴール前までボールを運ぶ。

Jリーグであればサガン鳥栖がこのショートカウンターを採用している。前線はご存じのとおり高さのある豊田で、中盤も水沼や金、清武弟など運動量が多くショートパスが得意な選手を起用している。まさにショートカウンターの典型的なチームだと思う。サガン鳥栖がJ2から上がってすぐに上位進出できているのも、このショートカウンターサッカーをいち早く取り入れている点が大きいだろう。

実は、小学生年代までのサッカーにおいてもこのショートカウンターが戦術の基本になる。というのもポゼッションで相手を崩せるほどの技術はなく、またロングキックが蹴れるほどのキック力もないからである。必然的に前線からプレスをかけて、こぼれ球を拾って一気にゴール前までという戦い方をするチームが多い。逆に言えばショートカウンターを採用するプロチームは、小学生年代の戦術に戻ったということも言えるかもしれない。このように戦術が原点回帰するというのもサッカーの面白い部分ではないだろうか。

テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

『サッカークリニック2013年5月号』‐価値あるパスを出そう!


『サッカークリニック2013年5月号』を読んだ。今回のテーマは「価値あるパスを出そう!である。先日のバイエルン・ミュンヘンの試合を見ていたが、やはりJリーグと違うのはパススピードである。インサイドキックのパススピードがが早いため、サイドチェンジや縦パスを数本入れるだけでもディフェンスのバランスを崩すことができる。センターバックのパスでさえも、パススピードが早く、また2タッチで次の選手ににパスを出している。これは意識で変えられる問題なので、普段の練習から取り組む必要があるだろう。以下内容を引用する。


・私は選手を前にしたとき、相手がアマチュアだろうが、プロだろうが、監督にありがちな仮面を取り払ってありのままに自分をさらけ出して接するように努めている。思ったこともはっきり言う。

・テクニック偏重になるのは、サッカーを必要以上に細分化して分析し、そこからトレーニングを組み立てているからだと思います。ただし、こういった現状が生み出す現象はテクニック偏重だけではありません。コンディショニングも細分化され、個別に行われる傾向にあります。

・多くの人が、「サッカーは流動的だ」と理解しているはずですが、どうして細分化するのでしょうか?
→まず、それが最も簡単な方法だからでしょう。そして「細分化しないとトレーニングできない」と考え、それが習慣化、常識化しているからだと思います。

・3つの指導メソッド
①ノルマ(条件)を設定する
指導者にとっては、選手に学習させたいコンセプトがトレーニングに現れるようにノルマ(条件)を設定することが大切です。選手たちは与えられたノルマのもと、トレーニングの中で正しい解決策(判断)を探す必要性に迫られます。

②選手に質問する
指導者は、選手に学習させたいプレー、コンセプトに選手がたどりつけるよう、いくつかの質問をします。

③プレーを理解させる
指導者にとっては、選手たちがプレーを通して発見した解決策に対して、「なぜ正しいのか」、その理由を証明することが大切です。選手たちは「なぜ」を理解することで、サッカーの基本を知ることとなります。

・基礎技術は子供が自身で説明できるくらいに、一つ一つ細かく砕いて教えて、その上でゲームにおいて自由にやらせてみて、また話をしてみる、という繰り返しのアプローチが必要だと思います。子供の時は、自由にやらせたほうがいいという意見もありますが、放っておくと軸がぶれて姿勢が悪くなり、周りが見えなくなることもあるでしょう。

・最近では空走りだけではなくミニゲームを行うことによってフィットネス効果を得るというトレーニングも一般的です。8体8から10対10では低強度、7対7から5対5は中強度、4対4から1対1は高強度になる傾向が有り、これはオランダを中心にシステム化され広まっていきました。

・チームのコンセプトや目標、試合に向けての狙いをシンプルな言葉で紙に書き出し、ロッカールームや着替えているスペースの選手の目に入りやすいところに掲示します。

・ゲーム中の情報伝達は、インプレー中にはプレーに集中させるために控え、ゲームが途切れたとき(セットプレー、スローイン、得失点後など)に、シンプルに(最大でも3フレーズ以内)行うように心がけています。


小学生年代だとなかなか試合中にパスが繋がらない傾向が強いと思う。指導者はそれが単なる技術の問題なのか、それともそれ以外に原因があるのかしっかりと分析する必要がある。意外とポジショニングを修正するだけでパスがつながるようになることもある。

例えば小学生低学年のように団子サッカーになっている状態で、いくらパスをつなげといったとしてもなかなか難しいだろう。それよりもまずは団子サッカーにならないようにポジショニングを修正してあげたほうが、パスがつながるようになるかもしれない。もちろんポジショニングの型にはめすぎるのは良くないかもしれないが、ある程度のルールを決めておくことで、子供たちもどこに味方がいるのかがわかりやすいと思う。

テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

CKの守備はマンツーマン?それともゾーン?


近年コーナーキックの守備の時にゾーンディフェンスを引くチームが増えている。以前は数人を除いてマンツーマンディフェンスが一般的だったが、プレミアリーグだけではなくJリーグでもゾーンディフェンスを引くチームが増えている。それぞれのメリット/デメリットは下記である。

■マンツーマン
・1対1でマークを付けば良いのでわかりやすい
・1対1が強い選手がいるチームは有利
・マークを外されるとフリーでシュートを打たれる
・育成年代においては1対1の強化になる
・シュートを打たれた際に責任の所在が明らかになる
・ゴール前にスペースが空いてしまうことがある

■ゾーンディフェンス
・あらかじめ決められた位置に立てばよいのでわかりやすい
・1対1ではなく数人対数人で守るイメージになる
・自分の近くにボールが来た時に触るイメージになる
・ディフェンスの間に良いボールが来た時にフリーでシュートを打たれる
・シュートを打たれた際に責任の所在がわかりにくい
・ゴール前のスペースを埋めることができる

おそらくあなたのチームではマンツーマンでのディフェンスを引いていることが多いだろう。これまでマンツーマンが一般的だったというのもあり、私自身CKのときにゾーンディフェンスを敷いているチームを見たことない。しかしここまでゾーンディフェンスが浸透してくると、ゾーンディフェンスを検討する余地があるだろう。

ただ、個人的には育成年代においてはマンツーマンの方が良いのではないかと思っている。やはり1対1での勝負で負けない選手を育てるためには、CKでの守備は良いトレーニングになる。育成年代からゾーンディフェンスで守っていると、誰の責任で点数を取られたのかが曖昧になるため、1対1での責任感が生まれなくなる。

子供は何か大きな失敗をした時に成長する。私自身CKでマークを外されて点数を取られたときのことは今でも覚えている。それだけショックだったというのもあるし、自分の責任で失点したのだと思ったのである。だからこそ「次こそはマークを外さないぞ!」「もっとあたりに強くなるぞ!」という気持ちが生まれる。

オシムやビエルサなどはディフェンスの際にマンツーマンをしくことが多いが、これはそれぞれの選手に責任感を持たせるためでもある。ジェフ千葉もアスレチック・ビルバオではマンツーマンディフェンスを引くことで、若手の育成にもつながっている。もちろん現代サッカーでは全てマンツーマンというのはなかなか難しいが、せめてCKなどのセットプレーはマンツーマンディフェンスを残しておくべきである。

サッカーの戦術は毎年変化し、指導者をそれについてくべき勉強する必要がある。しかしそれをそのまま自分のチームに踏襲するのではなく、チームの実力、年代、目的などはしっかりと吟味する必要があるだろう。CKの守備はその典型的な例ではないだろうか。

テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

横浜F・マリノス好調の理由‐中村俊輔はACミランのピルロである


横浜F・マリノスが好調である。昨日の試合(VSサンフレッチェ広島戦)も3-1で勝利し、開幕からの連勝を5に伸ばした。正直言って開幕前はここまで上がってくると思わなかったが、昨シーズンからの樋口監督の戦術がうまく浸透しているようである。先日のF東京戦を観戦したが、特にディフェンスについては規律が整っていて、全員で守備をする姿が見られた。

特に巷で話題になっているのがベテランの力である。平均年齢が30歳を超えるチームがここまで首位争いをするのは珍しい。中村俊輔、中澤、マルキーニョス、ドゥトラ、富澤などベテランの力がここまでの勝負強さを発揮している。特に中村俊輔、マルキーニョスなどは全盛期に近い動きをしている。

中村俊輔については今シーズン4-2-3-1のトップ下になったことで守備の負担が軽減されている。昨シーズンはサイドハーフに置かれることが多かったので、守備をする時間が長かったが、今シーズンはそこまで守備のことを考える必要がない。しかもセンターハーフは富澤、中町と運動量が多く守備に長けた選手が置かれているので、中村俊輔は攻撃に専念できる(といっても中村俊輔もある程度しっかりと守備はしている)。

これは一時期のACミランのピルロ状態である。アンチェロッティ時代のACミランは4-3-2-1のシステムで全盛期を築いた。ピルロは3の真ん中で、両サイドにはガットゥーゾ、セードルフなど運動量の多い選手をおいていた。ピルロに守備を求めるのはナンセンスなので、正直最初は3の真ん中にピルロを置くのは厳しいと思ったが、両サイドの二人がピルロの分を動くことによってそれをカバーしていた。

ピルロはもともとトップ下の選手である。しかし守備の厳しいセリエAにおいて、フィジカルの強くないピルロがトップ下で活躍するのは難しかった。よってアンチェロッティはピルロを1段下のボランチに置くことによって、相手のプレッシャーがかかりにくいポジションにおいた。プレッシャーがない状態でのピルロはまさに水を得た魚である。ショーロパス、ロングパスを組み合わせて、ゲームを作るのがピルロの役目となった。

現在のF・マリノスはまさにこのような状態である。中村俊輔はゲームの途中でしばしばボランチの位置まで下がってきてボールを受ける。これはまさにピルロがボールを受ける位置である。そして一度ボールを触ったあと前線まで駆け上がっていく。中村俊輔が下がったスペースにはサイドハーフやボランチが驚異的な運動量でカバーする。そして最後には驚異的な決定力を誇るマルキーニョスがいる。これがマリノスの攻撃パターンである。

正直いって現在のマリノスの攻撃は中村俊輔頼みである。しかしその中村俊輔を他のチームはなかなか止めることができない。ボランチの位置まで下がった中村俊輔をボランチが追っていくと、バイタルエリアが空いてしまう。逆に追っていかないと中村俊輔にゲームを作られる。まさにジレンマ状態である。

マリノスのディフェンスは中澤、栗原がセンターバックなので先制点を取れば守りきれる自信がある。セットプレー(これも中村俊輔の十八番である)でも何でも良いので先制点を取れれば、マリノスの勝利する確率はかなり高まる。そして後半途中からは斎藤学が出てきて、カウンターから1点を取ることもできる。まさに先制点を取ることができれば、マリノスのシナリオ通りになる。

私が観戦したF東京戦はF東京が先制点を取ったため、正直マリノスがひっくり返すのは厳しいと感じた。特に前半に関してはF東京のパスワークに押されている感があり(たださすがに最後のところはやらせていなかった)、後半逆転するとは思わなかった。だが、後半の途中まで1失点のまま進めることができ、中村俊輔のFKで同点に追いついてからは本来のマリノスの力を発揮していた。

懸念点は夏場の運動量低下と主力選手のケガだろう。特に中村俊輔が出られない状態になると、マリノスの攻撃パターンはほぼ消滅する。もしくはマルキーニョス、中澤などが欠けても同様にいまの勝ちパターンを維持するのは難しくなるだろう。暑くなってきて披露がピークに達してきた時に、どこまで現在の戦力を維持できるか、それが今シーズンマリノスが優勝できるかどうかに関わる。もちろんベテラン選手にとってはこんなこと釈迦に説法だと思うので、これからが楽しみである。

テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

なぜを伝える


なぜを伝える。現代の子供たちを指導するためには「なぜこのトレーニングをしなければならないのか?」「なぜ声を出さなくてはならないのか?」「走り込みをするとどんなメリットがあるのか?」などということをしっかりと伝えなければならない。

一昔前であれば「これをやっておけ!」「あれをやっておけ!」で子供たちは素直に従ってくれていた。というのも社内の中に「努力をして辛いことを我慢すれば何か良いことが将来待っている」というような、ある種のイデオロギーが存在したからである。しかし現代はそのようなイデオロギー(現代思想用語では「大きな物語」とも言う)が崩壊してしまっている。これは「努力しても成功するとは限らないし、辛いことを我慢しても必ずしもあとで楽しいことがあるとは限らない」ということを子供自身もなんとなく感じているからかもしれない(これは普段から大人の姿を見ているからだろう)。

もちろん実際のところは、努力すればある程度の成果は出るし、辛いことを我慢して取り組んだ時の達成感というものも存在する。ただ昔と違うのはメリットを明確に子供たちに伝えておかなければ、子供たちは動かない時代になっていることである。大人の命令だから子供たちは素直に従うだろうという考え方正直通用しなくなっている。

下記は企業内の話だが、これは小学生年代を指導していても感じられることである。

「「いやならいつでも辞めてやる」と思っている若者にとって、説明の付与されない、上司という立場をかさにきただけの指示はまったく従うに値しないわけです。一昔前であれば「理由なんか考えずまずやってみろ!」で通っていたところを、今は「なぜそれをする必要があるのか」「それをするとどんな利益がもたらされるのか」を明確に伝える必要があります。上司にとってはやって当たり前のことも、もう一度その理由をきちんと言語かする必要があるのです」(『コーチングが人を活かす』p119)

このような社会になっていることを嘆くのは簡単である。また、そのような子供たちを批判するのも簡単である。しかし時代によって子供たちが変わっていくのは当然のことであり、子供たちに責任はない(むしろそのような社会を作ったのは今の大人である)。そんな中、指導者や大人はその時代の子供たちにとってのBestな指導ができなければならない。

トレーニングを行う前はそのトレーニングのメリットをしっかりと伝えておこう。トレーニングのポイントは途中でゲームフリーズして伝えれば良いと思うが、メリットを初めに伝えておくときとおかないときとでは子供たちの取り組み方が全く違う。トレーニングの質をあげるために必要なのは「命令」ではなく「説明」である。

例えば「パス&ゴー」のトレーニングをする場合、メリットは「このトレーニングをすると将来バルセロナのような華麗なパス回しができるようになる」「ボール保持率が高くなって試合中疲れなくなる」などといったことが挙げられる。このメリットをトレーニングを始める前に一言伝えておくだけでも子供たちの取り組みは違ってくる。可能であれば、子供たちが試合中にうまくいっている姿をイメージできるような言葉をかけてあげるのが良いだろう。逆に「パスを正確に」「パスを出すときに名前を呼ぶ」「ワンタッチでパスを出しやすいところにコントロールする」などといったポイントは、トレーニング最中にフリーズして伝えればよい。特に集中力が切れそうなってきた時にポイントを伝えるのは有効である。

注意すべきなのはトレーニングの前の説明が長すぎると子供たちは飽きてしまうということである。いかにメリットを簡潔にテンポよく伝えられるかということも指導者には求められる。そのためには事前の準備が大切であり、トレーニングの前にはメリット、ポイントなどをノートなどにまとめておく必要があるだろう。

テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

『サッカークリニック2013年4月号』‐「記録」を育成に活かそう!

『サッカークリニック2013年4月号』を読んだ。今回のテーマは「記録」を育成に活かそう!である。おそらくサッカーの指導者をしている人の中にはサッカーノートを書いている人が多いだろう。驚くべきことに、現在は紙のノートだけではなく、iPadなどのタブレットを用いている人もいる。形式は変われど、指導の内容を記録に残しておくことは大事なことである。以下内容を引用する。


・トレーニングを効果的に行うための3つの要素
1.選手が実践に近い意識を持ってトレーニングに臨むこと
2.選手間の競争意識
3.時間の管理

・同じ大きさのグリッド、同じ設定で練習していると選手はその練習に慣れてしまう。「慣れ」に比例してその練習の効果は低くなる。それを避けるためには、グリッドのサイズ、人数、ゴール数、タッチ数などに変化を加え、選手が考えるように導くことが必要なのだ。

・ルーティーンの練習は気が緩んだり、「ただやる」という感じになってもおかしくありません。それを避けるためにもノートを活用し、選手の変化を見逃さないようにしています。同じメニューを繰り返しつつ、しかもマンネリにならないことが大事だと思います。

・基本は子供とのコミュニケーションのツールとしての活用なので、子供たちにはサッカーのことだけではなく、普段の自分の生活から学校でのこと、楽しかったこと、困ったことなど、特に4年生までは、自分の思ったことを何でも書いていいと言っています。

・試合に出ていなければ、MTMについてサッカーノートを書く事ができません。そこで、すべての選手を試合に出場させるようにしています。

・私は試合結果でトレーニング内容は変えない。シーズンを通じてチームが行うべき練習は私の頭の中にある。試合で結果が出ないこともある。しかしそれが、計画を変える理由にはならない。また、ミスにフォーますした練習を加えたりしない。行うと決めていた練習を維持し、チーム状態によって練習の比重を調整するだけだ。キャリアの初めからこの方針は変わっていない。

・少年サッカーの指導では、指導者は子供に好かれなければ駄目。でも子供に好かれるのは、難しい面もあります。ただ優しいというだけでは子供には好かれません。人間的な尊敬、子供に対する愛情などいろいろな要素が必要で、指導者はトータルの印象で見られます。そこには厳しさも必要なのです。

・行動を習慣化すると、うまくいったとき、うまくかなかったときの原因が探りやすくなるのです。物事が偶然に起きたのではなく、「そうなった理由」があることを理解し、気づきを得るためにも、行動を習慣化しています。

・4クオーター制では3クオーターまでは選手が負傷をしない限り、途中交代できない決まりになっています。ただし、それだけでは20分ハーフのゲームとはそれほど際は生まれないでしょう。4クオーター制の特徴は、・最終クオーターで初めて自由に選手交代ができる・第3クオーターまでにすべての選手を出場させなければいけないというルールにあります。

・イングランドのリバプール大学大学院に「MBA football Industrys」というサッカービジネスに特化したコースがあります。

・分析した情報を伝えて活用する3つのポイント
1.自分たちの言葉=指導者と選手がイメージを共有できる言葉で伝える
2.伝えるべき優先順位=確実に伝えたいことを取捨選択し、3項目以内にする
3.情報の具体化=全員が「どうすればいいか」わかるように表現する


4クオーター性については小学生サッカーには検討の余地があるだろう。現在小学生のサッカーは11人性から8人制になりつつあるが、その分出場できる子供たちの人数が減ってしまうという状況に陥っている。もともと8人制は一人一人のボールタッチ数を多くするということが目的だが、出場できる選手にとってはたしかにそうだが、出場できない子にとっては全く意味がない。むしろ8人制にとって出られなくなってしまった子にとっては弊害となっている。

この状態を脱却するためにはルールとしてこの4クオーター制のようなものを作るしかない。このようなルールがないと指導者は勝ちを目指し、特定の子供達しか試合に出さなくなる。指導者含め誰もが試合に勝ちたいと思うのは当たり前なので、指導者の立場からすればこの状態はある程度仕方がないだろう。しかしもし必ず全員を出さなければならないというルールがあれば、その中で勝ちを目指すことを指導者が目指すようになる。

もちろんこのようなルールを作ると、特定の子供達しか試合に連れてこないチームが出てくるなど、別の問題も発生するかもしれない。しかし現在のままだとわざわざ試合に来たのにもかかわらず、全く試合に出ずに帰る子供たちがたくさん出てしまう。そんな状態では出られない子供たちのモチベーションが下がってしまうのは当たり前である。

試合に出られない子供たちは中学生に上がった時にサッカーをやめてしまう可能性が高い。これは日本サッカーにとっても大きなマイナスだろう。小学生年代においては4クオーター制のようなルールを作ることをぜひ検討してもらいたい。

テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

審判に文句を言うチーム、言わないチーム


チャンピオンズリーグのマンチェスターUとレアル・マドリードの第2戦ハイライトを見た。結果はご存じのとおりレアルマドリードが2-1で勝利し、2戦合計で3-2で次のステージに勝ちあがっている。しかしこの結果については多くの人が疑問を抱いていることだろう。というのも第2戦のナニの退場について様々な議論がされているからである

http://www.youtube.com/watch?v=RHBjD0rwUk4

動画を見てみればわかるが、確かにレッドカードというのは判定が厳しい。ナニからしたらボールに足を出そうとしただけでおそらく故意ではない。せめてイエローカードではないのかというのが私個人の意見でもある。この時点でマンチェスターUは1-0でリードしていたため、ナニの退場の後に2点入れられ逆転負けとなった。よって判定が試合を左右したと言われたとしても仕方がないかもしれない。

しかしサッカーというものにはミスがつきものである。これは選手や指導者だけではなく、審判も同様である。またプロ、アマチュア、大人、子供であっても関係ない。ミスのレベルには差があるかもしれないが、誰でもミスをする可能性があるという事実は変わらない。

重要なのはこのミスに対してどのように対処をするかということである。マンチェスターUはナニが退場したことによって試合に負けてしまったと思っているだろう。しかし、もし審判の判定に文句を言わずそのまま試合に集中をしていれば、もしかしたら結果は違っていたかもしれない。もちろんこれは結果論にすぎないが、審判の判定に怒り狂って集中力を切らしてしまうチームは意外と多い。

実はこれは小学生年代のサッカーにも通じる話である。小学生年代のサッカーはご存じのとおり審判を他チームの指導者が行うことが多い。よって審判のレベルは正直まちまちである。ミスジャッジと思われるようなジャッジも多々ある。

ミスジャッジに対する指導者の対処はチーム、指導者によってさまざまである。怒り狂って審判に文句を言う人もいれば、直接言うのではなく大会本部に対して文句を言う人もいる。逆にジャッジはジャッジと受け止め、特に文句を言わず淡々と試合を続ける人もいる。ちなみに私の場合はできるだけ言葉に表さないようにしているが、態度に出てしまうことが多いが・・・

私含め指導者が常に頭に入れておかなければならないのは、その姿を子供たちは必ず見ているということである。審判に文句を言う指導者がいるチームは、試合中に子供たちが審判に文句を言う傾向が強い。これは指導者のことを子供たちは真似するからである。指導者が審判に文句を言っているのに、子供たちに対して「審判に文句を言うな!」いっても説得力はない。

私自身、審判に文句を言う姿をできるだけ子供たちには見せたくないと考えている。もちろん勝負にこだわる姿を見せることは重要だが、ジャッジはジャッジと受け止め次に切り替える姿を見せることは子供たちにとっても勉強になる。サッカーだけではなく人生においては理不尽に思えることがたくさんある。重要なことは起こってしまったことに対して文句を言うことではなく、次に何をするかである。

もちろん後から「あのジャッジはもしかしたらミスジャッジだったかもしれないね」と子供たちに教えることは必要だろう。ルールをしっかり覚えてもらうことも指導者の重要な役割だからである。しかし「審判も人間だからミスをする」ということをその後に付け加えるのを忘れてはならない。子供たちがミスをするのと同様に、大人もミスをする。そのミスはあらかじめ想定しておかなければならない。

審判をやっていて思うのは、本当に強いチームというのは審判に文句を言う数が少ない。というのももしミスジャッジがあったとしても、自分たちは勝てるという絶対的な自信、余裕があるからである。だからこそすぐにプレーを切り替え次の準備をする。私は審判に文句を言うチームを作るよりも、このようなチームを目指したいと考えている。

テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

褒めて育てるべきか、叱って育てるべきか

「「褒めて育てるべきか、叱って育てるべきか」とよく聞かれるのですが、私はそういうことはあまり意識していません。いい判断をし、いいことをやれば、「それは非常にいいんじゃありませんか」と褒めるし、ダメなら、「それはちょっとおかしいんじゃないか」と注意をします」(『プレジデント』2013.3.18号)

これは現JALを再生した稲盛和夫氏の言葉である。稲盛氏といえば京セラの創業者で、アメーバ経営で知られるビジネス界ではカリスマ的な経営者である。その稲森氏がリーダを育てるためにはどうしたら良いのかという質問に対する回答が上記である。

現在子供の育成方法、部下の育成方法については様々な情報が飛び交っている。褒めて伸ばしたほうが良い、叱って伸ばしたほうが良い、あえて挑発したほうが良い、まずは自信を持たせるのが先決だ・・・など指導する立場としてもどれを信じて良いのかわからない。そんな中でこの稲盛氏の言葉は真理を付いているのではないか。

例えば子供が何か悪さをした時を考えてみよう。育成に関する書籍には、まずは子供の意見を聞き、頭ごなしに怒るのはよくないなどと書かれている場合がある。また、叱る前に子供の良いところを見つけ、そこを褒めてから叱るようにすると良いなど書かれていることもある。できるだけ子供を萎縮させないようにするのが狙いだと思うが、叱る方もいろいろ気を使う必要があるらしい。

しかし稲森氏が主張しているのは、悪いことをしたら叱る、良いことをしたら褒める、それで良いではないかということである。悪いことをしたのにあえて別の場所を褒める必要はないし、良いことをしたのにあえて叱る必要もない。ただただある事実に対して指導者として正直に接する方が子供にとっても良いということである。

確かにそうである。子供の立場からしてみたら、何が良いことで何が悪いことなのかを学ぶことが先決である。その中で、悪いことをしたのに褒められたり、良いことをしたのに叱られたりしては意味がわからなくなる。あえて叱る、あえて褒めるということをされるのは逆に子供からしたら迷惑だろう。

その代わりに稲森氏は褒めるときは表情を崩して褒めるし、叱るときは真っ赤な顔で厳しく叱る。「あえて~」ということをしなからこそ、心の中から褒めたり叱ったりすることができる。

「上に立つ者は部下たちの幸せを常に心に留めて叱らなければいけない。部下の成長を願い、愛情を持って指導する。「愛情を持って」と表現しましたが、これは単に子供を溺愛するような愛情を指しているのではありません。やさしさと厳しさ、この両面が必要なのです」(同書)

指導者は子供がどうやったら幸せになるのか、どうやったらサッカーを楽しんでくれるのかということを第一優先に考える必要がある。そのためには褒める、叱るということの両方が必要であり、それを指導者としてどのポイントで使うのかということが重要になる。「あえて~」ということをせずに、ただただ正直に部下に対して接するという稲盛氏の指導方法は、サッカーの指導者にも参考になるのではないだろうか。

テーマ : サッカー
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3バックの復権!?


昨日はゼロックス・スーパーカップがあった。昨年のJリーグ王者のサンフレッチェ広島と天皇杯王者柏レイソルの一戦だった。結果は佐藤寿人のスーパーボレーシュートで広島が1-0で勝利したのだが、私が注目したのはそこではない。両チームとも3バックの3-4-2-1を採用していたことである。

以前私は「なぜ3バックは流行らないのか?」で3バックが流行らない理由を書いているが、それから数年たち3バックが復権し始めている。これはJリーグだけではない。世界各国、特にイタリアで3バックが流行り始めている。

記憶に新しいのはユーロ2012のイタリア代表だろう。ブランデッリ新監督のもと、イタリア代表は3-5-2システムで戦い準優勝までたどり着いた。結果だけではなく内容もよい試合を見せていたので、覚えている人も多いかもしれない。またあのバルセロナもグアルディオラ時代に3バックを採用している。グアルディオラ自身はセスクが加入したことにより、中盤の構成を最大限生かすためと主張していたが、あのバルセロナが3バックを採用したことで再び3バックに注目が集まった。

Jリーグでいえば現浦和レッズ監督のペトロビッチ監督が3-4-2-1を採用していることで有名である。現広島監督の森保監督はペトロビッチの戦術を踏襲し、そのまま3-4-2-1で昨年Jリーグ優勝を果たした。そして今年は前出の柏レイソル、そしてピクシーことストイコビッチ監督が率いる名古屋グランパスも3バックを採用しようとしている。

なぜこのようなことが起きたのだろうか。数年前に3バックがはやらなくなった理由は、1トップor3トップのチームが多くなり、3バックだとカバーリング役の1DFを余らせることができなくなったからである。そもその3バックは相手の2トップ対策で作られたシステムであり、相手が1トップであれば2DFが余ってしまい、相手が3トップだと3対3で1人も余らせることができない。このアンバランスが3バックには存在する。またサイド攻撃が定着してきた現代において、3バックの両脇のスペースを使われることを懸念し4バックを採用するチームが多かった。サイドをケアしようとすると、どうしてもウイングバックの2人が下がってしまい、5バック気味になってしまうからである。

現在でも多くのチームは4バックを採用している。特にプレミアリーグのチームはマンチェスター・Uはじめほぼ全チームが4バックを採用している。また現レアル・マドリード監督のジョゼモウリーニョが3バックを採用することはない。現ロシア代表監督のファビオ・カペッロもローマ時代は3バックを採用していたが、現在は4-4-2をベースとしたシステムを採用している。4バックの場合はディフェンスラインの4人、中盤の4人で4-4の2ラインを作り、その間でボールを奪うことを目的としている。数年前はこのディフェンスシステムが一般的になったため、3バックを採用するチームは少なくなった。

では現在の3バックは以前と何が違うのだろうか。正直って私は現在の3バックも以前の3バックもほぼ変わらないと思っている。しかしひとつ違うのは守備の時に5バックになることを許容し始めているということだろう。

昨日の試合を見ていても、広島も柏も守備の時は5バックになっていた。というよりも、意識的に5バックにしていた。自陣ペナルティエリアの前に5人のディフェンスが並び、その前に4人の中盤が並ぶ。合計9人で2ラインを作り、ディフェンスをするのである。以前であれば5バックになることが悪いことだと考えられていたが、おそらく3バックを採用する監督は5バックになることを悪いことだと思っていない。むしろ守りを固める上では必要なことだと考えている。

というのも現代サッカーでは先制点というものがかなり大きな重要度を占めているからである。以前であれば先制点を取ったチームが2点目を取りに勢いをつけて攻めて来るということが多かった。しかし現代サッカーにおいては、先制点を取ったチームは自陣近くにリトリートして、まずは守備を固めることが多くなった。そして攻撃についてはあくまでもカウンターで2点目を取りに行き、あくまでも守備のバランスは崩さない。これはジョゼ・モウリーニョがCL決勝のバイエルン・ミュンヘンで採用した戦術であり、あまりにも上手くハマったため記憶に新しい人も多いだろう。

よって監督としては先制点を取られることを極端に嫌うことになる。先制点を取られると、リトリートした相手を崩すことが難しくなるからである。その結果が3バック気味の5バックである。守備の時にはまず5バックでも良いから点数を取られないことを最優先にする。相手が攻めてきたら、以前に比べて多少攻撃の人数が少なくなるがカウンターで点を取りに行く。逆にポゼッションに入った時には3バック気味にして攻撃に厚みを持たせる。浦和や広島などは攻撃時には4バックにシステムチェンジをして、ポゼッションを中心にして攻めているのでそのような工夫も出始めている。

昨日の試合を見ている限りではやはり広島の方が戦術的な理解度が高く、3バックのメリットが出ていた。逆に柏の方が以前は4-4の2ラインがうまくハマっていたため、それを捨てての3バックだったが、まだ理解度は高くない気がした。失点の部分においては5バック気味にして人数は揃っているにもかかわらずゴールを取られてしまったので、本当に5バックにすることが守備を固めることにつながるのかはしっかりと分析する必要があるだろう。

面白いのは時代が変化するにつれて新しい戦術が次々に生まれてくることである。そしてそれには必ず理由やロジックが存在する。その流れをしっかり把握することも、指導者には求められる部分だろう。

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『サッカークリニック2013年3月号』-特集春に鍛える!


『サッカークリニック2013年3月号』を読んだ。今回のテーマは「特集春に鍛える!」である。内容としては春合宿に何をするのか、どんなことを意識してトレーニングを行うのかということである。なかなか小学生年代では春合宿を行うチームは多くないと思うが、4月からの新体制スタートに向けてどのような準備をするのかという点については参考になる。以下内容を引用する。

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・近年のスペインにおいては、戦術的ピリオダイゼーションの流行もあり、フィジカル・トレーニングを「ボールを使って行うべきかどうか?」という議論が続いています。

・最近はメンタルの弱い子供が多く、きついことを大人があえてやらせないとダメな部分があります。また、つらいことをやり遂げたときの達成感を味わってほしいとも思うのです。

・私は指導をする上で、「子供たちにサッカーを楽しんでもらいたい」ということを大切にしています。ただし「楽しむ」とは、気ままに自由にボールを追いかけるということではありません。規律をしっかり守るということなども含め、本気で取り組んで初めて実感できるのが「楽しさ」だと思うのです。

・昔のように基礎体力があれば体力強化も必要ないのですが、現状では放っておくこともできず、ある程度やらなければならない面があるのです。

・重要なのはたくさんの種類の練習メニューを抱えることではありません。一つひとつのメニューを深く理解し、そのオーガナイズ(練習構成)で目的や選手のレベルに応じて変化が出せることなのです。プレーのバリエーションとは、豊富な練習メニューの数を指すのではなく、1つのオーガナイズにおける理解と習得度の深さを表すと言えるでしょう。イメージとしては「広く浅く」ではなく、「狭く深く」に近いのですが、それがどのような効果をもたらすのでしょうか。

・私はこれまで、1シーズンを戦い抜くのに練習メニューの数が多すぎることも問題だと考えていました。練習メニューの数ではなく、重要なのはバリエーションの豊富さです。よって、4つから6つの練習オーガナイズを持ち、それぞれ豊富なバリエーションを持てるようにしていく能力が必要です。同じオーガナイズでも違うテーマ、異なる練習になるように仕向けて行くのです。

・同じ練習でも、何を言うかで別の練習になります。バルセロナやレアル・マドリードの練習を見て、それをまねして子供たちにそのまま伝えても何の意味もありません。練習メニュー自体の重要度はゼロとも言えます。大事なことは、何をやっているかではなく、そこで何を言っているか、何を伝えているかです。コーチが練習時にどんな声かけをしているのかを知らなければ、その練習の本質は分かりません。
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フィジカル・トレーニングについては国内外で認識の差があるように思える。日本においては、子供たちの基礎体力低下を嘆く指導者が多く、あえて小学生年代から走り込みなどのフィジカル・トレーニングを行うチームもある。また、それはメンタル強化の一環でもある。近年メンタルも弱くなったと言われている子供たちのメンタル強化のために、あえて限界まで追い込ませるために走り込みを行っているチームもある。

逆にヨーロッパなどではフィジカル・トレーニングをいかにボールを使って行うか、実践に近づけて行うかということに議論が集中している。ヨーロッパの子供たちの基礎体力が上がっているのか下がっているのか分からないが、パソコンやゲームなどが普及しているのは日本と同じだろう。その中でフィジカル強化のトレーニングメニューが全く日本とは異なるというのは注目すべき点かもしれない。

個人的には走り込みをする時間を取るよりも技術やテクニックを強化するほうが将来的に役に立つと思っている部分があるので、走り込みをあえてやらせることは少ない。あくまでも4対4などのスモールゲームの中で、いかにフィジカル的な要素を加えるかということに意識を向けている。最近意識しているのは、4対4のスモールゲームでキックインを廃止したことである。以前まではボールがラインを出た際には子供たちにキックインをさせていたが、それだとそのたびにゲームが中断することになる。そうではなく、現在はボールがラインを割った瞬間にコーチから新しいボールを入れて、ゲームをすばやく進行することにしている。そうすることで運動量の多いゲームを続けることができる。

ただし南米のコーチはフィジカル・トレーニングはボールトレーニングとわけて考えたほうが良いと言っているという記述が今回のサッカークリニックの中にもあるため、この議論はまだまだ続いていくだろう。

またもう1つ今回の内容で多かったのは、練習メニューの数についてである。練習メニューの数が多いことがどれだけ有効なのかについては以前「トレーニングメニューは豊富なほうが良いのか!? (04/22)」で書いたことがあるが、重要なのはトレーニングメニューの数ではなくバリエーションだというのが今回の内容である。

確かにトレーニングメニューが多いほうが子供たちは飽きずに練習に取り組んでくれるかもしれない。しかし毎回トレーニングメニューが変わって、そのたびに説明から入ると、それだけで時間がたってしまう。そうではなく、同じようなオーガナイズの中で、ルールや意識ポイントを変えることで、子供たちに異なるポイントの成長を促すことができる。言われてみればそうかもしれないと思う部分もあるが、同じオーガナイズで違うメニューを作るというのは結構難しいことである。指導者自身がしっかりと考え、そのトレーニングで何を伝えたいのかを明確にしておく必要があるだろう。

ただし私の場合はウォーミングアップや試合前の練習は全く同じにしている。イチローが毎回同じフォームでバッティングの準備に入るように、また羽生善治が対局前は毎回同じ道を取るように、同じメニューをやらせることで集中力を高めることが出来ると考えるからである。このあたりは指導者によって考え方が違うと思うので、是非いろいろな人と議論してみたいところである。

テーマ : サッカー
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言葉の暴力も体罰の一つである


ニュースで体罰問題が報じられてしばらくたつ。いろいろな立場から体罰についての意見が述べられており、最近ではサッカー日本代表監督ザッケローニもインタビューされていた。もちろん誰もが体罰は悪いものだとは思っているが、どこからが体罰なのかというのが人によって違うのだろう。その人によって体罰についての考え方が違う。

今回の問題はオリンピックで絶対に勝たなければならないというプレッシャーが背景にあったらしい。もちろん真偽はわからないが、そのプレッシャーから体罰に至るというのは分からなくもない。国内全体からの期待を受け、しかも結果を求められている監督が受けるプレッシャーは想像を超える。だからといって選手に手を挙げてよいというわけではないのだが。

私も一指導者としてこのような問題については真剣に考えなければならない。今回は柔道界で体罰問題が起こったが、サッカー界においてもこのような問題がないとも限らない。また、体罰にもいろいろあるだろう。実際に手を上げるのを体罰だと思う人もいれば、言葉の暴力を体罰だと思う人もいる。セクハラと同じように被害者が体罰だと思えばそれは体罰になるのである。

おそらく多くの指導者は「自分は体罰などしていない」というだろう。そしてそれは往々にして事実だと思う。私自身が小学生年代を教えているというのもあるかもしれないが、実際に体罰で手を上げる指導者は他チーム含めて見たことがない。

しかし私は手を上げることのみが体罰にあたるのではないと思っている。というのは、言葉の暴力というものも体罰にあたると考えるからである。正直言ってサッカー界にもまだこのような問題は残っている。子供たちに対して厳しい言葉を発する指導者はまだまだたくさんいる。もちろんそれが効果的な場合もあるし、教育的な面で必要な場合もある。しかしそれがエスカレーションしすぎるとそれは体罰にあたる。

小学生年代のサッカーとはいえ、指導者は結果を求められる部分もある。もちろんサッカーは勝敗を争うゲームなので、勝ちを目指すことは当たり前である。子供たちも勝ちたいと思っているし、指導者も勝ちたいと思っている。もっと言えば子供たちの親も勝ちたいと思っているのである。しかし勝ちを目指すがあまり、子供たちがサッカーをやる本来の目的を大人が忘れてしまう。

子供たちは楽しむためにサッカーをしたいと思っている。これは子供だけではないと思うが、楽しくないことをやるために時間を投資する意味は全くない。サッカーが楽しいからこそ練習をし、練習をするからこそサッカーがうまくなる。サッカーがうまくなるからますますサッカーが楽しくなる。子供たちはこのサイクルを求めているのである。しかし言葉の暴力はこのサイクルを簡単に破壊してしまう。

指導者が意識しなければならないのは、いくら結果を求められていようが、いくら自分にプレッシャーがかかっていようが、それを選手に向けてはいけないということである。全ての責任は指導者にあり、選手には責任はない。そのようなスタンスで指導を行わなければならない。いくら親からプレッシャーがかかっていようが、他のコーチから結果を求められていようが、それを自分の中で留めるのが指導者としての責任である。それを選手に向けてしまったのが今回の柔道の問題である。

今回の体罰問題は私含めていろいろな指導者に影響を与えただろう。やはり一番大事なのは子供たちが楽しくサッカーができる環境を指導者が用意すること、それだけは忘れてはならないのだと思う。

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スーパースターを買うのではなく、育てる―アーセン・ベンゲルのチーム作り


アーセン・ベンゲル。サッカーをやっている日本人でこの名前を知らない人はいないだろう。現アーセナルの監督であり、また1995年からは日本の名古屋グランパスを率い天皇杯優勝に導いている。

そのベンゲルが危機に立たされている。2012/2013シーズンのプレミアリーグで、2013年1月27日時点で勝ち点37の6位。首位のマンチェスターユナイテッドとは勝ち点19ポイントも離されている。このペースはベンゲル政権が始まってから初めてのスローペースである。

とはいってもこれはベンゲルだけの責任ではない。アーセナルは他のビッグクラブと比べて圧倒的に資金が少なく、毎年スター選手を引き抜かれている。アンリ、セスク、ナスリそして今年はファンペルシーを引き抜かれた。かといって逆に大物選手を引き抜いているわけではなく、手元のプレーヤーでやりくりをしている。

「アーセナルは終わった」という人もいる。「ベンゲル解任」を噂する人もいる。しかし私はそうは思わない。ベンゲルは世界有数の監督の一人であり、アーセナルはこのままでは終わらない。今シーズンは特にメンバーの層が薄く、獲得した選手もこれといった活躍ができていないが、パスワークを中心としたアーセナルのサッカーになじむためにはもう少し時間がかかるのだろう。

私がベンゲルを支持する理由は、若手選手の育成に重きを置いている点、そして無名の選手を大スターまで育成する手腕である。先ほど書いたアンリ、セスク、ナスリ、ファンペルシーはもちろん、フラミニ、クリシ―、ソング、サーニャ、ウィルシャー、ラムジーなどほぼ無名の10代の選手をスター選手にまで引き上げることができるのがベンゲルの一番すごいところである。

「ベンゲルの監督としての才能を、現在はバルセロナで活躍するセスク・ファブレガスはこう話している。「ヨーロッパ中からすぐれた才能を発掘して、彼らに勇気を与え、いつしか自信を持ってプレーできるように育ててしまう。あの人のすごさは今でも変わらない」知将ベンゲルの武器は、データを駆使して無名選手の才能を見抜く情報力と、彼らをスタープレーヤーへと育て上げる人間的力量にある」(『サッカー名監督のすごい言葉』p159)

特に注目すべきなのは、アーセナルの選手は皆テクニックに優れている点である。もちろん最初からテクニックに優れている選手を採用しているという面もあるが、これはベンゲルの手腕も大きいだろう(私が思うに、カメルーン代表のソングなどは、最初からテクニックがあった選手ではなかった。出てきた当初はボランチでボールを奪われる回数がものすごく多く、目も当てられなかった。それが今はバルセロナに引き抜かれるほどである)。またアーセナルではコーディネーション能力に優れた選手が生まれてくる。アデバヨールやファンペルシーなどは背が大きいにも関わらず、細かい動きも上手である。テクニックとコーディネーション、ベンゲルが注力している点は、まさに育成年代の指導者が注目すべき点と一致している。

これは別の観点になるが、日本の育成年代のチームに置いてはよっぽどのことがない限り、他チームから選手を引き抜くなどということはできない(これは日本の話であり、スペインなどのチームは小学生でもどんどんチームを変わるらしい)。よって指導者は必然的に現時点でいる選手を育て上げ、チーム自体を強くしていくしかない。「こんな選手がチームにいれば・・・」「大型フォワードが今年はいない・・・」「選手みんな背が小さい・・・」こんなことを嘆いていても何も変わらない。そうではなく今いる選手たちの長所を見つけ、それを生かすようなチーム作りをしていく必要がある。これは次元の違いがあるにせよ、ベンゲルが現在立たされている境遇と似ているかもしれない。

最後になるが私はベンゲルのアーセナルがこのまま続くことを願っている。そういう意味でもこの記事を書いてみた。

テーマ : サッカー
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『サッカークリニック2013年2月号』


『サッカークリニック2013年2月号』を読んだ。今回のテーマは「コンビネーションプレーを極める」である。サッカーの醍醐味はコンビネーションプレーといっても過言ではない。流れの良いパスワークからの得点、連動したプレスなど個人競技では得られない体験が出来るのがサッカーである。ではそのコンビネーションプレーをするためにはどうしたらよいのか。以下内容を引用する。


・同じ指導者が同じプレーヤーをずっと指導するよりも、担当指導者が変わり、違う視点からチェックするほうが良いとエバートンでは考えられています

・相手がいないトレーニングばかり繰り返していると、実際の試合で相手と対峙した際に何も出来ない選手になってしまいます。確かに、相手の人数を減らして数的優位な状況のトレーニングをすることはありますが、相手がいるトレーニングが基本です

・現在のドイツサッカー界では「ウォーミングアップでも実際の試合に近づけるべきだ」という考えが主流です

・考えることは大事です。しかし考えてもアイディアが出てこないならば、指導者が導いてあげることが大切だと思います。それもあり、ジュニア世代では、シンプルなパターン、トレーニングを取り入れることもあります

・2学年上でプレーできそうな子供と、2学年下でも苦しいかもという子供がジュニア年代なのです。そういう子供が一緒に練習したほうが効果的と言えるのでしょうか

・試合も優劣を表現するためではありませんが、AチームとBチームを分けて臨みます。一緒にしても成長の遅い子供にすれば、求められるものが高すぎて面白くないと思います

・基本的な技術はサッカーの楽しさを知るために必要なもので、それを教えた後は何も言わず自由にさせるようにしています。子供たちはずっとゲームをしていて、我々はそれを見てポイントをアドバイスする程度です

・子供の指導は”トレーニング”ではなく”遊び”であるべきなのです。子供自身が何の制約も受けずに自らの発想で行うのが遊び。練習はゲームが基本でなるべく教えないようにするのが方針です

・ヨーロッパでよく言われるのが、「一生にプレーするサッカーの量は決まっている」ということです

・現在のドイツでは子供たちの練習時間は短く、ハードトレーニングを課すことは決してありません

・フットサルはサッカーと比べて競技人数が少なく、スペースも狭いことから「一人一人の選手が請け負う責任のパーセンテージがサッカーに比べて倍である」

・バルセロナのU-12では基本テクニックに関しては利き足だけではなく、逆足でできて当たり前です。最低限の基本については左右の足ですべてできなければなりません

・メキシコでは幼いころから、体の動かし方、使い方などのコーディネーショントレーニングを地道に実施している


コンビネーションプレーをするためには相手がいる練習をする必要がある。もちろんパターン練習というのも多少は必要かもしれないが、相手がいない中でのトレーニングでは実際の試合では通用しない。試合と同じ状態で練習をすることでコンビネーションプレーは生まれる。

しかしある程度の個人技術、個人戦術は必要になる。サッカーを全くやったことのない陸上選手が何人かいてもコンビネーションプレーにはならない。ある程度技術があることが前提で、そのためにはゲームをやるだけではなく基本的なパス、トラップ、キックなどの練習も必要だろう。

バルセロナがあれだけのコンビネーションプレーが出来るのは個人技術、戦術が高いからである。いくら監督がコンビネーション戦術を教えたとしても、選手にそれを実行する技術がなければ全く意味がない。逆に個人技術、戦術が高ければ、普段一緒に練習していなくてもコンビネーションプレーを生み出すことは可能である。オールスター戦で素晴らしいコンビネーションプレーを見せることが出来るのは、個人のレベルが高いからである。個人のレベルが高ければ、試合前のちょっとした練習時間だけでも息の合ったプレーをすることができる。

もちろんポジションによって技術が求められる割合は違うかもしれないが、そういう意味でも育成年代においてはフィジカルではなく個人技術、戦術を優先するべきだろう。

テーマ : サッカー
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レギュラー組サブ組に分けることはよいことなのか?


現在あなたが指導している学年の人数は現在何人ぐらいだろうか?もし15人以内ぐらいであればこれから書くことは関係ないかもしれない。しかしそれ以上になってくると、おそらく多くの指導者は同じ悩みを持っているのではないだろうか。

それはチーム分けの問題である。特に1つの学年が20人以上の学年は、試合もしくは練習においてどのようにチーム分けをするのかという問題が出てくる。というのもサッカーの試合というのはスタメンが11人もしくは8人というのが決まっているからである。つまり逆に言えばそれ以外の人は試合に出られない可能性があるということである。

では仮に20人のチームがあったとしよう。次の公式試合は8人制である。大会側には事前に2チーム申請していたため、10人ずつのチームを2つ作れるとする。ではあなたはこの10人をどのようにチーム分けするだろうか?

おそらく多くのチームはAチームBチームのようにチームを分ける。そしてAチームをレギュラー組、Bチームをサブ組のような分け方をするだろう(ネーミングはチームによって異なる)。これはスポーツの世界では仕方がないことである。子供たちの実力はそれぞれ違っていて、指導者がメンバーを決めざるを得ない状況である。競争社会においてこのような分け方をしなければならないこともあるということを理解してもらう必要がある。

もしくはAチームBチームをある程度同じレベルに分けることもある。というのもレギュラー組、サブ組のような分け方をすると、サブ組が公式試合で勝てる可能性がかなり低くなってしまうからである。もちろん試合というのは勝敗だけが重要なわけではない。普段サブ組の子供にとっては公式試合に出られるだけでもうれしいだろう。しかし試合にぼろ負けしてしまうのもそれはそれでつまらないと感じる子供もいるかもしれない。

子供たちのことを第一優先で考えても、どちらが良いなどと断言できる人はなかなかいないだろう。高校サッカーのように本気で勝敗を考える場合であれば、レギュラー組サブ組に分けることは当たり前なのかもしれない。しかし小学生年代においてそこまで明確に分ける必要があるのかどうかは私もわからない。

またこれは試合だけではなく練習時にどのように分けるのかという問題にも発展する。試合でレギュラー組サブ組に分けるのであれば、練習もそのように分けたほうがよいと考える人もいる。しかし練習であればチーム全員とサッカーができるほうが良いと考え、練習では2つに分けずに一緒にやるという考えもある。これはこれで正解がない。

ただ、指導者が常に忘れてはならないのはあくまでも「Players First」ということである。指導者は子供たちがどうやったらサッカーを楽しむことができるのかを忘れてはならない。

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スクールが普及している背景


最近はサッカークラブとスクールと掛け持ちをする子が増えてきている。つまりあるチームに入りながらもそれとは別に、週1,2回サッカースクールに通うということである。スクールにもいろいろ種類があり、Jリーグの下部組織もあれば、クーバーコーチングなど独立しているもの、また地元のスクールというものもある。

昔は普及率もそこまで高くなかったためスクールに通っている子は少なかった。しかし年々とスクールの数は増えてきている。もちろんJクラブ自体の運営のためなど経営的な問題もあると思うが、子供たちの生活環境というのも多少なりとも影響している。

私が子供の頃は学校が終わるとすぐに公園や近くのスペースでサッカーをしていた。しかし現在はサッカーをできる場所も少なくなっており、サッカー以外にもたくさんの選択肢がある。また、格差社会と呼ばれる時代において、子供のころからたくさん習い事をしている子も多い。よって子供たちもなかなか自分たちで集まってサッカーをするというのが難しくなってきている。

スクールはそのニーズをうまく取り込んでいる。場所は人工芝を提供できるし、Jクラブであればネームバリューで地元の子以外の子たちも集めることができる。また、親御さんとしてもその時間はスクールのコーチが子供たちを見てくれるので安心である。現在の環境において親にとっても子にとってもスクールはメリットが大きい。

ただスクールはクラブではないので試合などがあるわけではない。また子供たちのレベルの差が激しく、全く素人の子と上手な子が一緒にプレーすることになるため、本当に厳しい環境での練習にはならない。しかし逆に考えれば、そのプレッシャーがない中で自由な発想のもとサッカーができるという面もあるかもしれない。

もちろんスクールに通うためには金銭的な問題も出てくるため、単純に外遊びよりもスクールが良いなどとは言えない。しかしいろいろなコーチにしっかりと教えてもらいながらサッカーをする機会が増えることは悪いことではない。子供たちにとっていろいろな大人と触れ合うことは今後の人生にとっても有益なことだろう。

個人的にスクールの一番のメリットだと思うのは、やはり上には上がいるということを子供たちが気づく機会ができるということである。やはりクラブの中だけだと上手な子は図に乗ってしまう可能性が高い。これはその子の問題だけではなく、クラブの中で世界が閉じてしまっているのだから仕方がない。しかしスクール(特にJクラブ)においては上手い子は上に引き上げてもらうことができ、またセレクションなども年に数回存在する。そこで自分の実力を正確に把握する機会を子供が得ることができるというのはスクールならではのメリットだろう。

私はクラブで指導をしている立場なので、スクールの内部のことはよくわからない。しかし一番大事なのは子供たちが楽しくサッカーができる環境を大人が用意してあげることである。その選択肢の一つとしてスクールは重要な役割を果たしてきているのではないだろうか。

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毎試合、ベストだと思う選手を出場させた結果、全員が出てしまったということです。

「毎試合、ベストだと思う選手を出場させた結果、全員が出てしまったということです。フレッシュな選手を出したほうがパフォーマンスは高いわけですし、中1日で試合をするという非日常の大会で質を下げずに良いゲームをして結果を残すには総合力=23人全員で戦うしかない。逆にいうと、日本全体のレベルはそれだけ上がってきているということです。フィールドプレーヤーで94ジャパンのときは全試合に先発した選手が1人いましたが、96ジャパンではゼロ。スタメンで出ていない選手もゼロです。結局は、誰を使っても全体のレベルは変わりません。そのベースアップが出来ているのは日本の強み。全員を出したからこそ、結果が出たということなのです。育成年代なので、そういうやり方のほうが良いと思いますし、各チームや選手への働き掛けなど、日本サッカーを取り巻く環境が勝因だと思っています」吉武博文(U16-日本代表監督)(Technical news Val52)

これは先日AFC U16選手権イラン2012のグループステージ3戦で、GK1人を除く全員が出場した流れについて、監督の吉武氏がコメントした内容である。結局Uー16はアジアで準優勝という結果を残した。その要因がこのコメントの内容にあるのかどうかはわからないが、育成年代の指導者にとっては興味深い内容だろう。

単純に考えてこのような選択を下せる指導者はサッカー界、いやスポーツ界にどれだけいるだろうか。一般的にスポーツチームというものはレギュラーとサブに分かれてしまうことが多い。スタメンで出場できる人数には制限があるため、これは仕方がないことだろう。しかしこのU-16日本代表はそういうわけ方ではなく、全員がスタメンで全員がサブであった。

たとえ育成年代の試合といえどもこれは国際試合であり、結果が求められる試合である。その中でGKを除く全員を試合に出し、そして準優勝を果たしたというのは素晴らしい業績である。指導者の方は理解できると思うが、この決断はかなりの勇気がいる。もちろん中1日という強行日程というのもあるが、それでもある程度メンバーが固まってしまうのが通常だろう。

実はこのようなメンバー選考をしているチームがもう1チームある。それがプレミアリーグの名門マンチェスターUである。マンチェスターUの監督サー・アレックス・ファーガソンは選手をターンオーバー制で使うことで有名である。しかも聞いた話によると2試合連続で同じスタメンで戦ったことはないとの事である。リーグ戦、カップ戦、チャンピオンズリーグなどこちらも強硬日程というのもあるが、これもなかなか出来ることではない。

メディアでは香川がスタメンになれるのか、また2試合続けてスタメンなどといった議論があるが、これはあまり意味はない。なぜならファーガソンは調子が良くても悪くてもターンオーバー制を基本としているからである。もちろん1試合ごとに見ればスタメン、サブは分かれているが、長いリーグ戦で見ると、マンチェスターUのメンバーは全員がスタメンで全員がサブなのである。

私が考えるに育成年代の指導者はこの状態を理想とするべきだろう。もちろん目の前の勝負にこだわる必要があるのは理解できる。しかしいつも同じメンバーがスタメンで出ていて、流動性のないチームになると、チーム内での競争意識もなくなってしまう。短期的には結果が出るかもしれないが、長期的に見ると途中で息切れする。これはリーグ終盤に強いマンチェスターUの結果を見ればわかる。

そのためにはメンバー一人ひとりの実力を上げる必要がある。特に個人技術、個人戦術の部分を高めていかなければ、全員出られるけど弱いチームになってしまう(これは社会主義の衰退と同じイメージである)。いかに個人のレベルを上げられるか、いかに競争意識を持たせることができるか、これは育成年代の指導者に求められる部分だろう。

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『サッカークリニック2013年1月号』


『サッカークリニック2013年1月号』を読んだ。今回のテーマは「「ギャップ」を説明できますか?」である。正直言って我々のように小学生を対象に指導をしている人にとっては、なかなか「ギャップ」を子供たちに説明することは少ないと思う。ただイメージとして、ディフェンスとボランチの間のスペース、ボランチとサイドハーフの間のスペースなどといったことを子供たちに伝えるのは可能だろう。ただし本格的に「ギャップ」を狙うとなると、そもそもポゼッションが出来て、一人ひとりがボールをキープできるようになってからでないと難しいかもしれない。以下内容を引用する。


・われわれスタッフが選んだ23人はみんないい選手で、彼らの力を信じています。その中で毎試合ベストメンバーを選んでいったら、全員出場したということです

・システムは4-3-3とよく言われていますが、私が今選手に伝えているのは「4-6システム」。システムと言うとまた一人歩きしてしまうのですが、4人のラインマンと6人のフリーマンというふうに言っています

・毎日のように「君たちはできるんだ。世界のトップになれるんだ」という話をしました

・若い年齢でのフィジカル練習は倒れないという自信を与えるため

・守備から考える利点は2つあります。1つは守備システムを理解することで、攻撃時の「攻め所」が明確になること。もう1つはチーム全員がギャップに対する優秀な守備者になれば、攻撃側の選手は最良のスパークリングパートナーを得られ、より効果的な練習が可能になります

・技術習得レベルを表すものの1つとしてリフティングがあります。うちの6年生はみなリフティングは1000回以上出来るし、5年生でも何人かは1000回以上出来ているんです

・指導者の中でも自分たちのゲームについてはまだ1度もビデオで観たことがないという方もいると思います。「ジュニア世代だから、下位リーグだから、そんなことは必要ない」という声を聞くことがありますが、私はビデオ分析をするのに、カテゴリーや競技レベルはまったく関係ないと思っています


私が今回注目したのはビデオ分析である。確かに私が高校生の時にはビデオ分析をしていて、毎試合ビデオに撮った内容を昼休みにお弁当を食べながら皆で観ていた。しかし小学生を教えてからは特にそのようなことはやっていない。ビデオ分析をするのは良いが、それを観る時間がなかなか取れないのと、誰にビデオを取ってもらうかという問題もある。

しかしビデオ分析をするのはかなり効果があると思っている。やはり試合中は気持ちが入ってしまってなかなか冷静に試合を観察することができない。また、ボールのほうを追ってしまう傾向も強くなるので、ボール以外の部分を観ることができるのもビデオ分析のメリットの一つだろう。

本来であれば日本サッカー協会が主張するようにM-T-Mのサイクルを回すためにもビデオ分析は重要である。前回の試合(Match)で何が出来ていてないが出来ていないかをビデオで分析し、それを次回の練習(Training)に生かす。そして次の試合(Match)で練習でやったことが出来ているかを確認。そのようなサイクルを回すことで、子供たちにとっても分かりやすい指導ができるだろう。

もし小学生年代のコーチでビデオ分析をしている方がいれば、どのようにやっているのかご教授願いたい。

テーマ : サッカー
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指導者もたまには子供の立場に戻らなければならない

「なんで子供たちはあんな動きしかできないのか?」
「なんで子供たちはコーチが言っていることが理解できないのか?」
「なんで子供たちはゴール前で焦るのか?」
「なんで・・・?」

このようなことを長年指導者をしていると多々思うことだろう。練習中はもちろん試合中も、指導者が子供たちの動きにイライラする場面は正直ある。もちろんそれを声に出す出さないは別にして、子供たちの動きは指導者の思い通りにならないことが多い。

特に小学生年代においては技術的にも戦術的にもまだ未熟で、指導者とのレベルの違いはかなり大きい。もちろん中学生、高校生になるにつれて成長していくのが子供なので、これは当たり前といえば当たり前のことである。というよりもそこをいかに埋めていくかが指導者の腕の見せ所だからである。

しかし指導者を長年続けていると、そのことを忘れてしまうときもある。簡単に言うと、自分が高校生、大学生だった時のことを基準に子供たちを指導してしまうのである。そのレベルを基準にしてしまうと、小学生に対して上記のような感想が出てくる(当たり前である)。しかも自分は普段プレーしないことが多いので、自分の過去のことは過大評価しているときもある(つまり高校生の時にも自分ではできなかったのに、指導者になったとたんあたかもできていたかのように過去を振り返るようになる)。

もちろん子供たちに高いレベルを求め続けるのは良いことであり、指導者が上を目指さなければ子供たちも上を目指すことはない。「リーダーの仕事は命令することではなくガイドすることだ」という言葉があるが、まさにそのとおりである。目指す場所、ビジョンを決定してそこにいかに子供たちを導いていけるかがとても大事である。

しかし「自分は過去にできたから子供たちもできるだろう」という風に判断するのは早急である。もし「自分が小学生の時にできていたから、今の小学生もできるだろう」であればよいかもしれないが、「自分が(高校生の時に)できていたから今の小学生もできるだろう」はちょっと話が違ってくる。あくまでも今の子供たちに会ったレベル、指導方法というものを考えなければならない。

もしイメージがわかないのであればとても簡単な方法がある。それはたまには子供たちと一緒にサッカーをするということである。一般的に指導者は子供たちの試合を外から指導したり、中で審判をするということが多いと思うが、たまには一緒にチームに交じってサッカーをすればよい。そうすると自分がいかに衰えているかがわかるだろう。そして子供たちに偉そうに言っていたことが、自分もできなくなっていることが理解できると思う。

指導者はそこでやっとスタートラインに立てる。子供たちができなかったこと、そして自分がいざやってみたらいつの間にかできなくなっていたこと、それをどうやって指導していくかが次の課題になる。もし記憶が良いのであれば、自分はどうやったらそのプレーをできるようになったのかを思い出せばよい。それを子供たちに教えることができれば、理論だけではなく実践の伴った指導ができるようになる。

私のチームでは年に1度親御さん、コーチ、子供たちが混じったサッカー大会がある。毎年やっているので自分がいかに衰えてきたことが良くわかるのだが、そのたびに子供たちに普段言っていることがどれだけ子供たちにとって難しいことなのかがわかる。しかし幸運なことに、「サッカーは子供を大人にし、大人を紳士にし、紳士を子供にする」という言葉があるように、サッカーをしていればいつでも子供の立場に戻ることができる。そうすることでまた違った視点からサッカーの指導を見ることができるだろう。

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ゴールデンエイジに行うべきトレーニングはテクニック練習だけではない!?


ゴールデンエイジ。これは育成に関わっている人であれば誰でも聞いたことがある言葉だろう。年齢的には小学生年代のことを指す。「即座の習得」といって、ゴールデンエイジの時期には神経系の発達が著しいので、何を教えてもすぐに身につけることができる。

サッカー界においてはこのゴールデンエイジにテクニック系のトレーニングを集中して行うことが必須といわれている。神経系の発達が著しいこの時期に足元の器用な扱いを身につければ、それは一生ものになるという理屈である。これは私自身も同感である。よって小学生年代のトレーニングは常にボールを使い、細かいテクニックを中心に教えることが多い。

しかしテクニック系のトレーニングの他にもゴールデンエイジの時期に行っておくべきトレーニングがある。それはラダーやミニハードルなどのコーディネーション系のトレーニングである。足の素早い運び、細かい動き、瞬発力などを身に着けるためのトレーニングで、ユーチューブなどで探しているとたくさん出てくる。

http://www.youtube.com/watch?v=t26CIBKRKWE&feature=related

このような細かい動きをすることでより効果的に神経を刺激することができる。試合中に軽やかなステップ、素早い身のこなしをできるようになるためには、小学生年代からこのようなコーディネーション系のトレーニングを習慣的に行う必要がある。実際私が指導する際も、毎回練習の初めに行うようにしている。

現在海外で活躍している日本人選手はこれら細かい動きが得意な選手が多い。香川、長友、清武、乾など身体は小さいがテクニックと素早い身のこなしで大柄な選手を相手にしている。まさに小学生が目指すべき姿である。

また、大柄の選手もコーディネーショントレーニングは行っておく必要がある。日本人選手は小さくてコーディネーションが優れている選手、大きいがコーディネーションに優れていない選手に分かれてしまうことが多い。しかし海外では大きいのにコーディネーションに優れている選手がたくさんいる。特にアフリカ系の選手はその傾向が顕著だろう。

ワールドカップで戦っていくためにはこれらの選手を相手にしなければならない。よって特にセンターバックや1トップなどは背が高くてコーディネーションに優れている選手が必須になる。そういう選手を指導者は育成しなければならないのである。

そういう意味でも小学生年代にコーディネーショントレーニングを行っておくことはとても大事である。小さいころに細かい動きを身につけておけば、もしその子が大人になって背が高くなったときに有利になる。逆に小学生のうちから背が高い選手は、小さいころに細かい動きを身につけておかなければ、大きいがコーディネーションが苦手な選手になってしまう。

この方針を意識した育成を行っているのはオランダのアヤックスである。アヤックスといえば世界有数の育成機関であるが、アヤックスから出てくる選手はコーディネーションに優れている選手が多い。デブール兄弟、ダービッツ、クライファート、ファンデルサール・・・この名前を聞くだけでそれは理解できると思う。

■アヤックスのトレーニング
http://www.youtube.com/watch?v=LFR8nUtYFQY

実際コーディネーショントレーニングを続けると、子供たちの習得が早く効果が出てきたと感じることが多い。上記URLなどを参考にし、ウォーミングアップの後のトレーニングに入れるのが良いだろう。

テーマ : サッカー
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『サッカークリニック2012年12月号』


『サッカークリニック2012年12月号』を読んだ。今回のテーマは「スペインの育成メソッドを解読せよ!」である。近年バルセロナやスペインサッカーの台頭もあり、スペインの育成というものが注目され始めている。特に日本人と体格が似ていて、それでも世界の頂点に立てるということで、育成年代の指導者が目を付けるのは当たり前なのかもしれない。しかしスペインの育成をそのまま真似してしまうのではなく、それをいかに日本人に合わせるか、自分のチームに合わせるかということが大事である。以下内容を引用する。


・子供たちがゴールの歓喜を見せることがないので、私がクリニックやキャンプを行うときには、「とにかくゴールを入れたら必ず喜ぼう」と設定する必要があります

・例えばFCバルセロナのU-12であれば、テクニック練習などはほとんど行いません。それがすべてできて当たり前の子供たちが集まってきているので、そこでテクニックなどをやる必要はないのです

・スペインでは「毎週しっかりと練習をしていれば試合でも勝てるようになる。負けるのは練習に問題があるからだ」と周囲の人は考える

・選手にインパクトを与えて、一瞬で変えることができるのが、いい指導者なのだ

・私はいつも3つのキーワード(「What」「Why」「How」)に沿って、メモを取りながらゲームを観るようにしています。〔中略〕かつての私はメモを取らず、記憶に頼っていました。「あれもこれも」と気になり、選手に言いたいこと、言わなくてはいけないことの整理ができていない状態で、ハーフタイムを迎えることがありました。〔中略〕そうした反省を踏まえ、今は、常に自分の記したメモを見ながら、誰に対して、どのように情報を伝えれば効果的か、できるだけ冷静に考えてから話をするようにしています


近年のサッカークリニックを読んでいても、「育成年代から戦術指導を行う」「テクニックは戦術指導と同時に鍛える」「ドリル練習はやらない」というような海外指導者の指導者が多い気がする。しかしここに書かれているように、その子供たちがバルセロナのU-12なのであればそれでよいのかもしれない。

しかし我々町クラブの育成指導者が子供たちに指導する際には、テクニック練習は必須になってくる。というのも、よくフロンターレ監督の風間氏が主張するように、ボールを自由自在に操れなければサッカーは面白くないからである。自分がボールを取られないという自信があるからこそ、子供たちはボールをもらいに動き、その動きによってスペースが生まれる。決してその逆ではない。

子供たちを見ていると、なかなかボールをもらうための動きをしないことがよくある。我々指導者からしてみると、「なんでボールもらいに動かないんだ?」「ボールをもらう気持ちがあるのか?」と思ってしまうが、その原因を正しく把握する必要がある。簡単に言うと、その子供はボールをもらいたいのではなく、ボールをもらうと相手にとられてしまうので本当はボールをもらいたくないのではないか、という可能性も考える必要があるのである。

そういう意味も含めて、近年の指導方針に逆らう部分もあるのかもしれないが、ある程度の時期まではテクニック練習は必須になってくる。目安としては子供たちが「ボールをもらっても相手に簡単には取られない」と自信がつくぐらいまでだろう。このような意味でも、スペインの育成をそのまま真似するのではなく、自分のチームに合った練習メニューを作成する必要がある。

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‎2012年度 JFAスポーツマネジャーズカレッジ神奈川県サテライト講座終了


「‎2012年度 JFAスポーツマネジャーズカレッジ神奈川県サテライト講座(10/27開講)」(http://www.kanagawa-fa.gr.jp/info/event/smc/20121027_01.htm)に参加してきた。この講座は偶然Web上で見つけたのだが、マネジメントという言葉に惹かれて参加してみた。

講座自体は3日間(3時間×6+α)なのだが、あっという間の時間である。グループワークで取り組む課題ほとんどで、頭を休める時間は全くない。しかも自分の将来のビジョンについて考える時間が多く、普段そのようなことを考えることのない私にはちょうど良かったと思っている。

サテライト講座では下記6つのセッションを学ぶことになる。

1.ビジョン
2.環境分析
3.コミュニティデザイン
4.SWOT
5.行動計画
6.目標管理

学ぶといっても講師の方の話を聞いている時間はほとんどない。次々と課題を与えられてそれを個人やグループで考え、最後に発表する。これの繰り返しである。サッカーやスポーツのクラブを経営している人たちが多く参加しているので、実体験に沿った話をすることができてとても勉強なった。

個人的に一番役立ったと思うのは、将来のビジョンをこの年になって改めて真剣に考えたということである。大人になればなるほど、自分でできることできないことをなんとなく判断して、それで限界を作ってしまうことが多い。私自身、受講する前はサッカーの指導は現状で満足していると思っていたのだが、将来のビジョンを考えてみるとまだまだやりたいことが多くあるということに気付かされた。

我々は日々忙しい時間を過ごしていて、将来のビジョンを考える時間がない。子供のころは「~になりたい」「~をやりたい」ということが次々に出てきたが、大人になると「そんなことを考えている時間があったら今できることをやろう」と短期的な思考に陥りがちである。

しかしこの講座で学んだのは、将来のビジョンが決まらなければ、短期的なアクションプランも決まらないということである。あくまでも将来の理想像が存在し、それに近づくためにアクションプランを考えるのであって、その逆ではない。もちろん計画通りにいかないことも多いと思うが、それはその都度修正していけばよい。まず自分の中での指針が存在しなければ、自分がその方向に進んでいるのか、それとも進んでいないのかも分からないだろう。

この講座では自分の夢(理想像)をグループ内でもしくは全体の前で発表する機会が多く存在する。今考えればとても恥ずかしいことを言っていたような気がするが、それは全員同じ気持ちだろう。全員同じように恥ずかしいことを発表するので、自分も将来の夢(理想像)を恥ずかしげもなく発表できる。それがこの講座に参加する一番のメリットなのかもしれない。

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『サッカークリニック2012年11月号』


『サッカークリニック2012年11月号』を読んだ。今回のテーマは「ポジショニングの原則を知る」である。ポジショニングについてしっかりと教えられるかどうかは、指導者の実力が問われるところである。小学生などの試合を見ていると、明らかに「それは違うだろ・・・」と言いたくなるようなポジショニングの指示を出している指導者や、ポジショニングの問題なのに「気合いが足りない!」と怒鳴っている指導者をよく見かける。しっかりとしたポジショニングの指示を出すためには、まず指導者自身が多くの試合を見て、勉強をしなければならない。以下内容を引用する。


・ユナイテッドには勝利に対するシンプルな哲学があります。それは、すべての試合に勝つというものではなく、10試合のうち7,8試合で勝つことを目指すというものです

・指導者が送ったアドバイスが彼の哲学に基づいたものであり、彼が指揮を執るチームでのセオリーとなるのです。そのチームに属する選手は、それぞれの指導者の哲学に沿った判断によって、正解と言えるポジションを取ればよいのです

・僕は、ポジショニングの前に技術力や球際の強さをアップしなければならないと思います。練習ではボール扱いに関することばかり言います。ボールを受ける自信のない子供に「良いポジションを取れ」と言っても無理がありますし、情報ばかり与えると変な方向に行ってしまう気がするからです

・私は指導する選手によく言います。「キーパーの練習をするのは1日2,3時間。それ以外の時間をできるだけサッカーとリンクさせてほしい。それがいいキーパーになるための方法だよ」と

・指導者の言った通りになって成功すると、この人の言っていることは間違いないと子供達は指導者を信頼し、それがカリスマ性につながっていくと思います

・「私はジョルディ・アルバにこのヨーロッパ選手権でおまえは世界最高のサイドバックになると伝えたんだ。その時、彼は私を非常に変な目で見ていたがね」

・最も大切なことは、子供たちが「楽しんだかどうか」です。2番目が「何を学んだか」であり、そして3番目が「勝ち負け」になります

・10歳~12歳ころの年代は「技術獲得のゴールデンエイジ」であるとよく言われますが、私はそれに続くジュニアユース年代の13~15歳ころは「頭のゴールデンエイジ」であると考えています

・現在私が指導しているチームでは、全てのゲームごとにまずは「やるべきリスト」と「やりたいことリスト」を事前に書かせています。そのゲームでチームや個人としてやるべきこととやりたいことをしっかりと意識させ、ゲーム後にはそれについて各自で振り返るようにしています。そしてやろうとしたことの達成度やその理由を書かせるようにしています


ポジショニングはそのチームの戦術によっても異なる。サイドバックにボールが入った際に、サイドハーフが開くべきなのか、それとも中へ絞るべきなのか、そのポジショニングの正解はそのチームの戦術によることが多い(もちろんとっさの判断も大事である)。しかしサッカーにはある程度の原則としてのポジショニングは存在する。育成年代、特に小学生年代においてはまずその原則のポジショニングを教えてあげることが大事なのではないだろうか。


また上記に書いてあるように、ポジショニングを教えるだけではなく同時に技術や球際の技術を教えることが大事である。子供たちによっては自分にボールが来ないように動く子もいる。なぜなら自分に技術がないため、ボールが来ると取られてしまう可能性が高いということを、自分なりに理解しているからである。そのような子供に対して正しいポジショニングを教えたとしても、そもそもの根本原因を解決しなければポジショニングは修正されない。技術の問題なのか、メンタルの問題なのか、それともポジショニングの問題なのかを指導者が見極めることが大事である。

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小学生に筋トレは必要か?


私事で恐縮だがこのたび筋トレを始めた。このタイミングで始めた理由はいろいろあるのだが、長期的に健康を維持したいというのが一番のポイントである。


さて、私の話はどうでも良いとして、「小学生年代では筋トレは意味がない」という話を聞いたことはないだろうか?また「小学生年代から筋トレをすると背が伸びなくなる」という話を聞いたこともあるかもしれない。いずれにせよあまりに小さいうちから筋トレをするのは逆効果であるというのが一般的な言説だろう。


よく言われる説明としては、小学生年代は神経系の発達がピークのため、コーディネーションやボールタッチの練習が重要であるということ。逆に筋肉系の発達は中学生後半~高校生年代にピークになるため、この時期に行い始めるのがベストであり、小学生年代に行っても効果が薄いということである。確かにこの説明は科学的にも証明されていて、個人的経験においてもある程度正しいと思っている。


しかし日本サッカー協会の指導指針においては、小学生年代のトレーニングにも筋トレが紹介されている。というのも現代の小学生は外で遊ぶ機会が少なく、全体的に基礎体力が低下しているという風に言われているからである。


確かに我々が小学生だったころに比べると、外で遊ぶ機会が減っているような気がする。というよりも家の中で遊べる選択肢が増えているのである。テレビゲームやインターネット、携帯電話アプリなど、外で遊ぶ意外に楽しいことはたくさんある。外で遊ぶ以外に遊ぶ方法がなかった昔に比べると、基礎体力が減っているということはある程度仕方がないのかもしれない。よって日本サッカー協会は基礎体力を補うために筋トレを薦めているというわけである。


ただここで言う筋トレというのはバーベルや重りを使ったトレーニングではない。あくまでも自重負荷を利用した体幹トレーニングのことである。体幹トレーニングはインテルの長友選手がやっているということもあり、巷でも有名になり始めている。私が今回始めた筋トレもこの体幹トレーニングであるが、見た目以上に結構きついトレーニングである。


体幹トレーニングは一度に全身の筋肉をバランスよくトレーニングすることが出来る。またバランスをとるのが難しい体勢を維持したりもするので、バランス感覚が鍛えられるのはもちろん、身体の奥の筋肉(インナーマッスル)を鍛えることが出来るといわれている。


個人的には日々のトレーニングに体幹トレーニングを入れる入れないはどちらでも良いと思っている。なぜなら、あくまでも小学生年代では神経系を刺激するようなトレーニング(コーディネーション、ボールタッチ)を中心にすべきだと考えているからである。しかしもし時間的余裕があるのであれば、ウォーミングアップやクールダウンの一環として、一部メニューに加えるのも良いのかもしれない。体幹トレーニングについては下記を参考にしてみると良いだろう。


体幹力を上げるコアトレーニング

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『ファーガソンの薫陶』


サー・アレックス・ファーガソン。サッカーに関わる人でこの名前を知らない人はいないだろう。名声、実力ともに世界No.1の監督といっても過言ではないファーガソンは、あのマンチェスターUで26年目のシーズンを迎えている。しかも今年は香川が加入したことで日本国内からの注目も集まっている。


私はこのブログ内で何度かファーガソンについて言及してきたが、本格的にファーガソンについて記述した本が発売された。『ファーガソンの薫陶』という何とも味のあるタイトルをつけた本である。さっそく読んでみたので内容について記述しようと思う。


ファーガソンは現在70歳である。70歳というと一般的にはとっくに定年退職をしている年齢だが、ファーガソンは全くその気配がない。一度60歳で辞めるという噂が立ったことがあるが、そこからもう10年近くもあのマンチェスターUで監督を続けている。その精神力、体力、勝利へのこだわりは年齢とともに高まっているような気もしてくる。


なぜそこまでできるのか。その理由の一つにファーガソンがマンチェスターUの一番のファンだということがあげられる。ファーガソンはマンチェスターUの監督に誘われたときに、給与は度外視してまで立候補をしている。それだけマンチェスターUが好きだからこそ26年間も監督を続けられるのである。


「ファーガソンがマンUを神格化しているというのは、あながち誇大妄想ではない。彼をよく知る人は必ずこう口を揃えるからだ。「ファーギーはユナイテッドの一番のファン、世界で最も熱狂的な信者なんだ」と。」(p110)


これはサッカーだけではなく別の仕事をしている人にとっても同じことだろう。例えば自社の製品、サービスが大好きな人は、その会社で長期間働こうとする。もちろん消費者としての立場と社員としての立場は違うかもしれないが、自社製品、サービスが好きではない人がその会社に長期的にいられるとは思えない。ファーガソンはマンチェスターUがの一番のファンであり、子供のころからマンチェスターUの監督になることが一番の夢だったのである。だからこそ26年間も監督を続けられるのである。


またファーガソンといえば「ヘアドライヤー」というキーワードが出てくることが多いだろう。なぜ「ヘアドライヤー」かというと、ファーガソンがブチ切れたときに選手の目の前でどなり散らすため、先週はあたかも髪が逆立つぐらいの恐怖を味わうからである。せっかくサー・の称号を与えてもらっているのだが、ブチ切れたときのファーガソンは全く紳士的ではない。ファーガソンは「ヘアドライヤー」について次のように語っている。


「監督たるもの、絶対に議論に負けてはならない。控室で誰かが私に挑んできたときには、相手を叩かなければならない。それが私のやり方なんだ。(選手と)ぶつかるのは避けられないと思う」

「性格的にキレやすいところがあるのなら、それをそのまま出せばよい。心のなかにとどめておいてはだめなんだ。そんなことをすれば一人で不満を言いながらドアを蹴ったりするハメになるし、本当の感情を相手に伝えられなくなる。自分に関する限り、怒りを覚えるのは問題じゃない。キレるのはオッケーなんだ・・・正しい理由でそうするならば」(p92)


と全くブチ切れることについて悪いとは思っていない。しかしそれぐらいの覚悟がなければスーパースターをまとめることは不可能なのである。ファーガソンは性格的に短気で悪そうなスーパースターをまとめるのが上手い。例えばエリック・カントナ、ポール・スコールズ、ウェイン・ルーニー、クリスティアーノ・ロナウド、ネマニャ・ビディッチなどなど。これだけの選手をまとめるのどれだけ大変かは想像しただけでもわかるだろう。これも「ヘアドライヤー」があるからこそなのである。


また、基本ファーガソンのマネジメントは規律重視、マイクロマネジメントである。まずファーガソンがマンチェスターUに来て行ったことは飲酒の禁止である。マンチェスター市内の酒場に関してはファーガソンのスパイがいて、選手が飲酒をしないように見張っているという噂もある。またマンチェスターUの練習開始時刻は一般的なプロサッカーチームよりも早い。これは夜遅くまで飲酒をしないようにという意味があると言われている。


「毎年アカデミーやジュニアチームに入ってくる金の卵。ファーガソンが彼らにまず教えるのは、ディシプリン(規律)の重要性だ。子供の視点に立ってフランクな態度で接しつつも、マンUの一員として守るべきルールを説くのである。言葉遣いや話し方はもちろん、髪や爪はきちんと切っているか、移動のときなどにはきちんと定められたジャケットを着て、ネクタイを身につけているか。ロッカールームや宿舎はきれいにしているか。ジャンクフードばかり食べていないか・・・。目配りの細かさは、生活指導の先生のノリに近い」(p64)


しかしこれだけの規律を設定し、マイクロマネジメントをしていても選手から慕われるのはなぜなのだろうか。それは結果である。ファーガソンは誰にもまねできないような実績、結果を出し続けている。だからこそ彼らはファーガソンの言うことに従うのである。規律が先か、結果が先かという問題もあるが、これは育成年代の指導においても参考になる部分が多いだろう。


ファーガソンはこれといって特殊な戦術、戦略を用いているわけではない。4-4-2をベースにした典型的なイングランドスタイルを基本とし、相手の強さ、ホーム/アウェーによって4-2-3-1を使い分けたりする。ただファーガソンが誰よりも勉強熱心で、読書家であるということはあまり知られてない部分である。常に最先端のサッカーを分析し、自分たちのチームに取り込めようとしている。最近ではバルセロナの影響か、スペインのコーチ陣を加えたことでも話題になった。ちなみにマンチェスターUのトレーニングは下記を参考にするとよい。


http://www.youtube.com/watch?v=BqZvqQNQWh8


ではファーガソンの次の監督は誰になるのか。ファーガソンといえども不死身なわけではない。70歳となれば次の後継者を探すことも視野に入れているだろう。現在候補として挙げられているのはジョゼ・モウリーニョとジョゼップ・グアルディオラの二人である。それぞれ求めるサッカースタイルは異なるが、ファーガソンの後を継げるのは彼らしかいないというのが正直なところだろう。ただ私はまだまだファーガソンが現役でマンチェスターUの監督を続けてくれることを願っている。


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『サッカークリニック2012年10月号』


『サッカークリニック2012年10月号』を読んだ。今回のテーマは「練習メニュー決定方法」である。指導者にとって練習メニューは自分の財産であるといっても過言ではない。選手にとっての本番は試合だが、指導者にとっての本番はトレーニングである。そのために最も効果の高いトレーニングを常に追及する必要がある。下記内容を引用する。


・メンバーは毎年変わる→メンバーや特徴を考慮→理想像は変化する→目指すサッカーを決定→選手に提示する→理想像をイメージさせる→練習は理想像に近づくため→練習メニューに落とし込む

・サッカーの醍醐味であるシュートを最初に行うことで、「シュートに達するためにはその前が重要になるでしょう?その重要さを感じながら練習しよう」と伝えることが出来ます

・日本では、選手たちが主体となって毎回同じウォーミングアップメニューをこなす場合があるようですが、ドイツではコーチがメインメニューから逆算して練習を組み立てるので、ウォーミングアップメニューも毎回異なります

・ドイツでは試合直後に長いミーティングを行うことはありません。直後に多くのことを言っても選手の耳には入らないので、多くの場合、ミーティングは次の練習時に行います

・あまりにも厳しい約束事があるようにも感じます。例えば、試合に負けたために罰としてランニングを課すことがあると聞きます。しかし試合に負けた責任は、練習をオーガナイズし、試合の指揮を執った指導者にあるはずです。ですから走るべきは指導者だと思います(笑)

・勝負へのこだわりを練習から持たせなければなりません。ブラジルでは「1対1では絶対に負けるな。負けたらもうお前はこのクラブにはいられないよ。試合には出られないよ」と言います

・子供が伸びるのは、子供が飢餓状態にあり、しかもそれが開放されたときです。そうであれば子供は短期間で成長します

・試合に勝つためにシュートは欠かせませんが、私たちはシュート練習を全く行わないので、シュートが決まりません。すると選手はストレスを感じるようになります。その結果、子ども自身が「シュートが上手くなりたい」「キックが上手くなりたい」と思うようになり、その時期のシュート練習は非常に効率が良いものとなります

・サッカーの楽しさとは、緊張感を持って厳しい練習を積んだあとに目標を達成でき、満足感を得られる、そういった楽しさであることを知ってほしいんです

・指導者の言うことがコロコロ変わり、目指すサッカーがはっきりしないようでは、試合に負けた際に、子供たちも何がダメだったかがわからず、次に向かうことが出来ないでしょう

・僕がボルシアMGにいたときには「半年間は同じメニューを使わないように」といわれました

・指導者が「3メートル動け」と指示するのは簡単ですが、われわれの仕事は答えを与えることではありません。選手自身が考えるように仕向けることです

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小学生のサッカーはなぜ蹴り合いになってしまうのか?


小学生年代のサッカーはどうしてもボールの蹴り合いになってしまうことが多い。これはレベルが低いチームであればある程そうなってしまう。小学生のチームでしっかりとビルドアップして、ボールをつないでゴールまで迫るチームはなかなか多くない。


なぜなら子供たちには恐怖心があるからである。どんな恐怖心かというと「ボールを取られる恐怖心」である。もっといえば「ボールを取られて相手にゴールを決められるかもしれないという恐怖心」である。これがあるからこそ子供たちはすぐにボールを蹴ってしまう。


指導者が子供たちに対して「落ち着いてボールをつなげ!」と指導したところで、子供たちの恐怖心がなくならない限りにはこの問題は解決しない。よってチームとして安易にボールをけらずに、ビルドアップさせるためには、まず「ボールを取られる恐怖心」をなくさなければならない。


「ボールを取られる恐怖心」をなくす一番簡単な方法は「ボールを取られないようになる」ことである。子供たちはボールを失うことが怖い。よってボールを失わなければよい。もっといえばボールを失わない自信を身につけさせればよい。しかしここからが問題である。どうやってボールを取られないようにすればよいのか。これは個人一人ひとりのレベルを上げるしかない。


私のチームでは毎回1対1のボールキープのトレーニングをしている。最初2人組で背中合わせになり、背中の間にボールを挟む。そして笛の合図で振り返り、3秒間でどちらが最後にボールキープをしているかを競う。こうすることで子供たちがボールを持ったときにパスを出す相手がいなくても、判断を変えてキープをする技術を身につけることができる。


あとはドリブルの技術をを磨くのが手っ取り早いだろう。バルセロナがパスサッカーで成功しているのは、キープ力とドリブル力があるからである。もちろんパスもうまいのだが、相手がシャビ、イニエスタ、メッシからボールをとることができないため、バルセロナの選手は簡単に彼らにボールを預ける。そしてボールは必ず彼らを経由し、彼らがパス回しのハブとなることで華麗なパスサッカーを実現するのである。よってビルドアップをするためには、逆説的に聞こえるかもしれないがキープ力やドリブル力が必要になる。


あとは本当にビルドアップをするチームを作りたいのであれば、最初はある程度結果は無視するしかないかもしれない。どうしても小学生年代でビルドアップをしようとすると、ゴール前でボールを取られてそのままゴールにいれられてしまうことが多くなる。そして子供たちもそれを恐れているため、安易にボールを蹴ってしまう。


さらに子供たちはボールを取られることのほかにも恐れていることがある。それはボールを取られたときに指導者から怒られるという恐怖である。おそらくその恐怖を取り除いてあげなければ、ビルドアップを子供たちが好むとは思えない。よって指導者にもある程度の我慢、結果を許容する判断が必要になってくるのではないだろうか。

声を出すことは習慣である


「試合中に声が出ない・・・」


このような悩みを持っている指導者はいないだろうか?子供たちは遊んでいる時間はすごく元気に声を出してはしゃいでいる。しかしサッカーの試合になると黙りこくってしまう。点が入ったりすればチーム全体が盛り上がるが、逆に点を入れられてしまうと全く声が出なくなる。こんなチームをどこかで見たことはないだろうか。


おそらく私含め多くの指導者がこの悩みを抱えているだろう。そしてどうにかして試合中に声を出させるように努力をしていると思う。ベンチから「声だそうよ!」「盛り上げようよ!」「黙るな!」こんな指示を出していて、結局コーチ陣のほうが声を出しているという矛盾に陥ることもあると思う。


サッカーの試合中に出す声にも2種類ある。


1.指示の声
2.盛り上げる声


この2つの声は両方とも大事である。声にの重要性に関してはまずサッカーがチームスポーツであることに関係する。サッカーは1人でやるスポーツではなく、11人でやるスポーツである。よってチームワークというものが結果に大きな影響を与える。一人ひとりが自分勝手にプレーをしているチームは、サッカーの試合では決して勝つことができない。


まず指示の声については言うまでもないだろう。「右に寄れ!」「マークつけ!」「カバーしろ!」「OK!」このような声が試合中になければ、チームとしてバラバラになってしまう。指導者がいくら戦術を教えたとしても、実際に試合中にプレーをするのは選手である。よって選手自身で指示の声、戦術の声を出さなければ全く意味がない。指導者は試合中に自分がプレーすることはできないからである。


そして盛り上げる声についても指示の声と同じぐらい重要である。人間はチームワークを発揮すると、誰もが予測ができないようなパフォーマンスを発揮することがある。それは1人分の力×11人=11人分の力ではなく、チーム全体として11人分以上の力を発揮するのである。そしてこのような場合には必ずチーム全体が盛り上がっていることが多い。全員が集中して、声をよく出し、誰もが楽しそうにプレーしている。そんな状態を作るのに必要なのが盛り上げる声である。


と、ここまで書いてみたが、多くのチームはこの2つの声が出ないことが多い。前述したように点数を入れた時、勝っているときには声が出ることもある。しかし点を入れられたとき、負けているときなどはその声が全くなくなってしまう。もちろん気持ちはよくわかる。点数を入れられてガックリ来ないのはおかしいし、負けているときには気持も下がってしまうだろう。しかしそれでは劣勢を跳ね返して逆転することは難しい。


この問題についての解決策は未だに発見できていない。しかし1つ思うのは、これらの声はすべて習慣であるということである。つまり試合中にいくら声を出せと言ったところですぐに出すことは無理である。あくまでも練習中に声を出すことを習慣づけておかなければ、試合中に声を出すことは難しいのである。ただ子どもたちはこのことを理解してくれないことが多いのだが。。。


1つのアイディアとしては、練習中に声を出すトレーニング、声を出さざるを得ないトレーニングを入れてしまうということである。単純に声を出すトレーニングでは時間の無駄が多いが、ボールを使ったり、コーディネーショントレーニングの間に入れたりすれば、決して時間の無駄になることはない。ただこれについてはどこかにトレーニングメニューがあるわけではないので、私含めて指導者自身の工夫によって新たなメニューを作り出す必要があるだろう。

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『欧州サッカー名将への挑戦状』


小宮良之氏+ヘスス・スアレス氏の共著『欧州サッカー名将への挑戦状』第2弾を読んだ。前作でもスアレス氏の毒舌振りが炸裂していたが、本作も同様である。彼独自の視点で欧州サッカーの名将を分析している。今回は下記監督がターゲットとなっている。


・ジョゼ・モウリーニョ
・マヌエル・ペジェグリーニ
・チェザーレ・ブランデッリ
・ヨーゼフ・ユップ・ハインケス
・ローラン・ブラン
・ディエゴ・シメオネ
・ヨアヒム・レーヴ
・アンドレ・ビラス・ボアス
・マルセロ・ビエルサ
・ジョゼップ・グアルディオラ


読めばわかると思うが著者はボールポゼッションサッカーが大好きである。よって必然的に上記監督の中でも、ボールポゼッションを中心とした戦術を取る監督のことを賞賛している。その中でも著者の友人であるジョゼップ・グアルディオラに心酔しており、必然的にその対抗馬として語られることの多いジョゼ・モウリーニョを痛烈に批判している。


ただしグアルディオラに対しても戦術上、采配上の批判をしっかりとしている部分は良い。あくまでも著者はサッカーライターであり、バルサ信者でもグアルディオラ信者でもない。ただ文章が強烈なので、普通に読んでしまうとそのように感じることもあるだろう。


モウリーニョに対しても、ポルト以前のモウリーニョに対しては賞賛をしている。なぜならポルト以前のモウリーニョはポゼッション重視の攻撃サッカーを基調としていたからである。しかしチェルシー、インテル、レアル・マドリードと勝利を求められるクラブに渡っていくにつれて、サッカースタイルがディフェンシブかつカウンター中心になったと批判している。


著者はアレックス・ファーガソンについては、「殿堂入り」として前作に続き記述をしていない。しかし個人的に思うのは、アレックス・ファーガソンについて記述をするのが難しいと感じているのではないだろうか。


アレックス・ファーガソンはマンチェスター・ユナイテッドで20年以上指揮を執っており、毎年少しずつ目指すサッカーを変化させている。例えば今年においては日本代表の香川を獲得したことにより、より細かいスペースでのボール運びを攻撃戦術に組み入れようとしている。これは「低いブロックを作って守備をする相手をどう崩すのか?」という近年の戦術の流れを上手く反映している。


アレックス・ファーガソンのサッカーはボールポゼッションを中心としているわけでも、ディフェンスを固めてブロックを作ってカウンターを中心とするサッカーでもない。アレックス・ファーガソンの関心ごとは試合に勝つこと、そして意外と語られないのが選手を育成することにある。よって攻撃のスタイルはポゼッションもあればショートカウンターもあり、またセットプレーもある。ディフェンスもオールコートのハイプレスもあれば、ブロックを作ってのプレッシングもある。その時々に応じて変化させられるのがアレックス・ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッドなのである。


おそらく著者が第3作目を出すのであればアレックス・ファーガソン抜きにしては成り立たないだろう。ある程度この2作で著者が言いたいことはわかってしまった。アレックス・ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッドのサッカーを著者がどう料理するのか、私の期待はそこにしかない。

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プロフィール

Author:吉田憲吾
2006年より坂本SCで小学生にサッカーを教えている。日本サッカー協会公認指導者ライセンスC級(サッカー、フットサル)取得。2010年より日本ヒューレット・パッカード(HP)株式会社でStorage Salesを担当。TOEIC850点。

主なブログ:
営業マンの、営業マンによる、営業マンのためのブログ
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