サッカーにおいても宿題を出す


宿題。


あなたはこの言葉を聞いてどんなことをイメージするだろうか?おそらく多くの人にとってこの言葉は嫌なものを連想させるとおもう。学校の宿題、塾の宿題、大学のレポート、、、いろいろなものが思い起こされるだろう。


ではあなたはサッカーで宿題を出されたことはあるだろうか?おそらくないと思う(私自身もない)。可能性があるとしてもサッカーノートを試合後、もしくは練習後に書いてくるというような宿題だと思う。


しかしサッカーが上手くなるためには、自分自身で努力することが一番大事である。プロになるような選手は必ず影で努力をしているし、サッカーに限らずどんな職種、ジャンルにおいても成功する人は必ず自分自身で努力をしている。


それだったらサッカーにおいても宿題を出して、影で努力をする習慣をつけさせればよい。おそらく子供は口で「練習しろ」と言ってもなかなか練習しない。ごくまれに自分で計画を立てて自主練する子がいるが、大部分の子はいわれたことしかやらないのである。それだったらこちらから宿題という形で課題を出せばよいのではないだろうか。


例えば私の教えているチームでは今週次のような宿題を出した。


・1週間で合計5000回リフティング(左右それぞれ2500回ずつ)


これを多いと見るか少ないと見るかはその子によるだろう。普段からリフティングの練習をしている子にとっては1週間あれば簡単に達成できると思う。しかし普段何もしていない子にとっては多いと感じるかもしれない。


とはいえ、私自身もこの宿題を全ての子が達成できるとは思っていない。しかしこの宿題を出すことによって、自分で時間を作ってボールを触る機会が少しでも多くなればよいと思っている。一人でボールを持って外に行った子が、一回もボールを蹴らずに家に帰ってくることはない。もちろん理想としては、この宿題を楽々こなし、自分自身で課題を見つけて取り組んでくれることを期待しているのだが。


特に小学生チームの練習時間は、土日の週1回もしくは2回というチームが多いと思う。正直言ってそれだけの練習時間で子供を上手にさせようと思うのは無理がある。しかしそれ以外の時間を普段仕事をしているボランティアコーチが取ることは出来ない。だとすれば毎週宿題を出して、子供たち自身で取り組んでもらうしか方法はない。


しかもこれはサッカーだけに役立つというわけではない。幼少期から影で努力をする習慣をつけさせれば、大人になったときにどのジャンルにおいても影で努力をするようになる。また、スキマ時間を上手く使って目標を達成する習慣もつくだろう。


さっそく練習前に宿題を出したところ、練習のスキマ時間にリフティングに取り組んでくれる子も出てきた。学校の宿題というとネガティブなイメージがあるが、自分が好きなサッカーの宿題であれば子供たちも積極的に取り組むのである。

なぜモウリーニョのチームは守備的だと批判されるのに大量得点を取れるのか?


またモウリーニョのチームが優勝した。レアル・マドリードがライバルのバルセロナからリーグ優勝を4シーズンぶりに奪い取ったのだ。モウリーニョは常々3大リーグで優勝したいと望んでいたため、プレミア、セリエA、リーガの3大タイトルを取ったことで今後の去就が注目されている。おそらく(すぐにではないと思うが)今後はポルトガル代表の監督になってワールドカップ優勝を取りにいくだろう。


ただ、モウリーニョがこんなにも優秀な監督なのにも関わらず、アンチモウリーニョというものは必ずいる。特に一番多い批判は「モウリーニョのチームは守備的だ」というものである。単なる妬み、僻みの可能性もあるのだが、確かにモウリーニョのチームの試合は守備的に見えることもある。しかし結果だけを見てみると、今シーズンも36節終了時点で115得点はバルセロナを抑えてリーグトップである。


なぜモウリーニョの率いるチームは得点をこんなにも取っているのに守備的だと批判されるのか。逆に言えばなぜ守備的と批判されるのにこんなにも得点が取れるのか。その謎について今回は書いてみようと思う。ポイントは2つある。


1.守備ブロックを作って相手のミスを待つ

モウリーニョのチームは守備ブロックを作ってゾーンで守るのが基本である。特にディフェンスの4枚、CHの2枚はまずブロックを作ることが要求されている。またサイドハーフに関しても基本は守備ブロックを作って、トップ下の選手とともに合計9枚の守備ブロックを作る。レアルの時にはクリスティアーノ・ロナウドがあまり守備をしないため8枚に見えるときも多いが、チェルシー時代、インテル時代含めてこれが原則となる。

モウリーニョのチームの守備で特徴的なのは、アプローチの距離である。意外なことにモウリーニョのチームのディフェンスは積極的にプレスをかけるのではなく、相手のミスを待つディフェンスである。良く見るとわかるがアプローチの距離も遠いし、ディフェンスがしっかりと腰を落として隙あれば奪いに行くというディフェンスではない。あくまでもスペースを生めて、パスコースだけ切って、あとは相手のミスを待つというディフェンスである。これは特に1点とってリードしたあとに顕著で、CFもハーフラインまで引いて、ディフェンスもペナルティエリア近くまで引いて、全員でスペースを生めることに専念する。

これだけだと押し込まれて点を取られてしまうのではないか?と思う人もいるかもしれない。しかしモウリーニョのチームで特徴的なのは、まず強固なGKを常に抱えていることである。レアルであればカシージャス、インテルではジュリオ・セザール、そしてチェルシーであればペトロ・チェフという素晴らしいGKがいる。ディフェンスラインを下げたときに注意しなければいけないのはロングシュートだが、彼らは単純なロングシュートであれば難なくとめることが出来る。

また、CHにも守備が出来る選手を並べることが多い。ケディラ、エッシェン、カンビアッソ、ディアッラなど必ず一人は守備の職人を据える。残りはランパード、シャビ・アロンソ、スタンコビッチなど攻撃も出来るような選手をおくことが多いが、彼らにもしっかりと守備をさせる。これによって押し込まれても点数を取られないような守備を作るのである。

もちろん相手がバルセロナのようなチームの場合には前線からプレスをかけるような戦術をとることもある。しかし原則は8人〜9人で守備ブロックを作って、積極的な守備をせずに相手のミスを待つようなディフェンスをする。よって必然的にボールキープ率は低くなり、守備的だと見られることが多いのである。


2.高速ショートカウンター

モウリーニョのチームはそれでもたくさんの得点を取る。そしてその大部分が高速ショートカウンターである。レアルマドリードではクリスティアーノ・ロナウド、ベンゼマ、カカ、イグアイン、インテル時代はミリート、スナイデル、エトー、パンデフ、チェルシー時代はドログバ、ロッペン、ジョ・コール、ランパードなど優れたアタッカーを抱えていることも大きな要因の一つではある。しかしここのタレントがすごくてもこれだけ多くの得点を取れるのには他の秘訣がある。

少し考えてみて欲しい。以下の2つのトレーニングをした場合、どちらが多くの得点を取れるだろうか。

.フェンス3枚、ディフェンス4枚(うち一人GK)のトレーニング
▲フェンス8枚、ディフェンス9枚(うち一人GK)のトレーニング

フィールドの枚数はそれぞれ同数である。よって違いは合計人数が多いか少ないかだけである。しかしおそらく,里曚Δたくさんの点数が取れる。なぜなら△両豺腓呂垢任GK+8枚の守備ブロックが出来ているからである。逆に,里曚Δ3人のDFしかいないため、守備ブロックを作ることができない。しかもスペースがあらゆるところにある。

モウリーニョのチームは意図的に攻撃の時には,両況を作り、守備の時には△里茲Δ幣況を作っている。順番としてはまず守備で△里茲Δ幣況を作り上げる。そして相手がどんどん上がってきて、相手陣内が,里茲Δ幣況になるのを待つ。それまでは積極的にボールを取りにいかず、相手のミスを待つだけである。そしていったんボールが取れるとすばやく前線にボールを送り、,里茲Δ幣況で攻めきる。そのためには高速ショートカウンターが出来るようにボールがキープできるCF(ベンゼマ、イグアイン、ミリート、イブラヒモビッチ、ドログバ、グジョンセン)とウイング(クリスティアーノ・ロナウド、カカ、エトー、ロッペン、ジョー・コール)などが不可欠なのである。

しかも彼らは他の選手に比べて体力があまっている。なぜならモウリーニョのチームのディフェンスは激しいプレスをかけるのではなく、あくまでもパスコースだけ消して相手のミスを待つだけだからである。むしろ攻撃的な選手はショートカウンターのために体力を温存していると考えても良い。また彼らを生かせるようなスペースも意図的に作り出している。よってあれだけの爆発的なスピードを持った高速ショートカウンターが出来上がるのである。

このようにモウリーニョのチームは原則高速ショートカウンターで得点を取ることを目的としている。特に1点リードしたあとにはこのような状況になることが多く、むしろ相手がどんどん攻めて来てくれたほうが得点を取りやすい。よって内容的には押し込まれているように見えても、結果的には高速ショートカウンターで大量得点を取れる。しかし見ているほうとしては攻撃している時間が短いのでどうしても守備的に見えてしまうのである。


と、このようにモウリーニョのチームは意図的に守備的に見えるような状況を作り出している。なぜなら彼らにとってそれが一番攻撃的なスタイルだからである(実際に大量得点を取れているし、、、)。しかし「ボールをキープしているチーム=攻撃しているチーム」という認識を持っている人にとっては、モウリーニョの考え方は理解できない。あくまでもバルセロナのようなチームが攻撃的なチームであるという考え方にいたってしまう。しかしサッカーはそんな単純なスポーツではない。ボールをもたれていても主導権を握ることは出来るし、ただ単にボールを回させられているチームもある。「たくさん得点を取れるチーム=攻撃的なチーム」という立場に立てば、まさしくモウリーニョのチームは攻撃的なチームなのである。

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トレーニングメニューは豊富なほうが良いのか!?


あなたは何種類のトレーニングメニューを提供できるだろうか?


「そんなの数えたことないよ」という人も多いだろう。私もそのうちの一人である。サッカーノートにトレーニングメニューを書いてはいるが、それらが合計何種類あるのかはわからない。また、いろいろな種類のトレーニングをやっているが、ある程度Warm-upのときにはこのメニュー、対人のときにはこのメニューなどというのが頭に入っているだけである。


現レアル・マドリード監督のジョゼ・モウリーニョのトレーニングノートには、約300種類のトレーニングメニューが眠っているといわれている。次の対戦相手の分析を周到に行い、その中からそのときに最適なトレーニングメニューを提供しているのである。また、前日本代表監督のイビチャ・オシムは同じトレーニングメニューを2度使ったことはないらしい。似たようなトレーニングはあっても、ルールや人数が常に異なっているのである。


あなたが日々トレーニングメニューを組む際に、常に行っているトレーニングはあるだろうか?おそらくWarm-up時のトレーニングは固定しているチームが多いと思う。では、それ以外のメニューはどうだろうか?毎回同じようなメニューを繰りかえてしてはいないだろうか?


個人的には小学生年代のトレーニングは、たくさんのメニューを提供できたほうが良いと思う。なぜなら子供は飽きっぽいからである。私も同じトレーニングを毎週行っていたこともあるが、だんだんとそのメニューに慣れてきて、子供たちから活気がなくなってきた。もちろんそのトレーニング自体は上手になっていくのだが、「またか、、、」というような雰囲気がチーム内に発生することがある。


私が中学生のときのトレーニングもほぼ毎日同じだった。いわゆる基礎練習をやって、センタリングシュートをやって、最後にGameというのが毎日3年間続いた。今でも思い出すが、また「今日も同じか、、、」という気持ちを常に持っていた気がする。こうなると選手のモチベーションのダウンは避けられないだろう。


選手はトレーニングに新たな発見がないと自分が成長した気持ちになれない。モウリーニョのチームの選手がよく言うのは、「毎回のトレーニングが勉強になるから、たとえ試合に出なくても上手になっている気がする」というものである。監督としてこれ以上の賛辞はないだろう。


数多くの種類のトレーニングメニューを提供するためには、常に新しいトレーニングを考え出さなければならない。またそのネタ探しとして常に勉強することが求められるだろう。もちろんそれら全て常に効果的なトレーニングでなければならない。選手にとっては試合が本番だが、指導者にとってはトレーニングが本番だからである。


私もまだ行っていないが、サッカーノートと一緒にトレーニングメニューだけをまとめたファイルを作ろうと考えている。ルーズリーフか何かにすれば、後からメニューをどんどん足していけるだろう。またWarm-up用、基礎練習用、対人用、ゲーム形式用などグループごとにまとめるのも良いかもしれない。そして最終的にはオシムのように豊富なトレーニングメニューを提供できるようになりたい。

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『サッカークリニック2012年5月号』


『サッカークリニック2012年5月号』を読んだ。今回のテーマは「選手の良い失敗と悪い失敗を考える」というものである。指導者は選手が失敗したときの対処で実力が問われる。選手が失敗したときにただ単純に叱るのか、それとも励ますのか、そのときの言葉はどうするのか、直接伝えるのか間接的に伝えるのか、など様々な方法の中から選ばなくてはならない。下記内容を引用する。


・「脚本がなければ、あるのはアドリブだけ。それは安易な方法だ」 ベルトルト・ブレヒト

・「優れた騎手であるために、馬だった必要があるだろうか?」 アリゴ・サッキ

・「もっと激しく」「もっと厳しく」「もっと速く」と言うだけでは、効果がありません。コントロールの場所、パスの質、タイミング、ポジショニングなど、細部に目を向けていきましょう

・技術的なミスに関しては?
→ほとんど言いません。ただ、ボールを奪われたあとの切り替えが遅い時はかなりいますが・・・。技術ミスを指摘しているとキリがありません。

・技術面のミスで言うと、私はトラップのコントロールミスについてはあまり指摘しませんが、どちらの足でトラップするかについては言います。

・あとは、パスの強弱についてもうるさいです。常に強いボールではなく、パスに強弱、緩急をつけます

・個人的には小学校、中学校まではレベルで分けず、最も高いレベルではないにしても、中間より上のレベルで練習したほうが良いと思います。こうするとできない子供にできる子供が教えるというシーンが見られるのです

・ある練習をフルコートと小さめのグリッドで一定時間行って、子供のプレー頻度を比較した。するとフルコートでは5回だったボールタッチ数が、小さなグリッドでは20回となった

・トレーニングのメニューとは、たった一人の選手を加えただけで、まったく違うものになってしまう危険性があるのです。その点は指導者が注意しなければなりません。「今日は選手を一人増やして少し違う練習にしてみよう」という安易な発想ではなく、指導者は目的を明確にして練習に臨むべきです


子供たちの失敗について一般的に良く言われるのは、技術的なミスは叱らず、戦術的ミス、練習態度などについては厳しく指摘するということである。これは柏レイソル監督のネルシーニョも同様のことを言っている(技術的なミスは叱らない)


また常にミスに対して怒ってばかりいると、だんだんと子供たちは指導者の話を聞かなくなってくる。しかも怒られている内容について聞かなくなるだけではなく、普段の話の内容も聞かなくなってくる。これは一種の防衛本能だといわれているらしい。ミスを指摘することも大事だが、それ以上に良いプレーに対して褒めてあげることのほうが大事だろう。

テーマ : サッカー
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鬼ごっこをWarm-upに取り入れる!


私のチームではたびたび鬼ごっこをWarm-upに取り入れている。というのも、鬼ごっこは相手との駆け引きを磨くのに最適で、それと同時にコーディネーション能力も磨くことができるからである。


最近の子供やあまり外で遊ばないという話を聞く。実態はどうなのかわからないが、もしそれが本当なのであれば、外で鬼ごっこやドロケイをやる回数も少なくなっているはずである。昔の子供は遊びの中で鬼ごっこやドロケイをやり、相手との駆け引きを身に着けていた(という話を良く聞くが実態はわからない)。本当に外で鬼ごっこをやる回数が少なくなっているのであれば、サッカーのWarm-upに鬼ごっこのようなトレーニングを入れるのは効果的である。


まずサッカーは相手との駆け引きのスポーツである。いかに相手の裏をかいてマークを外すか、相手の逆を取るかというのが重要なファクターになる。これは指導者が教えて身につくこともあれば、遊びの中で子供たちが自然に身に着けることもある。いわゆる日本のサッカーに足りないといわれる(これも実態はわからないが)マリーシアを身につける必要があるのである。


現代サッカーではボールを長い間持つためのスペースや時間はほとんどない。しかし上手な選手はそのスペースや時間を自分で作り出すことができる。例えばメッシについては、試合中意識的にその場に止まることによって、周りのプレーヤーとは違う次元に身を置くことができる。周りのプレーヤーはせかせか動いている中メッシはその場にとどまるので、ほんの少しだけずれが生まれるのである。そしてボールが来る時にはほんの少しだけの時間とスペースを確保することができる。


このような駆け引きは指導者が教えられることではない。あくまでも遊びの中で自分の感覚として身につけるテクニックだろう。そういう意味で、鬼ごっこはそのような駆け引きを身につけるのに最適なトレーニングだと思っている。


また、コーディネーショントレーニングというと、ラダーやミニハードルなどが有名だが、それだけでは足りない部分もある。前日本代表監督のオシム氏は、ラダーやミニハードルに懐疑的だったようである。実際のサッカーでは相手がいてそれに対して細かく足を動かすのに、最初から動き方が固定されいるトレーニングをやっても意味がないというのがその意図だったらしい。個人的にはラダーやミニハードルも大事だと思っているが、それに加えて鬼ごっこを入れてあげると、相手に合わせた足の運び方、細かい動きができるようになると思う。


鬼ごっこの種類は何でもよい。手つなぎ鬼でも良いし、ドロケイでも良い。もしかしたら子供たちに聞いてみたほうが、いろいろなアイディアが生まれるかもしれないし、その方が子供たちのモチベーションも上がるだろう。是非Warm-upの時間に少しだけでも鬼ごっこの時間を入れてみてほしい。

テーマ : サッカー
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マルセロ・ビエルサのマンツーマン戦術と育成年代


アスレチック・ビルバオが快進撃を続けていることは、多くのサッカーファンが驚いているだろう。特にヨーロッパリーグでマンチェスターUを倒したと聞いた時には、耳を疑った人も多かったのではないだろうか。


アスレチック・ビルバオといえば、スペインリーグの中でも特殊なチームの一つであり、なんとバスク地方出身者しか採らないというルールを設けている。また、スペインリーグの中では珍しく、ロングボールと空中戦を多用する戦術をチームコンセプトとして掲げている。


しかし今シーズンから就任したマルセロ・ビエルサはビルバオの戦術をガラッと変えた。ビエルサといえば「変人」と呼ばれるほどのサッカーバカで、あのグアルディオラが世界最高と称している監督である。ビエルサは超攻撃的サッカーをベースとして、ショートパスとパス&ムーブを繰り返して攻撃をするスタイルを好んでいる。そして注目すべきは守備戦術である。守備は現代サッカーの流れに反して、オールマンマーク戦術をしいている。最終ラインの1人を残し、全てがマンマークなのである。


現代サッカーはゾーンディフェンスが主流である。ゾーンディフェンスにおいては自分の担当するゾーンに入ってきた選手をマークする。相手がポジションチェンジをしてきた時も、声を出してマークの受け渡しをし、相手選手にそのままついていくことはない。ディフェンスの原則も.棔璽覘¬Jの位置A蠎蠅琉銘屬砲覆襦


しかしマンマークディフェンスにおいては、原則自分が担当する相手にずっと付いていく。ポジションチェンジをしたとしても、マークの受け渡しないのである。相手のサイドバックがサイドハーフを追い越して上がってきたときにも、サイドバック担当の選手がそのままマークについていく。ディフェンスの原則は.棔璽覘∩蠎蠅琉銘岫LJの位置になる。


もちろんフィールド10人全てをマンマークすることはなく、最終ラインにリベロを1人残すことが多い。ビエルサのチームも相手が1トップや3トップのときには4バック、相手が2トップのときには3バックを敷く。そして1人がかわされたときに初めてマークの受け渡しをする。つまり余った選手にリベロがつくことでリスクヘッジをするのである。


ただしビエルサのチームにおいてはフォーメーションがあまり意味を持たない。なぜなら相手の動きによってフォーメーションが変化するからである。例えば相手のCBが前線まで上がってきたときには、FWがディフェンスラインまで戻る。そこでマークを受け渡すことはないからである。


もちろんこれにはリスクもある。例えば相手選手に常についていくということは、ディフェンスが苦手な選手がディフェンスラインに入り、オフェンスが苦手な選手が前線に残ることもあり得るからである(もちろんその時には空いても同様のシチュエーションになるが)。これは本当の意味での全員守備・全員攻撃である。ゾーンディフェンスではこのようなことは基本あり得ない。


私は実は小学生の公式戦で一度マンマーク戦術を試したことがある。相手はJ下部組織のU-12だったのだが普通にやっては絶対に勝てない相手である。そこで私がオールマンマーク戦術を用い、1人1人に責任を持たせる守備を課した。実際のところこれは勝ちを目指していたのではなく、J下部組織の相手に自分1人1人の力を試してみてほしいという意味だったのだが、実はこの戦術が見事にはまった。普段ゾーンディフェンスに慣れている相手は、マンマーク戦術にかなりてこずっていた。結果は1-3での敗戦だったが、普通の街クラブがJ下部組織相手にかなり良い試合をしたと思っている。


個人的にマンマーク戦術は特に育成年代に有効だと考えている。まずマンマークをするということは目の前の相手との個人勝負になる。誰かがサボって失点すればその選手の責任であることが明白になり、責任感が身につきやすい。また目の前の相手に負けたくないという気持ちもすごく出てくるだろう。ゾーンディフェンスになるとどうしても責任の所在が不明確になりやすいからである。


また上記のように相手にずっとついていくということは、自動的にいろいろなポジションをやることになる。相手が上がってくればディフェンスになり、下がっていけばオフェンスになる。育成年代においてはいろいろなポジションをやることが有効だといわれているので、マンマーク戦術はぴったりである。


ビエルサはもともと育成年代の監督経験もあるので、このあたりももしかしたら考えているのかもしれない。まだ元日本代表監督のオシム氏もマンツーマンディフェンスを好んでいたが、ジェフの選手がこれによって急激な成長を遂げたことも関係しているのかもしれない。


とはいえ、私も今まではゾーンディフェンスを基本とした戦術を子供たちに教えていた。マンマーク戦術をとったのはJ下部組織相手の試合のみである。これから少し試してみて効果のほどを観察してみたいと思う。

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ビルドアップ時にフォーメーションを変える?

浦和レッズVS柏レイソルの試合をTVで観戦した。今年のレッズはペトロビッチ監督になり、ポゼッションサッカーを志向したチームに生まれ変わろうとしている。柏レイソルもご存じの通りネルシーニョ監督が率いる昨年優勝チームである。結果はレッズが1-0で勝利したが、内容的にも大変見ごたえのある試合になった。


ペトロビッチ監督といえばサンフレッチェ広島で攻撃的なサッカーを展開し、すごく面白いチームを作った名将である。残念ながらタイトルには縁がなかったが、個人能力がそこまで高くない広島であれだけのサッカーを作り上げたことが評価されている。また、3-6-1というあまり現在では流行しないシステムを使う監督でもある。


レッズにおいても3-6-1をスタートのフォーメーションとしていた。メンバーは以下のとおりである。


GK:加藤
DF:坪井、永田、槇野
MF:平川、阿部、鈴木、梅崎、柏木、原口
FW:デスポトビッチ


とはいえ、ペトロビッチ監督のサッカーにおいてはこのシステムというものが固定されていない。ペトロビッチ監督のサッカーはディフェンスラインから細かいパスをつないでビルドアップしていくのだが、その際にフォーメーションは変化するからである。


まずポゼッションを開始するときには3バックの左右(坪井、槇野)がタッチラインいっぱいまで広がる。そして真ん中のDF(永田)とボランチの一人(阿部もしくは鈴木)がセンターバックのポジションをとり、結果的に4バックのような形になる。


そしてサイドハーフの平川と梅崎は前線まで駆け上がり、FW(デスポトビッチ)と一緒に3トップのような形を作る。結果的には以下のような4-3-3のシステムに早変わりするのである。


GK:加藤
DF:坪井、永田、阿部、槇野
MF:鈴木、柏木、原口
FW:平川、デスポトビッチ、梅崎


しかもここでは終わらない。ビルドアップが成功して相手のゴール前まで近づいてくると、左右のサイドバックのどちらか(坪井もしくは槇野)も攻め上がり、厚みのある攻撃を繰り広げる。結果的に3-4-3のようなシステムになるのである。


GK:加藤
DF:坪井(もしくは槇野)、永田、阿部
MF:鈴木、柏木、原口、槇野(もしくは坪井)
FW:平川、デスポトビッチ、梅崎


このようにビルドアップ時にフォーメーションを変えるというのが現代サッカーでは主流になりつつある。たとえばバルセロナの場合は4-3-3のシステムから始めるが、ビルドアップ時には両サイドバックが攻め上げリ、センターバックの間にボランチが引いてきて、3バックのような形を作る。


このようにビルドアップ時にフォーメーションを変えることが流行しているのは、そうすることでマークを外すことを目的としているからだろう。通常3バックの左右は上がってくることがないので、相手はマークを決めてないことが多い。しかしフォーメーションを変えて3バックの左右が上がってくることで、相手はマークを受け渡さざるを得なくなる。この受け渡しのタイミングを狙って縦パスを入れるのである。


いずれにせよこの試合の浦和レッズはとても良い試合をしていたのは間違いない。タレントもそろっているので、それをどのようにまとめられるのかがペトロビッチ監督の手腕が問われるところだろう。今シーズン注目のチームであることは間違いない。


テーマ : サッカー
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『サッカークリニック2012年4月号』


『サッカークリニック2012年4月号』を読んだ。今回のテーマは「ボールを回すだけでは意味がない!」である。つまり効果的なビルドアップというものはどういうものなのかということある。近年バルセロナのようなボールをつなぐサッカーを志向するチームが多いが、どうしてもボールを回すだけになってしまう傾向がある。まずはバルセロナのビルドアップはなぜ効果的なのかをしっかりと考える必要がある。以下内容を引用する。


・全員を集めて「ああしろ」「こうしろ」と私が言うのではなく、1人の選手に「さっきのプレー、俺はこう思うんだよね?そうじゃない?」と伝える。そうすると同じシチュエーションになったときにその選手の口から「こうしようよ」ということが自然と口をついて出るのです。

・自力で解決することが理想ではありますが、選手同士のコーチングも効果があるのは事実です。ただし、すべてのプレーに対して指導者が「右」「左」「シュート」などとコーチングをするのはナンセンスです。

・ビルドアップの基本陣形
センターバックの選手が左右へ広がり、サイドバックは高いポジションへと移動する。逆台形のような陣形にする。さらにセンターハーフが逆台形の中へポジションを下げ、パスを受けられるようにする。

・私は指導者には3種類あると思っています。1つは「技術練習ばかりし、「ああしろ」「こうしろ」とプレーを押し付ける指導者」。2つ目は「技術練習ばかりで、試合では選手任せ」。私が真の指導者だと思うのは、「技術を教えつつ、その使いどころも教えていく」指導が出来る人です。

・指導者の最大の失敗は、選手から成長の可能性を奪うことだと思います。

・若い指導者が犯す失敗の多くは、準備不足によると私は思います。それと勢いだけで結果を得ようとする考え方でしょうか。

・4対4を重視しているのはオランダサッカーの特徴と言っていいでしょう。オランダほど、あるいはそれ以上に4対4を重視している国があるという話は聞いたことがありません。

・数日、日本の練習を見学し、オランダと日本の大きな違いを1つ感じました。それは、練習自体の量が多く、しかもフィジカル向上に割く時間が多いことです。

・人間とは忘れる生き物。ですから繰り返し練習する必要があるのです。そして成長することにより自動的に、意識しなくてもできるようになってきます。逆に言えばそこまで練習しないとダメなのです。


テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

「フットサルC級指導者講習会」参加


先日「フットサルC級指導者講習会」に参加してきた。箱根での2泊3日の合宿で、フットサルの理論、指導方法をみっちりたたきこまれた。講習は実技と講義があり、実技の時間では1日5時間以上走り回るときもあり、体力的にも精神的にもかなり充実した内容となった(最後の方はほとんど身体が動かなかったが、、、)。


私はサッカーの指導を始めてきて5年以上になるが、この講習でフットサルの可能性というものを肌で感じることになった。一般的にフットサルをやっている子供たちのボールタッチ回数は、サッカーをやっている子供たちの6倍にもなる。また、実技をやっていて思ったが、常にボールと関わりあうことができ、集中力を切らすことができない。


サッカーの場合、11人制の場合は特にボールタッチの回数が少なくなる。プロでも90分でボールを触っている時間帯は約3分程度と言われているし、小学生年代ではもっと少ないだろう。もちろんそれによって「ボールがない時の動きが大事だ!」という論理にもつながるのだが、やはりゴールデンエイジの子供たちにはボールを触る回数が多いに越したことはない。


またサッカーの場合、ボールと逆サイドの選手(サイドハーフやサイドバック)は、集中力が切れがちである。なぜならボールが直接飛んでくる可能性がすごく少ないからである。それでも「集中力を切らすな!」と指導するのは簡単だが、小学生年代の子供たちにそれを要求するのは少し無理があるだろう。


あとサッカーの場合、小学生高学年になると身体の大きい子が完全に優位になってくる。スピードを生かして前にボールをけり、それを追いかけるだけでGKと1対1になれる。そういう子たちにしっかりと技術を教えなければならないのが指導者の役目であるが、どうしても勝負の場面になるとそれを生かしたくなるのが嵯峨である。


そのあたりは日本サッカー協会も考えていて、11人制から8人制への移行で対処しようとしている。しかしそれと同時にフットサルの普及というのも大事になってくるのではないだろうか。スペインやオランダでは、小学生低学年では5人制を推奨しているという話もあるし、ブラジルやアルゼンチンではフットサルで技術を学ぶのが当たり前になっている。


フットサルであれば上記のようにボールタッチ回数も多く、常にボールに関わることができる。また、ピッチのどこにボールが飛んでくるかわからないため、逆サイドの選手が集中力を切らすこともない。さらにピッチが狭いため、単純にスピードを生かしただけのサッカーでは勝つことができず、テクニックと戦術を駆使したチームが勝つことになる。


もちろんフットサルの場合はロングキックを蹴る機会がない、足の裏を多用するボールコントロールになる、そもそもサッカーとは戦術も違うなどといった批判もあるだろう。しかしロングキックに関しては、そもそも小学生では筋力がないため、まずはきちんとボールをミートすることが大事だったりする。また、足の裏を使うことに関しても、サッカーでも使う場面は増えてきている(特にサイドバックの選手など)。さらに戦術に関しては、個人戦術、グループ戦術はサッカーとほとんど一緒である(オフサイドがないぐらい)。


個人的にはサッカーをやってきたのもありサッカーの方に気持ちが傾きがちである。しかし小学生年代の子供たちの育成を考えると、フットサルの方が優位な点も多くある。本当はサッカーチームとフットサルチームを2つを持って、サッカーの試合に出られない子をフットサルチームで育成する(もしくはその逆)というのが理想かもしれないが、その当たりのことを考えされられたことも含めて、今回の講習会は充実したものになった(ちなみにまだ合否の結果は出ていない)


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『サッカークリニック2012年3月号』


『サッカークリニック2012年3月号』を読んだ。今回のテーマは「シンキング・フットボール」である。オシムが前日本代表監督だったときから、「考えてプレー」させることが流行した。しかしその効果のほどはいかほどだろうか。コーチが「考えろ!」といっても子供たちがそれに対応できないことが多かったのではないだろうか。「考えてプレー」させることとはどういうことなのか、もう一度しっかりと考える必要がある。以下内容を引用する。



・「複数のスポーツをやったほうが、さまざまな刺激や動きによって運動能力が高まるのではないか」という私の仮説とは裏腹に、両者に有意な差は出ませんでした

・たくさん走るとか重いものを挙げるとか、達成感や疲労感でその成果を判断しがちですが、必ずしもそこは比例関係でないことが生理学的にも分かってきました

・育成の指導者にとって最も大切な資質は忍耐だ

・トップチームのシステムに合わせて育成するなどインテルではナンセンスだ。なぜなら、トップチームの監督はすぐに変わる。いつまでその監督が指揮をとるのか分からない以上、合わせても意味がない

・まず、自己表現のチャンスを与えなければ、選手の成長は見込めない

・「シュートはポストに当たってしまったけれども、その前に相手2人を抜いたドリブルの技術と、そのアイディア、勇気は、監督としても実に気持ちが良かったよ」と、選手自らが判断したプレーの良かった点を具体的に示してあげる

・解決策を教えずに「考えろ」というのは、指導者が解決策を知らない証拠です。選手自らに考えさせて解決策を見つけさせるのは間違っています。指導者は自分が持っている知識を全て伝えないといけません。「自分で考えろ」というのは、指導者が何をしたらいいかわからない、あるいは教えるだけの手段を持っていないから選手に託すしかないのです

・選手自身にプレーの判断基準を持たせるために、1つ1つのプレーに対して評価してあげることが重要だと思います。となれば、止めるまではしなくとも、良かった、悪かったがその場でわかるように声をかけるべきでしょう。指導者が静観しているだけですと、選手はプレーの評価がわかりません

・横並びの教育が行われている現実もありますが、サッカーというスポーツを通しての人間作りを目指す私は、格差を生むグルーピングは人間作りにおいて決してマイナスにはならないと思うのです

・バルセロナでも、攻撃側がディフェンダーよりも1人多い状況にして練習しています。シャビやアンドレス・イニエスタ、セスク・ファブレガスなど、ボールポゼッションをさせたら世界一の選手がいても、攻撃側が1人有利な状況にします

・監督に求められるのは、魔法ではなく、努力の継続



「考えてプレー」させることを意識すると、コーチとしてはなかなか指示を出しずらい状況に陥る。子供たちは基本素直なので、コーチの言われたことを実直に遂行しようとするからである。しかしこれが本当に考えてプレーしていることなのか疑問に感じているコーチも多いだろう。


しかし子供たちにはある程度最初は詰め込みで教える必要がある。子供たちの脳はタ・ブラ・ラサである。何も知識がないうちから「考えろ!」といっても何も出てこない。ある程度基本的なサッカーの動き、戦術を教えたうえで、そこから自分たちで考えさせる部分を要求するべきである。


しかしこのバランスが難しい。コーチが指示を出しすぎてしまうと考えなくなるし、指示を出さないと何も生まれない。この見極めこそがコーチの一番重要なところではないだろうか。


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たまには指導を他のコーチに任せてみる


「リーダーになる前は、成功とはあなた自身が成長することだった。ところが、リーダーになった途端、成功とは他人を成長させることになる」


ジャック・ウェルチはリーダーについてこのような言葉を残している。リーダーというと自らチーム、グループを引っ張っていく人物のように思われるが、実は他人を育成するという重要な役目も背負っている。


サッカーのコーチの場合、育成するのは子供たちだけではない。実は一緒に指導をしているコーチも育成しなければならない。なぜなら仮に自分がいなくなったとき、そのチームを指導するのは次のコーチである。自分がいなくなったときにチーム力がガクンと落ちてしまっては、本当に強いチームとはいえない。


指導者は常に自分がいなくなったときのことを考えておくべきである。それは次のコーチに対するスキルトランスファーもそうだが、子供たちにも自分がいなくなったときの振る舞いを教えておく必要がある。常に子供たちが自分で考えるクセをつけるよう指導するというのは、そのときのためでもある。


ときどきやってみて欲しいのは、他のコーチに練習や試合の指揮を任せてみることである。そうするとそのコーチにも責任感が生まれ、またトップマネジメントの大変さもわかるだろう。またその姿を客観的に見ることによって、自分の成長にもつながる。トップマネジメントの立場からはわからないことがたくさんあるのである。


もちろん最初は上手くいかないだろう。しかしそれは我慢をしなければならない。それはスキルの問題というよりは慣れの問題だからである。普段自分がやっていることをいきなりやらせて上手くいくはずがない。子供たちの育成同様、そこは我慢が必要なところである。


しかし忘れてはならないのは、全ての責任は他のコーチに指導を任せた自分にあるということである。責任までを他のコーチに渡してはいけない。あくまでも他のコーチがのびのびと指導が出来るよう取り計らわなければならない。最終的な決断は全て自分にあり、それに付随して責任も自分にある。そしてそれこそが自分をさらに成長させるのである。

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技術的なミスは叱らない


サッカーはミスをするスポーツである。このことは多くの人が知っている。しかし実際に子供たちがミスをすると、どうしても叱りたくなる。「何でそんなミスをするんだ!」「丁寧にやれ!」「そんな簡単なことも出来ないのか!」こんな言葉を聞いたことがある人は多いだろう。


しかし一流の指導者ほどこのような言葉を発することはない。一流の監督は技術的なミスに関しては全く怒らない。なぜなら技術的なミスはどうしても起こってしまうことだからである。しかし戦術的なミス、例えばポジショニング、集中力、事前の準備などについては徹底的に修正をかける。


2011年に柏レイソルをJ1優勝に導いたネルシーニョ監督はその意味でまさに一流の監督である。『ネルシーニョ すべては勝利のために』には次のように書かれている。


「無論、”防げるミス”に関しては、容赦なく指摘の声が飛ぶ。気の緩みからプレーが”軽く”なったり、しかるべき動きをしていない選手には容赦なく注意する。しかし、基本技術のミスについて怒ることはほとんどない。「できないことをやれ」と言うことはないし、「こんなこともできないのなら、やめてしまえ」などと叫ぶことはない。技術的なミスに関しては、それほど叱咤することはないのだ」(p28)


私もこれについては同じ意見で、技術的なミスに関してはほとんど怒らないようにしている。ただ、明らかに集中力が切れていて、それに付随したミスに関しては叱咤すようにしている。逆に戦術的な指示については細かく何度も指示を出す。ラインの上げ下げ、中盤のプレッシング、チームの約束事にかなしては、守らなかった選手を厳しく追及する。あくまでもサッカーはチームスポーツだからである。


また、私がもう一つ気をつけていることがある。それは”ボールを持った選手には指示を出さない”ということである。よく指導者に多いのが「ここに出せ!」「突破しろ!」「キープ!」といった指示をボールを持っている選手に出すことである。もちろんこれは悪いことではないのかもしれないが、個人的には選手の選択肢を狭めるという意味でやらないようにしている。サッカーはボールを持った選手が主人公であり、主人公こそが次の行動を判断するべきだからである。


サッカーは規律と個性をいかに両立させるかが重要なスポーツである。私個人の意見で言えば、規律の面は戦術、個性については技術が相当すると考えている。よって戦術に関しては厳しく指摘をし、技術に関しては出来るだけ指摘をしない(もちろんたまに熱くなってしまうときもあるが、、、)。皆さんはどうお考えだろうか。




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マンツーマン指導の重要性


ザッケローニの指導方法の一つにマンツーマン指導というものがある。現在日本代表では、ザッケローニが練習前後に選手に対してマンツーマンで指導する姿が多く見られている。また試合前のロッカールームでは、選手一人一人に対してコメントをしてから全体でのミーティングに入る。


マンツーマンで指導をするメリットは、その選手に対して独自のアドバイスができることである。どうしても全体でのミーティングになると、チーム全体の戦術やメンタル面の指示が多くなってしまう。選手一人一人に指示を出す時間はほとんどない。


しかし選手が一番求めているのは、その選手にピッタリの指導である。その選手の強み、弱み、改善点などを独自に教えてもらえる時間は選手にとって至福の時である。ザッケローニはそのことを知っているため、練習前後、試合前後にマンツーマン指導の時間を取るのである。


チームをまとめる立場になるとわかるが、なかなか選手一人一人とマンツーマンの時間を取ることは難しい。チーム全体のことを考える時間が必要だし、練習メニューなどを作成する時間も必要である。おそらく意図的に時間を取るようにしなければならないだろう。


良くコーチング論で言われるのは、「褒めるときには全員の前で、怒るときにはマンツーマンで」ということである。特定の選手を全員の前で褒めてあげると、その選手は何か賞を受賞した時のような気持ちになることができる。また他の選手も「皆の前で褒められたい」とモチベーションを上げてくれる。逆に怒るときに全体の前で怒ってしまうと、「皆の前で怒られて恥ずかしい」という気持ちになる。もちろんそれが良い方向に働くこともあるが、マンツーマンで怒ったほうが事の大事さが伝わる可能性が高い。


ザッケローニはこの辺のバランスを取るのが上手なのだろう。日本代表選手からの話を聞いていても、マンツーマンのときに話された会話が印象に残っているという風に言う選手が多い。特に子供たちの場合、全体ミーティングではどうしても集中力が落ちてしまうことがあるため、マンツーマンでの指導が有効ではないだろうか。


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『サッカークリニック2012年2月号』


『サッカークリニック2012年2月号』を読んだ。今回のテーマは「フットボール失敗学」である。指導者といえども多くの失敗をすることは多くの人が感じているだろう。今回のテーマは失敗からどのように次の指導に生かすのかが多くの指導者の目線で書かれている。下記内容を引用する。



・右足でコントロールしたら左足で出す。左足でコントロールしたら右足で出す。これにより0.3秒はプレーを早められるでしょう。0.3秒というのは相手選手が2、3メートルの距離をつめることが出来る距離に相当しますから、プレーのしやすさが全く異なるはずです。


・「攻撃的な哲学を持ってチームを構築するほうが難しい。なぜならばそのためにはクリエーティビティーやタレント性を選手に発揮させなければならないからだ」
ルイス・ファンファール


・選手の失敗は指導者である自分の失敗。そういうふうに受け入れられるかどうかが大切だと考えています。なぜならその選手を育てたのも、試合で起用したのもほかならぬ私自身、つまり監督だからです。


・ミスが2回、3回続けば失点につながります。大事なのは、ミスが起きた後に、次に関わる選手がミスをしないこと。1つのミスで終わり、ゲームを落ち着かせることが出来ればいいわけです。


・いいメニューをやればいいのではない。子供たちと向きあわないといけない。


・目的意識のない子供から欲を引き出してあげるのが大切です。お箸の使い方だって「使えるようになりたい」からではなく、「食べたい」から覚えるのだと思います。ですから、練習の先にある何かをイメージさせてあげることが大事なのです。


・日常的に声を発するように導けば、日本の子供も声を出すようになりますし、選手同士がコーチングするようにしなければいけないと思います。そもそもサッカーではコーチングが非常に重要なのです。


・試合中、スペインではトップでも育成部門でもベンチの監督は、本当にガミガミ行っています。チームの方向性を誰よりも知っている監督がそれをすることは当たり前だと思われています。


・勝てたのは子供の頑張りのおかげ、負けたのは指導が悪かったから。


・指導者には、長い経験が必要です。「うまくいかない」と指導者を辞めてしまう人もいますが、辞めたらそこで終わりです。私自身、指導者として成功しているとはとてもいえませんが、失敗してもあきらめずに続けていくことが最も大事で、その中にこそ成功はあるのだと思います。


・基本技術を習得するためのドリルの必要性は感じます。しかし、通り一辺倒のドリル練習では子供は飽きてしまいます。指導者は身に着けるべき基本技術の柱の部分は変えずに、かつ子供を飽きさせないように工夫しながらメニューを組んでいく必要があるでしょう。


・群馬県のジュニア世代で言えば、基礎が出来ていない要因の一つとして、年間の試合数が多すぎる点が挙げられるでしょう。ジュニアのうちから勝負にこだわった指導をするため、基本的な技術の習得がややおそろかになっているのではないかと感じています。



やはり指導者として大事なのは、子供の失敗をいかに指導者の失敗と捕らえられるかどうかである。いつも子供の責任にしてしまっては指導者の成長はない。もちろん全ての責任を自分のせいだと考えてしまう人はうつ病になってしまうかもしれないが。


現レアル・マドリード監督のジョゼ・モウリーニョは次のようなことを言っている。「負けた責任は全員にあるが、原因は監督にある」。育成年代の指導者もこのようなモチベーションで指導に取り組めるかどうかが大事である。


あと個人的に気になったのは最後の年間の試合数についてである。群馬県では年間の試合数が多いからこそ基礎技術の低下が気にされている。現在日本サッカー協会では年間の試合数の増加、リーグ戦の発足を急ピッチで進めているが、このような課題もあるらしい。ここでいう基礎技術が何を指しているのかにもよるが、なかなか興味深い内容だと思う。



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罰ゲームは必要か?


あなたが教えているチームでは罰ゲームというものがあるだろうか?


罰ゲームというのは、例えばSmall Gameや4対2をやっていて、負けたチームに何か罰を与えることである。罰はそのときによって様々だが、腕立て伏せ、腹筋、ジャンプ、外周などいろいろなものがある。


個人的には罰ゲームを設定しておくと子供たちのモチベーションが高くなることが多いので、簡単な罰ゲームは常に用意している。腹筋5回とかジャンプ10回とかそういうレベルでの罰ゲームである。


ただしそれがフィジカルトレーニングのレベルになってしまうのは避けている。罰ゲームにも関わらず強度の高いフィジカルトレーニングを課してしまうと、それだけで子供たちのモチベーションが下がってしまう。また、そもそも小学生年代では強度の高いフィジカルトレーニングは必要ないのである。


本来であれば罰ゲームがなかったとしても高いモチベーションでトレーニングをしてもらうのが一番良い。Small Gameや4対2などでも、勝敗関係なく高いモチベーションを維持してくれるのであれば、罰ゲームなど必要ない。


しかし子供たちの場合はそう簡単にはいかない。特に街クラブの場合は全員が全員高いモチベーションを持ってサッカーに取り組んでいるわけではなく、単に体力づくりや習い事としてきている子も多い。その子たちのモチベーションを上げるためには、多少の罰ゲームを用意して、ゲーム感覚で取り組ませたほうが上手くいく場合もある。


また、罰ゲームというのは緊張感を作り出すのにも役立つ。例えばPKの練習をする場合、練習中に本番のPKの緊張感を作り出すのはなかなか難しい。そのときにPKを外したらグラウンド1週などという罰ゲームをつけておくと、本番に似た形の緊張感を作り出すことが出来る。


大事なのは罰ゲームが子供たちのモチベーションUpにつながるのかつながらないのかをしっかりと見極めることである。もしモチベーションUpにつながるのであれば、積極的にトレーニングに導入しても良いと思う。

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教えないことこそがコーチング2


先日は「教えないことこそがコーチング」という元中日ドラゴンズ監督の落合氏の方法を紹介した。中日ドラゴンズではコーチが自分から何かを教えたりすることはせずに、あくまでも選手から聞きにきたときのみ教えるというのである。


前回この方法は小学生には少し難しいかもしれないと書いた。なぜならコーチから何もアプローチしないと、子供たちのモチベーションが下がってしまう可能性もあるからである。プロ選手であれば自分の成績が生活に直結しているので、常にモチベーションが高いことが求められる。しかし小学生の子供たちの場合は必ずしもそうではない。


しかし小学生年代から自分で積極的に学ぼうという気持ちを持たせることはとても大事である。今の小学生は教えられることに慣れすぎている。積み込み教育の弊害なのか、何もしなくても先生や親がいろいろ教えてくれる。しかしこれに慣れすぎると自分では何も行動しない指示待ち人間が育つことになる。


とはいえ小学生の子供たちが自分からコーチ陣に何かを質問しにいくのは少しハードルが高い。中学生になればそのような子供たちも出てくるかもしれないが、私が教えている限り小学生の子供たちのほうからプレーについての質問をしてくることは少ない。


そこで私のチームではサッカーノートに「コーチへの質問」という欄を作った。サッカーノートに子供たちがわからないことを書いてもらうのである。こうすることでコーチに質問をするというハードルを少し下げることが出来る。


実際やってみると面白い質問がいろいろ出てくる。「ボールを遠くに飛ばすためにはどうしたらよいですか?」や「シュートが上手くなるためにはどのような練習をすればよいですか?」などといった質問が出てくるのである。もしサッカーノートにこの欄がなければ決して出てこない質問である。


もしかしたら子供たちもいろいろ質問したいことを持っているのかもしれない。しかし大人に聞きに行くのは少しハードルが高いと思ってなかなか聞きにいけないのかもしれない。そういう場合にサッカーノートというのはとても役に立つ。


本来であれば子供たちが自分からいろいろ質問しに来るのが理想である。しかしそこまで到達するためには少し距離がある。その距離を埋めるために少し階段を用意してあげるのもコーチの仕事なのではないだろうか。


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サッカークリニック1月号


『サッカークリニック1月号』を読んだ。今回のテーマは「フィニッシュ向上講座」である。日本代表やJリーグのチームは決定力不足なのか?という議論があるが、先日のトヨタクラブワールドカップを見ると確かにそうなのかもしれないと感じさせられる部分もある。以下内容を引用する。


・練習メニューの作成では技術、戦術、フィジカルを分けて考えることなく、全要素をミックスさせてのオーガナイズがとても重要になります。

・ゴール前でのフィニッシュの精度に関しては、やはりシュートを数多く打つしかないと思います。問題を何度も解くことで正解率があがっていく算数のドリルと一緒です。

・最終的にどこに落とし込むかというと、ダブルボックスの4対4もしくは5対5でプレッシャーをかけた上でいろいろな角度からシュートを打つトレーニングになるのではないかと思います。

・試合中にフリーでシュートを打てる場面はほとんどありません。1対1から相手をかわしたり、競り合いの中でシュートを打つ場面ばかりです。ですから練習のときも相手のいる状態で練習したほうがいいと思います。

・私は広島観音高校でも安芸南高校でも対戦する相手のスカウティング、試合の登録メンバー、ゲームプランも全て選手たち主導で決めさせています。

・イングランドのGKがクリアのあとに「PKマーク!」や「ペナ!(ペナルティエリア)」などどこまでラインを上げればいいのか具体的な場所を声に出し、指示しているのを見たことがあります。

・21日間同じことを続けると、それが習慣になりますが、本当にコツコツやる人は全体のわずか1%にすぎません。だから強い選手には習慣があるのです。

・最も重要なのは指導者の「期待している」気持ちを各選手に伝えることです。ですからバルセロナでは「期待」だけではなく「重要な戦力だ」と選手に感じさせられる指導者を求めています。

・指導者として頭の片隅に入れておいて欲しいのは「自分はサッカーの練習の仕方を知っている」とは思わないことです。自分の指導に自信を持つことは大切ですが、指導者は常に学び続ける必要があるからです。自分の教え方、指導法について常に考え研究していくべきだと思います。

・練習メニューを考える際、そのベースになければいけないのは「どのようにプレーしたいか」です。しかし、プレーするといっても何でも良いわけではなく、現在取り組んでいることやどんなプレーをして欲しいかが考慮されたプレーモデルをベースとしなければなりません。

・私の経験からすると、熱心な保護者の方がグラウンドの横からコーチングすればするほど、その方の子供のプレーから積極性が失われていくケースが多いからです。

・主審はプレーを再開する前ならば、その決定が正しくないことに気づいたとき、また主審の判断によって副審の助言を採用したとき、決定を変えることが出来る。

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左利き選手が多いリヴァプールの強さ


最近のリヴァプールは強いと思う。昨年はリヴァプールが本当にビッグ4に値するのか疑問なくらい調子が悪かったが、監督がダルグリッシュに変わってから内容も結果も良くなってきている。

先日のリヴァプール対マンチェスターCの試合を見たが、現在首位独走でタレント軍団のマンチェスターCとほぼ互角の試合をしていた。この試合を見ただけでもリヴァプールの調子が良いことはわかると思う。

リヴァプールのスタメンは以下である。

GK:レイナ
DF:G・ジョンソン、スクルテル、アッガー、ホセ・エンリケ
MF:ルーカス、アダム、ヘンダーソン、カイト、ダウニング
FW:スアレス

タレント性ということでいえばマンチェスターCやチェルシーに劣るのは誰にでもわかることだろう(ちなみにジェラードは怪我である)。しかし個人的にはリヴァプールには大きな特徴が一つあると思う。それが左利きの選手の多さである。

上記スタメンの以下の選手は左利きである。

左CB:アッガー
左SB:ホセ・エンリケ
左CH:アダム
左SH:ダウニング

つまりリヴァプールの左サイドは全て左利きの選手なのである。これにFWでキャロルが入るとフィールドプレーヤーのうち半分が左利きの選手となる。これはリヴァプールの大きな強みの一つである。

個人的には左SBは必ず左利きの選手でなければならないと感じている。左SBからのフィード、クロスは右足で蹴るのと左足で蹴るのではFWの受け取りやすさが違う。左SHは右利きの選手でも中に切れ込むことが出来るので良いかもしれないが、その場合にはオーバーラップする左SBが左利きでなければ厳しくなる。

リヴァプールの場合はCB、CHの左側も左利きの選手である。アッガー、アダムはキックの制度も高いので、FWへのフィードも精度の高いボールが蹴れる。またアーリークロスも左サイドからあげる場合も、左利きのほうが角度がつくので効果的である。

小学生を教えているときには「左足を練習したほうがレギュラーに近づくよ」というようにしている。左足で蹴れるようになれば、右サイドに比べてレギュラーの倍率が低い左サイドで争うことが出来るからである。そしてチームにとってもそれが効果的であることはリヴァプールの試合を見ていればよくわかるのである。

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教えないことこそがコーチング


中日ドラゴンズの落合監督が今年で辞めるようである。セリーグで優勝して日本シリーズに進出したにも関わらず辞任というのはもったいないような気がするが、ガンバの西野監督と同じように、いずれはこのようなタイミングが来るのが監督の宿命である。


落合監督は野球の監督だが、指導やコーチングという面で参考になる部分が多い。落合監督の指導で有名なのは、監督/コーチが選手に指導をすることをやめたということである。


このように書くと語弊があるかもしれないが、中日ドラゴンズでは基本的に監督、コーチが選手に自分から指導することはない。もちろん選手が自分からプレーについて聞きにきたときには真摯に答えるが、それ以外は選手を見ているだけである。


一般的に、指導熱心なコーチは選手に自分から声をかけてプレーについてのアドバイスをする人だと考えられている。しかし実際に選手の立場から考えると、必ずしもそのようなコーチが良いわけではない。いちいち自分のプレーに関渉してくるのが面倒くさいと思う選手もいるのである。


おそらく落合監督に言い分はこうである。


プロ野球になるくらいの選手であればある程度自分の感覚というものを持っている。それを監督/コーチに指摘されてしまうと、自分の感覚、フォームというものを崩してしまう可能性がある。よってその部分は自分で考えて努力するべきである。また、本当に上手くなりたいと思っている選手であれば、必要なときに自分から指導を請うはずである。よってあえて監督/コーチから声をかける必要はない。


おそらく野球とサッカーでは少し違う部分もあるかもしれないが、コーチングというものは本来そういうものである。基本は選手自らが考えてプレー、練習をする。そして本当に必要なときだけアドバイスをする。これが選手を伸ばす秘訣である。


私もたまにこれと同じようなことをする。試合中に調子が悪い子供がいて選手交代をしたときに、あえてその子供には交代した理由を話さない。そしてなぜ自分が交代させられたのかを考えさせるのである。交代させた理由をいちいち説明していると、子供たちがその説明を待つようになる。そして最終的にはコーチの言ったことだけを聞いていて何も考えない選手になってしまう。


とはいえ小学生年代の子供たちに落合監督のような指導をすると、子供たちのモチベーションがあがらない可能性もある(無視されていると感じてしまう可能性もあるため)。その辺のバランスが難しいところである。

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サッカークリニック12月号


『サッカークリニック12月号』を読んだ。今回のテーマは「バルセロナの育成システム徹底分析」である。現在世界最高のサッカーチームはバルセロナであり、また世界で一番育成で成功しているチームはバルセロナである。『サッカークリニック』が特集するのも当然だろう。以下内容を引用する。


・「勝たなければいけないのか?」と聞かれれば「イエス」と答えますが、「何よりも勝利が必要か?」と聞かれれば答えは「ノー」です。

・家族と一緒に選手が寮にやってきた初日「普通に考えれば、君、そしてあなたのお子さんはトップチームまでたどり着けません」といいます。

・練習が休みの日、つまり月、水、金の朝に、その日に自分がやることを書いて提出してもらいます。そして私がその内容を確認してコメントを書き、夕方には返却します。

・サッカーノートには今おっしゃったように過去を振り返る、つまりその日の練習や試合を振り返るものです。そしてトレーニングノートは、先ほど説明したように休みの日の行動予定を書くものです。

・そもそもポゼッションサッカーを可能にするアプローチはシステム理論上、2種類あります。1つはバルセロナが採用する「1-4-3-3」システムのように、ピッチ上に選手を均等に配置し、ボールをスムーズに循環することが生命線となります。

・もう1つは「1-3-5-2」や「1-4-4-2」のように「合理的な人の配置になっていない」システムを採用することです。「1-4-4-2」システムでは前線の両サイドにスペースが残されており、そこにトップやサイドの選手が流れて攻撃を構築します。

・「パスは受けられなくても、サイドバックは高いエリアに移動する」ほうがポゼッションにおいて有効だと思います。

・サッカーの戦術において「トレンド」という表現が良く使われますが、監督は「流行しているから使う」のではなく、それがロジカルだから使うのです。

・監督にとって最も困難なミッションは戦術や練習メニューを考えることではなく、選手を育てることです。育成年代の指導を経験している監督ならば、トップチームの指揮を執るようになっても選手を育てることが出来ますし、選手はその能力を最も高く評価し感謝するのです。

・敗戦が予想される試合でもそこから選手が何かを得るような誘導を指導者が行うべき

・私は負けたときには「できたこと」に比重を置いて自分の頭を整理し、選手にも自覚させます。逆に勝ったときには「出来なかった」ことに比重をおきます。

・子供に戦術を教えるのは非常に難しい。前後左右、高低、さらに時間に関していくら言葉で説明し、繰り返し練習しても限度がある。最も効率的なのはモデルを見せること、つまりトップレベルのゲームを見せることだと思う。


現在はトップチームの監督にも育成の面が求められる。グアルディオラはバルセロナBチームの監督をやっていたし、モウリーニョはもともと体育教師である。資金的にも厳しい現代においてはあ、若い選手を育成して強いチームを作る傾向がこれからもっと増えてくるだろう。スペインなどでは若い選手を育成してビッグクラブに売ることで利益を出しているチームもある。日本にもこのようなチームが増えても良いと思う。

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サブの子供たちは試合中に何しているか?


あなたのチームではサブの子供たちは試合中に何をしているだろうか?


多くのチームでは自分たちのチームの試合を見るように指導していると思う。自分たちの仲間が試合をしているのだからそれを真剣に見て応援するのが当たり前である。しかし子供たちは本当に集中して試合を見ているだろうか?


多くの指導者は以下のようなことを子供たちに言って試合を見せていると思う。


・試合を見て自分が試合に出たときのイメージを作りなさい
・味方を応援しなさい
・相手チームの弱点を見つけなさい
・コーチにアップしなさいといわれたらアップしなさい


私のチームでも同じようなことを子供たちに言っていた。ただしハーフタイムに子供たちで話し合わせるために、サブの子供ひとりひとりに担当を決めて、先発の子にアドバイスさせるようにしていた。


しかし後半ぐらいになってくると、子供たちの集中力も切れてきて、試合を真剣に見てない子も出てくることに気づいた。最初これは子供たちの意識の問題なのではないか、つまり試合を真剣に見ないのは意識が低いせいではないかと思っていたが、だんだんとこれは子供特有の問題ではないかと考えた。


おそらく子供たちにとって20分ハーフの試合を全て見ているというのは集中力が続かないのである。それに対してコーチが「集中して試合を見なさい」といっても仕方がないのかもしれない。そう思い出したのである。


それからは私のチームでは次のようにしている。


・前半:試合を見る(どの選手を見るか担当を決める)
・ハーフタイム:子供たちだけで話し合う
・後半:ドリブルの練習


前半までだったら子供たちが試合を見る集中力も続く。またハーフタイムに子供たち同士で話し合わせるために試合を見せることは重要である。しかし後半に関しては子供たちの集中力も続かないので、サブの子全員にドリブルの練習をさせるようにした(コーンドリブルである)。そうすることで単純にウォーミングアップにもなる。


サブの子は先発の子に比べてその日にボールに触る機会が少なくなってしまう。よって試合中にドリブルの練習をさせてボールに触る機会を多くすることは、サブの子供たちの底上げにもつながるのではないだろうか。


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マンツーマンは時代遅れなのか?


多くの人はマンツーマンディフェンスを時代遅れのものだと思っていないだろうか?


現代サッカーでは多くのチームがゾーンディフェンスを使用している。マンツーマンを使用しているチームは現在Jリーグでもほとんどないだろう。またワールドカップで使用しているチームも見たことがない。


しかしマンツーマンが全くダメなのかというとそうではない。特に育成年代においてマンツーマンディフェンスを採用することは良い面もある(もちろん悪い面もある)。


まずマンツーマンを使用すると、目の前の相手(つまり自分がマークしている選手)には絶対負けたくないという気持ちが出てくる。ゾーンの場合はその都度マークが変わるので、あまり1対1で勝負しているという気持ちはしない。しかしマンツーマンの場合は、抜かれたりゴールを決められたりすると責任範囲がはっきりするので、普段以上に気持ちが入る。


また、相手チームからしてみるとゾーンディフェンス相手に慣れているため、マンツーマンをどうやってかいくぐればよいのかが分からない。単純に考えればポジションチェンジをしてスペースを開ければよいのだが、育成年代ではそこまで頭が回らない。「なんかやりにくい」という気持ちだけが残ってイライラするチームが多くなる。


さらに攻撃面に関しては、個の能力を上げるためにはもってこいのチャンスになる。一般的にこちらがマンツーマンをしているということは、相手もマンツーマンに近い形になる。そうなると自分がドリブルで相手を抜けばビックチャンスになるため、どんどんチャレンジさせることが出来る。またゴール前での1対1での勝負も多くなるだろう。


もちろんマンツーマン戦術がこれから流行するとはとうてい思えない。また育成年代においても最新の戦術(現在であればゾーンディフェンス)を教えることは大事である。しかしたまにはマンツーマン戦術をとりいれて個の勝負をさせるのも、子供たちにとって良い刺激になるのではないだろうか。


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ファーガソンの選手起用について

マンチェスターU対リバプールの試合を見た。試合は1対1の引き分けで、どちらかというとリバプールのほうが押し気味の試合だったが、リバプールホームのアンフィールドで引き分けという結果であればファーガソンとしては満足の試合だっただろう。


私が結果以上に気になったのは、マンチェスターUのスタメンである。デ・ヘア、エブラ、ファーディナンド、エバンス、スモーリング、フレッチャー、Fジョーンズ、パクチソン、Aヤング、ギグス、ウェルベックとなっている。注目すべきは、サブにアンデルソン、キャリック、ナニ、エルナンデス、バレンシア、そしてルーニーがいることである。


どちらがレギュラーなのかがわからない豪華なメンバー選考だが、ファーガソンの上手なところはこの選手起用である。相手の力、ホーム・アウエー、天候、順位などによってメンバーをころころ変えてくる。聞いた話のよると、ファーガソンは2試合続けて同じスタメンで戦ったことがない。


おそらくファーガソンの中にはレギュラーという枠組みがないのだろう。試合によってそのときに最適なメンバーを選択する。場合によっては最適ではないにしても、それでも勝てるようなメンバーを選択する。多くの選手を交代で使うことによって、チーム内に競争意識を促し、選手のコンディションも配慮したメンバー選考をしているのである。


またポジションについてもいろろなポジションで使えるよう選手を試している。今回であればFジョーンズは本来センターバックの選手だが、この試合ではボランチで使われている。またルーニーも途中から出てきてセンターハーフで使われている。マンチェスターUで起用される選手は複数のポジションが出来るように訓練されているのである。


選手としてはこんなにやりがいのあるクラブはない。普通強豪チームになるとCLなどにも出なくてはならないため、レギュラー組はコンディション調整で苦労する。またサブ組選手からしたらなかなか試合に出られなくて不満がたまる。しかしマンチェスターUにいれば、レギュラー組の選手はちゃんと休ませてくれるし、サブ組の選手はしっかりと試合に使ってもらえる。


もちろんマンチェスターUの選手のレベルが高いという理由もある。サブ組とはいっても全ての選手がどこかの国の代表選手である。誰が出てもしっかりとしたパフォーマンスが出来るのは当たり前かもしれない。しかしだからといってファーガソンのように多くの選手をしっかり出してあげる監督は少ない。ターンオーバー製を敷いているといっている監督も、主要メンバーは常に出していることも多い。


この選手選考の方法はおそらく育成年代にも通用するだろう。育成年代では特にレギュラーとサブのレベルの差が多くなってしまうチームが多い。なぜならレギュラー組みの子は多く試合に出て、サブ組みの子は試合に出ることが出来ないからである。これは当たり前の話であり、そこら中のチームで良く見られる現象である。


しかしだからといってそれを続けていてはますます差が大きくなるばかりである。本来であればファーガソンのように毎試合ごとにメンバーを変更して、チーム内に競争意識を出させるべきである。またいろいろなポジションで使ってみて、プレーの幅を広げさせるべきである。ファーガソンはもともとマンチェスターUの育成コーチだが、この辺のキャリアもメンバー選考に影響しているのではないだろか。

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サッカークリニック11月号


『サッカークリニック11月号』を読んだ。テーマは「ゲームを分析しよう!」である。一般的にゲームの分析には2種類がある。1つは相手チームを分析すること、そしてもう1つは自分のチームを分析することである。小学生年代では相手チームを分析することはほとんどないと思うので、まず自分のチームを分析することになる。以下内容を引用する。



・良い監督になるための条件は、自分自身向上に勤めることだ。ハードワークを積めない者がほかの者、つまり選手を向上させられないわけがない。ロビーニョを指導するにせよ、11,12歳の子供を教えるにせよ、結局必要な才能は同じだ。


・指導者が選手と率直に話し合わなければ何も解決できないだろう。


・ハーフタイムはまず選手同士で自由に話をさせています。そのとき私は席を外していますが、ちょっと聞き耳を立てて、どういう話をしているか聞いているわけです。そうすると、間違ったことを言う選手はほぼいないので、問題がなければ私からは「そうだよな」という程度で済ませます。


・サッカー選手に関しては「どうやったら速く止まれるか」ということを追求したほうが、実は動作自体は早くなるのではないかと思っています。


・6歳〜14歳におけるサッカーの一番の目的は、サッカーを楽しむこと、2つ目はサッカーの正しいプレーを学ぶこと、そして3つ目が試合に勝つことです。


・能動的教育法
→選手に問いかけて考えさせる
→自力で答えを見つけさせる
→プレーの知性とビジョンを獲得


FCバルセロナの人材育成術


『FCバルセロナの人材育成術』を読んだ。サッカーの棚に置いてあるのではなく、ビジネス本のところに置いてあったので、探す場合はビジネスの棚も見てみると良い。内容はFCバルセロナの人材育成術について、数多くのスタッフ、監督にインタビューしたものをまとめたものである。


おそらく育成年代の指導者にとって「勝利か育成か」という問題は常に付きまとうだろう。勝利を求めすぎると下手な子が試合に出れなくなってしまうし、下手な子を試合に出すと勝てなくなってしまう。このようなジレンマを抱えているコーチは多いと思う。


しかしこのジレンマを解消しているチームがある。それがFCバルセロナである。バルセロナは世界でNo1のチームでありながら、その選手の多くはカンテラ、つまりバルセロナユースの出身である。世界で一番強くて育成も上手なチームがバルセロナなのである。


結論から言うと「勝利か育成か」という問いかけに対する答えはこの本には書いてない。なぜならインタビューアーによってもこの答えは違うからである。著者は育成がメインだと主張しているが、何人かのインタビューアーは勝利こそがメインだと言っている。またバルセロナの育成システムも、勝てなければコーチはクビになるし、選手も1年ごとに契約更新となっている。意外と短期的に結果を求める部分がある。


たださすがに世界No1のチームだけあって、育成スタッフがしっかりとしていると感じられる部分が多い。1人1人の育成スタッフの意見はそれぞれ異なるが、それぞれにしっかりとした理論があり、経験が感じられる。この中から自分の模範とすべきローモデルを探すこともできるだろう。


以下内容を引用する。


・指導者にとって第一の使命は少年たちの総合的な教育であり、良いサッカー選手になるよう指導することは2番目だ。

・監督と選手の対話は必要ないと考える監督は多い。ヒエラルキーを示す必要があると思っているのだ。「俺が命令するから、お前は従え」というわけだ。だが、これは違うと私は思う。日々の言動によって尊敬を勝ち取ることこそが、重要なのだ。必要とあれば、きちんと選手と面と向かって対話の場を持ち、率直にうそをつかずに向き合うべきだ。

・また、チームの一員のようになるべきだと考える監督もいる。これも間違っている。全選手の友達になることは不可能だ。監督は常識的な行動をとることを心がけ、各選手を一人の人として尊重し、そして、きっぱりとした態度で選手と向き合うべきだ。親は自分の子供を深く愛していても、叱るべき時は叱りつけるものだ。それは監督も変わらない。

・当然のことだが、選手は指導者から大きな心理的影響を受ける。だからこそ、選手の心のバランスを維持したり、選手に考える機会を与えたりするために、バランサー(バランスを維持する装置)の役割を担う指導が効果を発揮する。傲慢には謙遜を。不安には信頼を。3点ゴールを決めれば、ベンチに座らせる。PKを失敗したら、次のPKも蹴らせてみる。

・親がでしゃばらなくても、プロ選手になるべき選手はプロになるものだ。

・私たち親は、子供の幼少時代を最大限に延ばし、子供がずっと子供らしくいられるようにしてあげなければならない。

・競争心は選手の成長には絶対に欠かせない。しかし、「競争をするからといって常に勝たなければならないわけではない」というのがポイントである。競争することが大事なのであり、勝敗はまた別の話なのである。

・最も重要なのは、競争することを学ぶことにある。競争することを学ぶということは、勝利することを学ぶとことであり、そして何よりも、負けることを学ぶことを意味している。

・私はいつも選手たちに「試合に負けて悔しがるのはいいし、それは自然なことだが、それはシャワーを浴びるまでにしなさい」と教えている。

・アメリカでは教育の中にしっかりスポーツが組み込まれており、スポーツをする時間が十分確保されている。

・プロサッカー選手の道に進もうと思っている若者には、勉強をやめないよう忠告したい。将来役立つ知識は、学んでおくべきだからね。勉強すると仲間意識が強まり、人の話を聞くようになる。どんなスポーツ選手にとっても、勉強はとても大事なことだよ。


FCバルセロナの人材育成術FCバルセロナの人材育成術
(2011/10/04)
アルベルト・プッチ・オルトネーダ

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監督ザッケローニの本質

『監督ザッケローニの本質』という本を読んでみた。ザッケローニの生い立ちから今までのキャリア、そしてこれからの展望について詳しく書かれている。ザッケローニはプロサッカー選手のキャリアがないということは有名だが、それ以外にもいろいろ苦労している部分がある。


まずザッケローニのキャリアで驚くべきことは、サッカーの監督になる前はホテルの支配人をしていたということである。そして事業自体は安定していたにもかかわらず、その事業を捨てて監督業に専念したのである。この度胸には驚くべきものがあるが、それについていった奥さんもすごい。


そしてザッケローニというと3−4−3のイメージがあるが、ザッケローニ自身はこのシステムをベストなものだとは思っていない。あくまで大事なのはチームのメンバーに合わせてシステムを組むことであり、システムありきではない。実際数多くのチームで4-4-2、3-4-3、3-5-2、4-2-3-1を使用している。


トレーニングメニューに関しては選手を型にはめて戦術的なトレーニングをすることが多かったようである。ラファエル・ベニテスのように守備と攻撃のパターンをあらかじめ決めておき、それをトレーニングで何度も繰り返すことが多い。ただ戦術面での細かさは群を抜いており、選手からはつまらない場面もあったという意見の反面、ディティールまでこだわるプロフェッショナルな監督だという評価もある。


またザッケローニは攻撃的なサッカーを思考する監督というイメージがあるが、一番大事にしているのはバランスである。以下のインタビューを読んでみるとそれがよくわかるだろう。


「私が欲しいのはバランスだ。ボールを持っていないときにはしっかり守らなければならないが、同時にボールを奪った時に効果的な攻撃ができるよう準備していなければならない。攻撃と守備というのは、完全に2つに分かれているわけではない。それぞれの中にそれぞれが含まれている。ボールを奪うのは守備だが、ボールを奪った瞬間には攻撃の準備が整っている必要がある。攻撃していてボールを失った時には、すでに守備の体制が出来ていなければならない。常に攻撃と守備を両立させることが必要だ。バランスというのはそういうことだ」(p247)


これは戦術的ピリオダイゼーション理論と同じことを言っており、バルセロナのジョゼップ・グアルディオラ監督も同じことを言っている。現代のサッカーでは攻撃と守備というふうな2項対立は成立しない。よってトレーニングにおいても攻撃と守備がバラバラになったトレーニングは効果が薄いのである。


また日本サッカーについてもコメントをしている。


「日本にはファンタジア(創造性)がない?なぜそう思うのか私には理解できない。Jリーグには創造性を備えた選手がたくさんいるじゃないか。日本人はあらゆる分野で創造性を発揮しているのに、どうしてサッカーだけそうでないというのだろうか?日本人は非常に正確できちんとしているが、同時に創造性にもあふれている。国際的な建築家がたくさん生まれているのもその一例だろう」(p252)


ザッケローニの良いところはこのように褒めてくれることだろう。この文章を読んで嬉しいと思わない日本人はいない。実際選手たちもザッケローニは自分のことを褒めてくれて自信を持たせてくれるというコメントをすることが多い。これは少年サッカーにおいても大事なことではないだろうか。

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サッカークリニック10月号


サッカークリニック10月を読んだ。今回の特集は「充実トレーニング」である。トレーニングは量よりも質であり、いかに集中したトレーニングを行うかが重要である。


・指導者は試合の結果によって選手を評価するのではなく、日々の練習によって評価すべき

・われわれはよく「世界標準」と言いますが、ブラジルには「世界標準」という言葉はないと思います。なぜなら日常が”世界”だからです。

・8歳という年齢はサッカーの戦術理解を深めるためのスタートポイントに適している

・「私語厳禁」とは言いませんが、可能な限り無駄話がない状態が良いトレーニングには欠かせない環境です。選手が声を出すときには、的確なコーチングを行うためというのが理想です。

・練習と練習の合間も短縮し、最長でも2分程度にしたい。それ以上に時間を費やすと、選手の集中力は低下する

・トレーニングで求めるべきは量ではなく質です

・ピッチサイズの決定は、指導者の仕事であり義務です。厳しい表現かもしれませんが、そのサイズを他人に決めてもらおうとするのは、自分が指導している選手のレベルを正確に把握していないことを露呈しているようなものです

・「勝敗は関係ない」と指導者が考えていると、子供たちはそれを敏感に感じとります。ですから私も、指導者が勝利を目指す姿勢は大事だと思いますし、、子供たち自身が「勝ちたい」と思うように導くべきだと思います

・久御山高校のトレーニング
1.ウォームアップ
2.4対2、5対2
3.3対3+フリーマン
4.7対7
5.11対11

・素走りはほとんどしません。ボールを使ったトレーニングでも、十分に走力や持久力が養えると思います。もちろん怪我が多くては選手として大成しませんから、外部のトレーナーに方に体幹を鍛えるトレーニングは指導してもらっています

・理想は実戦形式の中で「今のはこっちに出すべきじゃない?」「今はドリブルじゃなくてパスだろう?」と選手同士で指摘し合えるようになること

・僕はウォーミングアップをやらずにいきなり激しい1対1、4対4などをやらせます。もしそこで怪我をしたらそれは選手の意識の問題。最初から戦う姿勢を持って練習に入らせるための工夫です

・引き出し自体を子供たちが持っていないと何も引き出せません。つまり、ただ待っているだけでは何も出てこないことがあり得るのです

・多くの子供は小さいころまずはテクニックを学ぶことから始めます。でも実際はテクニックと状況判断、決定、実行はきっても切り離せないものです。そういう意味でもサッカーを始めた段階からテクニックと状況判断、決定、実行を同時にトレーニングする必要があると思います

・日本のチームや選手を見ていると、監督やコーチの話をよく聞いています。個人的には、選手同士が話し合うべきだと思うのですが、円陣を組んで指導者の話を聞いているほうが多い印象です。特にハーフタイムは選手同士で話したほうがよいのではありませんか。

・1つの練習セッションは1つのテーマで行うべきです。テーマの異なる練習をいくつも入れたメニュー構成では、ある練習が、試合の中でどのように生きるのかを想像するのが簡単ではありません

・エクアドルのプロリーグでは18歳以下の選手を必ず1人起用し、しかも45分間出場させないといけないことです

テーマ : サッカー
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グラウンドが狭い場合はどうするか?

おそらく日本国内でサッカーを教えている人には共通の悩みがあるだろう。それは十分なグラウンドのスペースが取れないという問題である。


日本は国土が狭い。それに対してサッカー人口は多い。またサッカーだけではなく野球、テニスなどいろいろスポーツが盛んである。よって必然的にグラウンドは取り合いになる。特に学校のグラウンドを使用している部活やサッカーチームは、限られた時間、スペースでトレーニングを行うしかない。


私のチームもサッカーのグラウンドにしては少し小さいグラウンドでいつもトレーニングを行っている。8人制でゲームをするのも少し狭いぐらいで、11人制にするとかなりスペースが狭くなる。やってやれないことはないが、もう少しグラウンドが広ければと思う場面もある。


しかしグラウンドの狭さについて悩んでいる暇はない。限られたスペース、時間でしっかりとしたトレーニングを組むのがコーチの役割である。逆にいえば狭いグラウンドを長所として活かすようなトレーニング、試合ができればよい。


まず私が意識をしているのは、トレーニングの効率性である。事前にしっかりとした練習メニューを組んでおき、トレーニングメニューの間をできるだけ短くなるようにしている。レアル・マドリード監督のモウリーニョのトレーニングは、事前に全てのトレーニングのグリッドを作っておいて、選手がグリッドを移動しながらトレーニングをする。よって、90分のトレーニングの間に、コーチがグリッドを作り直すような無駄な時間はない。選手も水分補給以外は休む時間はない。私のチームもそのようにしたいとは考えているが、なかなかスペースが取れないのでそれは難しいと感じている。しかしトレーニングの効率性は常に求めるべき事柄の一つである。


もう一つ意識しているのは戦術面である。私のチームでは普段狭いグラウンドでトレーニングを行っているため、狭いグラウンドでの試合が得意である。逆にグラウンドが広くなると、慣れていないせいか少し苦手としている部分がある。そのときにどうするかというと「自分たちで狭いグラウンドを作ろう!」という話を子供たちにしている。


というのは、自分たちでコンパクトな陣形を作るという意味である。まずディフェンスラインを高く保って、中盤にスペースが空かないようにする。フォワードとディフェンスラインの距離をできるだけ短くして、狭い間隔でプレッシングをかける。またサイドにボールが出たときには、逆サイドにいる選手には真ん中ぐらいまで中に絞るように指示をしている。逆サイドのフリーの選手はひとまず見ているだけでよく、ボールサイドでボールを取れればよい。そうすることで自分たちが得意な狭いグラウンド(スペース)でのサッカーに持ち込むことができる。


このようにグラウンドを使える時間、スペースが限られていても工夫次第ではどうにかすることができる。グラウンドの問題は一生付きまとうことなので、その時その時に応じて臨機応変に対応することが必要である。この辺のコーディネート能力もコーチには求められるだろう。

テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

怪我をした子供への対処法


サッカーをしている子供たちにとって一番かわいそうなのは怪我をすることである。サッカーは運動量も多く、ボディコンタクトの多いスポーツなので怪我をすることはある程度仕方がない。またサッカー以外にも学校で怪我をしたり、成長痛になったりすることもある。


私自身、怪我をしている子は無理をさせないようにしている。子供たちは「試合に出たい!」という風にいうときもあるが、お医者さんや保護者の方が言っていることを優先している。また試合中に調子が悪そうな子がいたら、すぐに交代させることが多い。


やはり小学生年代において一番大切なのは育成である。小学生年代でピークを迎えさせるのではなく、中学高校大学に向けてよい準備をさせることが大切である。もし小学生年代で無理をしてしまい、その後のサッカー人生に影響を与えてしまっては全く意味がない。


ただチームの中心選手が怪我をしてしまうと、コーチとしては無理させてでも試合に出したいという気持ちも出てくる。しかしそこはコーチが我慢すべきである。チームには他の子供たちもいる。怪我をしている子供を無理やり試合に出すのではなく、普段レギュラーではない子を試合に出すことで、チーム全体の能力を上げることに意識を切り替えるべきだろう。


そもそも論になるが、そういう時のためにも、普段からレギュラーの子供たちだけではなく、サブ組の子も試合に出しておくことが必要である。子供たちは何が起きるかわからない。毎週末必ず試合に来れるわけではなく、また試合当日に調子が悪くなる子もある。そのときのためにも普段から多くの子供たちを試合に出しておくべきなのだ。


ちなみに怪我をしている子供とのコミュニケーションは密に取っておくべきである。現在どのような状況なのか、お医者さんからは何と言われているのか、どれくらいで治りそうなのかなどは常に把握しておく。モチベーションが下がらないためにも、怪我をしていてもできること(逆足でのドリブル、ビデオや本で学ぶことなど)を伝えておく。また、サッカーノートを書いている人は、そこでもコミュニケーションを取ることができる。


一番大事なのは子供たちに無理をさせないこと。それだけは頭の中に入れておいて、怪我をした子が出たとしてもチーム力が落ちないように、チーム作りを進めることがコーチに求められると思う。

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試合中にはメモを取る


あなたは自分のチームの子供たちが試合をしているときにメモを取っているだろうか?現レアル・マドリード監督のジョゼ・モウリーニョも試合中によくメモを取っている。そしてそのメモを交代選手に持たせて、指示の伝達をすることもある。


私自身も試合中にはメモを取っている。以前はサッカーノートにそのままメモを書いていたが、現在はRHODIAという切り取り型のメモ帳を使っている。そして試合後はそのメモをサッカーノートに貼り、試合の反省をする。


指導者も試合中はどうしても熱くなってしまうことが多い。試合中に思いついたこと、指示すべきこと、褒めるべきことなどをそのままにしておくと、ハーフタイムや試合後には忘れてしまう場合がある。私も以前はそのようなことがあったが、メモを取り始めてからはそのようなことはない。


メモの内容は様々である。ちなみにこの前の試合のメモは以下のようになっている。


・相手左サイドのディフェンスが薄い
・ボランチは両方上がらない。1人上がって1人は残っておく
・1トップは前線に張る。戻ってこない
・A君の運動量が少ない
・B君のインターセプト良い
・相手は3バック
・ディフェンスラインを上げるのが遅い
・ボールサイドに1トップは寄る
・相手1トップの受け渡し
・ゴール前には3人入る
・壁3枚でよいのか?


これらの内容はハーフタイムに子供たちに伝えるときもあるし、試合後に伝えるときもある。また内容によっては子供たちには伝えずに、サッカーノートにだけ書いておくこともある。このような臨機応変な対応が出来るのも、試合中にメモを書いているからだと思う。


指導者はその場その場の感情で指示を出したり、行動をするべきではない。前日本代表監督の岡田氏は「試合後にミーティングをすることはない」といっていたが、これは試合後は監督も興奮状態にあり、感情的になってしまうからであろう。試合中にメモを取ることで、その場で感情的になって指示を出すことを防ぐことが出来る。一度試してみるとその効果がよくわかるだろう。

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Kengo Yoshida

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プロフィール

Author:吉田憲吾
2006年より坂本SCで小学生にサッカーを教えている。日本サッカー協会公認指導者ライセンスC級(サッカー、フットサル)取得。2010年より日本ヒューレット・パッカード(HP)株式会社でStorage Salesを担当。TOEIC850点。

主なブログ:
営業マンの、営業マンによる、営業マンのためのブログ
kengoyoshidaのバインダー
kengo yoshida - Japan | LinkedIn

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