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ショートカウンターを採用するチームは小学生年代に原点回帰している!?


現代サッカーにおいてはショートカウンターというものが流行っている。通常のカウンターはボールを奪う位置が自陣のことが多いが、ショートカウンターでは相手陣地でボールをカットしてカウンターに持ち込む。特に前線からのプレスを得意とするチームがショートカウンターを採用することが多い。

ショートカウンターではボールを奪ってから数秒以内にゴール前まで攻めきることを目的としている。攻撃に関わる人数も3,4人で一気にシュートまで持ち込む。その間はドリブル、縦パスが中心で、横パスやバックパスを使うことは少ない。あくまでもゴールまで一直線というイメージである。

従来のカウンターはゴール前にブロックを敷いて、そこでボールを奪った後に攻撃を始める。しかしボール奪取位置が低いため、ドリブルやショートパスよりも、ロングパスが中心になることが多い。よってカウンターを成功させるためには、攻撃力のずば抜けているFWがいることが前提となる。特に元浦和レッズのエメルソンのように、スピードのあるドリブルができるFWがいなければ、カウンターは成功しない可能性が高い。

しかしショートカウンターにおいてはそこまでずば抜けた能力を持ったFWがいなくても良い。ボール奪取位置が高いため、数人でショートパスを数本つなぐことができればボール前まで持ち込むことができる。逆にデメリットとしては、前線からのプレスが必要になるため運動量が求められる点である。ショートカウンターを採用するチームは、90分運動量が持つかどうかが重要なポイントになる。

少し前まではゴール前にブロックを敷いて、前線からのプレスはハーフエイライン前後からというチームが多くなった。モウリーニョがチェルシーやインテルで採用した戦術が世界全体に浸透したためである。現在でもマンチェスターUなど強豪チームはこの戦術を採用することが多い。ゴール前まで押し込まれてもフィジカル能力の高いCBが跳ね返すことができるからである。

しかし近年前線からのプレス+ショートカウンターを採用するチームが出てきている。その典型がドルトムントだろう。クロップ監督率いるドルトムントは、前線からのプレスを積極的にしかけ、ショートカウンターで攻めきることを重視している。ドルトムントの前線はレヴァンドフスキやゲッツェなどスピードがある選手がいるわけではない(以前は香川がトップ下である)。高さや運動量が多い選手を前線に起用して、複数人のコンビネーションでゴール前までボールを運ぶ。

Jリーグであればサガン鳥栖がこのショートカウンターを採用している。前線はご存じのとおり高さのある豊田で、中盤も水沼や金、清武弟など運動量が多くショートパスが得意な選手を起用している。まさにショートカウンターの典型的なチームだと思う。サガン鳥栖がJ2から上がってすぐに上位進出できているのも、このショートカウンターサッカーをいち早く取り入れている点が大きいだろう。

実は、小学生年代までのサッカーにおいてもこのショートカウンターが戦術の基本になる。というのもポゼッションで相手を崩せるほどの技術はなく、またロングキックが蹴れるほどのキック力もないからである。必然的に前線からプレスをかけて、こぼれ球を拾って一気にゴール前までという戦い方をするチームが多い。逆に言えばショートカウンターを採用するプロチームは、小学生年代の戦術に戻ったということも言えるかもしれない。このように戦術が原点回帰するというのもサッカーの面白い部分ではないだろうか。
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テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

CKの守備はマンツーマン?それともゾーン?


近年コーナーキックの守備の時にゾーンディフェンスを引くチームが増えている。以前は数人を除いてマンツーマンディフェンスが一般的だったが、プレミアリーグだけではなくJリーグでもゾーンディフェンスを引くチームが増えている。それぞれのメリット/デメリットは下記である。

■マンツーマン
・1対1でマークを付けば良いのでわかりやすい
・1対1が強い選手がいるチームは有利
・マークを外されるとフリーでシュートを打たれる
・育成年代においては1対1の強化になる
・シュートを打たれた際に責任の所在が明らかになる
・ゴール前にスペースが空いてしまうことがある

■ゾーンディフェンス
・あらかじめ決められた位置に立てばよいのでわかりやすい
・1対1ではなく数人対数人で守るイメージになる
・自分の近くにボールが来た時に触るイメージになる
・ディフェンスの間に良いボールが来た時にフリーでシュートを打たれる
・シュートを打たれた際に責任の所在がわかりにくい
・ゴール前のスペースを埋めることができる

おそらくあなたのチームではマンツーマンでのディフェンスを引いていることが多いだろう。これまでマンツーマンが一般的だったというのもあり、私自身CKのときにゾーンディフェンスを敷いているチームを見たことない。しかしここまでゾーンディフェンスが浸透してくると、ゾーンディフェンスを検討する余地があるだろう。

ただ、個人的には育成年代においてはマンツーマンの方が良いのではないかと思っている。やはり1対1での勝負で負けない選手を育てるためには、CKでの守備は良いトレーニングになる。育成年代からゾーンディフェンスで守っていると、誰の責任で点数を取られたのかが曖昧になるため、1対1での責任感が生まれなくなる。

子供は何か大きな失敗をした時に成長する。私自身CKでマークを外されて点数を取られたときのことは今でも覚えている。それだけショックだったというのもあるし、自分の責任で失点したのだと思ったのである。だからこそ「次こそはマークを外さないぞ!」「もっとあたりに強くなるぞ!」という気持ちが生まれる。

オシムやビエルサなどはディフェンスの際にマンツーマンをしくことが多いが、これはそれぞれの選手に責任感を持たせるためでもある。ジェフ千葉もアスレチック・ビルバオではマンツーマンディフェンスを引くことで、若手の育成にもつながっている。もちろん現代サッカーでは全てマンツーマンというのはなかなか難しいが、せめてCKなどのセットプレーはマンツーマンディフェンスを残しておくべきである。

サッカーの戦術は毎年変化し、指導者をそれについてくべき勉強する必要がある。しかしそれをそのまま自分のチームに踏襲するのではなく、チームの実力、年代、目的などはしっかりと吟味する必要があるだろう。CKの守備はその典型的な例ではないだろうか。

テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

3バックの復権!?


昨日はゼロックス・スーパーカップがあった。昨年のJリーグ王者のサンフレッチェ広島と天皇杯王者柏レイソルの一戦だった。結果は佐藤寿人のスーパーボレーシュートで広島が1-0で勝利したのだが、私が注目したのはそこではない。両チームとも3バックの3-4-2-1を採用していたことである。

以前私は「なぜ3バックは流行らないのか?」で3バックが流行らない理由を書いているが、それから数年たち3バックが復権し始めている。これはJリーグだけではない。世界各国、特にイタリアで3バックが流行り始めている。

記憶に新しいのはユーロ2012のイタリア代表だろう。ブランデッリ新監督のもと、イタリア代表は3-5-2システムで戦い準優勝までたどり着いた。結果だけではなく内容もよい試合を見せていたので、覚えている人も多いかもしれない。またあのバルセロナもグアルディオラ時代に3バックを採用している。グアルディオラ自身はセスクが加入したことにより、中盤の構成を最大限生かすためと主張していたが、あのバルセロナが3バックを採用したことで再び3バックに注目が集まった。

Jリーグでいえば現浦和レッズ監督のペトロビッチ監督が3-4-2-1を採用していることで有名である。現広島監督の森保監督はペトロビッチの戦術を踏襲し、そのまま3-4-2-1で昨年Jリーグ優勝を果たした。そして今年は前出の柏レイソル、そしてピクシーことストイコビッチ監督が率いる名古屋グランパスも3バックを採用しようとしている。

なぜこのようなことが起きたのだろうか。数年前に3バックがはやらなくなった理由は、1トップor3トップのチームが多くなり、3バックだとカバーリング役の1DFを余らせることができなくなったからである。そもその3バックは相手の2トップ対策で作られたシステムであり、相手が1トップであれば2DFが余ってしまい、相手が3トップだと3対3で1人も余らせることができない。このアンバランスが3バックには存在する。またサイド攻撃が定着してきた現代において、3バックの両脇のスペースを使われることを懸念し4バックを採用するチームが多かった。サイドをケアしようとすると、どうしてもウイングバックの2人が下がってしまい、5バック気味になってしまうからである。

現在でも多くのチームは4バックを採用している。特にプレミアリーグのチームはマンチェスター・Uはじめほぼ全チームが4バックを採用している。また現レアル・マドリード監督のジョゼモウリーニョが3バックを採用することはない。現ロシア代表監督のファビオ・カペッロもローマ時代は3バックを採用していたが、現在は4-4-2をベースとしたシステムを採用している。4バックの場合はディフェンスラインの4人、中盤の4人で4-4の2ラインを作り、その間でボールを奪うことを目的としている。数年前はこのディフェンスシステムが一般的になったため、3バックを採用するチームは少なくなった。

では現在の3バックは以前と何が違うのだろうか。正直って私は現在の3バックも以前の3バックもほぼ変わらないと思っている。しかしひとつ違うのは守備の時に5バックになることを許容し始めているということだろう。

昨日の試合を見ていても、広島も柏も守備の時は5バックになっていた。というよりも、意識的に5バックにしていた。自陣ペナルティエリアの前に5人のディフェンスが並び、その前に4人の中盤が並ぶ。合計9人で2ラインを作り、ディフェンスをするのである。以前であれば5バックになることが悪いことだと考えられていたが、おそらく3バックを採用する監督は5バックになることを悪いことだと思っていない。むしろ守りを固める上では必要なことだと考えている。

というのも現代サッカーでは先制点というものがかなり大きな重要度を占めているからである。以前であれば先制点を取ったチームが2点目を取りに勢いをつけて攻めて来るということが多かった。しかし現代サッカーにおいては、先制点を取ったチームは自陣近くにリトリートして、まずは守備を固めることが多くなった。そして攻撃についてはあくまでもカウンターで2点目を取りに行き、あくまでも守備のバランスは崩さない。これはジョゼ・モウリーニョがCL決勝のバイエルン・ミュンヘンで採用した戦術であり、あまりにも上手くハマったため記憶に新しい人も多いだろう。

よって監督としては先制点を取られることを極端に嫌うことになる。先制点を取られると、リトリートした相手を崩すことが難しくなるからである。その結果が3バック気味の5バックである。守備の時にはまず5バックでも良いから点数を取られないことを最優先にする。相手が攻めてきたら、以前に比べて多少攻撃の人数が少なくなるがカウンターで点を取りに行く。逆にポゼッションに入った時には3バック気味にして攻撃に厚みを持たせる。浦和や広島などは攻撃時には4バックにシステムチェンジをして、ポゼッションを中心にして攻めているのでそのような工夫も出始めている。

昨日の試合を見ている限りではやはり広島の方が戦術的な理解度が高く、3バックのメリットが出ていた。逆に柏の方が以前は4-4の2ラインがうまくハマっていたため、それを捨てての3バックだったが、まだ理解度は高くない気がした。失点の部分においては5バック気味にして人数は揃っているにもかかわらずゴールを取られてしまったので、本当に5バックにすることが守備を固めることにつながるのかはしっかりと分析する必要があるだろう。

面白いのは時代が変化するにつれて新しい戦術が次々に生まれてくることである。そしてそれには必ず理由やロジックが存在する。その流れをしっかり把握することも、指導者には求められる部分だろう。

テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

小学生のサッカーはなぜ蹴り合いになってしまうのか?


小学生年代のサッカーはどうしてもボールの蹴り合いになってしまうことが多い。これはレベルが低いチームであればある程そうなってしまう。小学生のチームでしっかりとビルドアップして、ボールをつないでゴールまで迫るチームはなかなか多くない。


なぜなら子供たちには恐怖心があるからである。どんな恐怖心かというと「ボールを取られる恐怖心」である。もっといえば「ボールを取られて相手にゴールを決められるかもしれないという恐怖心」である。これがあるからこそ子供たちはすぐにボールを蹴ってしまう。


指導者が子供たちに対して「落ち着いてボールをつなげ!」と指導したところで、子供たちの恐怖心がなくならない限りにはこの問題は解決しない。よってチームとして安易にボールをけらずに、ビルドアップさせるためには、まず「ボールを取られる恐怖心」をなくさなければならない。


「ボールを取られる恐怖心」をなくす一番簡単な方法は「ボールを取られないようになる」ことである。子供たちはボールを失うことが怖い。よってボールを失わなければよい。もっといえばボールを失わない自信を身につけさせればよい。しかしここからが問題である。どうやってボールを取られないようにすればよいのか。これは個人一人ひとりのレベルを上げるしかない。


私のチームでは毎回1対1のボールキープのトレーニングをしている。最初2人組で背中合わせになり、背中の間にボールを挟む。そして笛の合図で振り返り、3秒間でどちらが最後にボールキープをしているかを競う。こうすることで子供たちがボールを持ったときにパスを出す相手がいなくても、判断を変えてキープをする技術を身につけることができる。


あとはドリブルの技術をを磨くのが手っ取り早いだろう。バルセロナがパスサッカーで成功しているのは、キープ力とドリブル力があるからである。もちろんパスもうまいのだが、相手がシャビ、イニエスタ、メッシからボールをとることができないため、バルセロナの選手は簡単に彼らにボールを預ける。そしてボールは必ず彼らを経由し、彼らがパス回しのハブとなることで華麗なパスサッカーを実現するのである。よってビルドアップをするためには、逆説的に聞こえるかもしれないがキープ力やドリブル力が必要になる。


あとは本当にビルドアップをするチームを作りたいのであれば、最初はある程度結果は無視するしかないかもしれない。どうしても小学生年代でビルドアップをしようとすると、ゴール前でボールを取られてそのままゴールにいれられてしまうことが多くなる。そして子供たちもそれを恐れているため、安易にボールを蹴ってしまう。


さらに子供たちはボールを取られることのほかにも恐れていることがある。それはボールを取られたときに指導者から怒られるという恐怖である。おそらくその恐怖を取り除いてあげなければ、ビルドアップを子供たちが好むとは思えない。よって指導者にもある程度の我慢、結果を許容する判断が必要になってくるのではないだろうか。

なぜモウリーニョのチームは守備的だと批判されるのに大量得点を取れるのか?


またモウリーニョのチームが優勝した。レアル・マドリードがライバルのバルセロナからリーグ優勝を4シーズンぶりに奪い取ったのだ。モウリーニョは常々3大リーグで優勝したいと望んでいたため、プレミア、セリエA、リーガの3大タイトルを取ったことで今後の去就が注目されている。おそらく(すぐにではないと思うが)今後はポルトガル代表の監督になってワールドカップ優勝を取りにいくだろう。


ただ、モウリーニョがこんなにも優秀な監督なのにも関わらず、アンチモウリーニョというものは必ずいる。特に一番多い批判は「モウリーニョのチームは守備的だ」というものである。単なる妬み、僻みの可能性もあるのだが、確かにモウリーニョのチームの試合は守備的に見えることもある。しかし結果だけを見てみると、今シーズンも36節終了時点で115得点はバルセロナを抑えてリーグトップである。


なぜモウリーニョの率いるチームは得点をこんなにも取っているのに守備的だと批判されるのか。逆に言えばなぜ守備的と批判されるのにこんなにも得点が取れるのか。その謎について今回は書いてみようと思う。ポイントは2つある。


1.守備ブロックを作って相手のミスを待つ

モウリーニョのチームは守備ブロックを作ってゾーンで守るのが基本である。特にディフェンスの4枚、CHの2枚はまずブロックを作ることが要求されている。またサイドハーフに関しても基本は守備ブロックを作って、トップ下の選手とともに合計9枚の守備ブロックを作る。レアルの時にはクリスティアーノ・ロナウドがあまり守備をしないため8枚に見えるときも多いが、チェルシー時代、インテル時代含めてこれが原則となる。

モウリーニョのチームの守備で特徴的なのは、アプローチの距離である。意外なことにモウリーニョのチームのディフェンスは積極的にプレスをかけるのではなく、相手のミスを待つディフェンスである。良く見るとわかるがアプローチの距離も遠いし、ディフェンスがしっかりと腰を落として隙あれば奪いに行くというディフェンスではない。あくまでもスペースを生めて、パスコースだけ切って、あとは相手のミスを待つというディフェンスである。これは特に1点とってリードしたあとに顕著で、CFもハーフラインまで引いて、ディフェンスもペナルティエリア近くまで引いて、全員でスペースを生めることに専念する。

これだけだと押し込まれて点を取られてしまうのではないか?と思う人もいるかもしれない。しかしモウリーニョのチームで特徴的なのは、まず強固なGKを常に抱えていることである。レアルであればカシージャス、インテルではジュリオ・セザール、そしてチェルシーであればペトロ・チェフという素晴らしいGKがいる。ディフェンスラインを下げたときに注意しなければいけないのはロングシュートだが、彼らは単純なロングシュートであれば難なくとめることが出来る。

また、CHにも守備が出来る選手を並べることが多い。ケディラ、エッシェン、カンビアッソ、ディアッラなど必ず一人は守備の職人を据える。残りはランパード、シャビ・アロンソ、スタンコビッチなど攻撃も出来るような選手をおくことが多いが、彼らにもしっかりと守備をさせる。これによって押し込まれても点数を取られないような守備を作るのである。

もちろん相手がバルセロナのようなチームの場合には前線からプレスをかけるような戦術をとることもある。しかし原則は8人~9人で守備ブロックを作って、積極的な守備をせずに相手のミスを待つようなディフェンスをする。よって必然的にボールキープ率は低くなり、守備的だと見られることが多いのである。


2.高速ショートカウンター

モウリーニョのチームはそれでもたくさんの得点を取る。そしてその大部分が高速ショートカウンターである。レアルマドリードではクリスティアーノ・ロナウド、ベンゼマ、カカ、イグアイン、インテル時代はミリート、スナイデル、エトー、パンデフ、チェルシー時代はドログバ、ロッペン、ジョ・コール、ランパードなど優れたアタッカーを抱えていることも大きな要因の一つではある。しかしここのタレントがすごくてもこれだけ多くの得点を取れるのには他の秘訣がある。

少し考えてみて欲しい。以下の2つのトレーニングをした場合、どちらが多くの得点を取れるだろうか。

①オフェンス3枚、ディフェンス4枚(うち一人GK)のトレーニング
②オフェンス8枚、ディフェンス9枚(うち一人GK)のトレーニング

フィールドの枚数はそれぞれ同数である。よって違いは合計人数が多いか少ないかだけである。しかしおそらく①のほうがたくさんの点数が取れる。なぜなら②の場合はすでにGK+8枚の守備ブロックが出来ているからである。逆に①のほうは3人のDFしかいないため、守備ブロックを作ることができない。しかもスペースがあらゆるところにある。

モウリーニョのチームは意図的に攻撃の時には①の状況を作り、守備の時には②のような状況を作っている。順番としてはまず守備で②のような状況を作り上げる。そして相手がどんどん上がってきて、相手陣内が①のような状況になるのを待つ。それまでは積極的にボールを取りにいかず、相手のミスを待つだけである。そしていったんボールが取れるとすばやく前線にボールを送り、①のような状況で攻めきる。そのためには高速ショートカウンターが出来るようにボールがキープできるCF(ベンゼマ、イグアイン、ミリート、イブラヒモビッチ、ドログバ、グジョンセン)とウイング(クリスティアーノ・ロナウド、カカ、エトー、ロッペン、ジョー・コール)などが不可欠なのである。

しかも彼らは他の選手に比べて体力があまっている。なぜならモウリーニョのチームのディフェンスは激しいプレスをかけるのではなく、あくまでもパスコースだけ消して相手のミスを待つだけだからである。むしろ攻撃的な選手はショートカウンターのために体力を温存していると考えても良い。また彼らを生かせるようなスペースも意図的に作り出している。よってあれだけの爆発的なスピードを持った高速ショートカウンターが出来上がるのである。

このようにモウリーニョのチームは原則高速ショートカウンターで得点を取ることを目的としている。特に1点リードしたあとにはこのような状況になることが多く、むしろ相手がどんどん攻めて来てくれたほうが得点を取りやすい。よって内容的には押し込まれているように見えても、結果的には高速ショートカウンターで大量得点を取れる。しかし見ているほうとしては攻撃している時間が短いのでどうしても守備的に見えてしまうのである。


と、このようにモウリーニョのチームは意図的に守備的に見えるような状況を作り出している。なぜなら彼らにとってそれが一番攻撃的なスタイルだからである(実際に大量得点を取れているし、、、)。しかし「ボールをキープしているチーム=攻撃しているチーム」という認識を持っている人にとっては、モウリーニョの考え方は理解できない。あくまでもバルセロナのようなチームが攻撃的なチームであるという考え方にいたってしまう。しかしサッカーはそんな単純なスポーツではない。ボールをもたれていても主導権を握ることは出来るし、ただ単にボールを回させられているチームもある。「たくさん得点を取れるチーム=攻撃的なチーム」という立場に立てば、まさしくモウリーニョのチームは攻撃的なチームなのである。

テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

マルセロ・ビエルサのマンツーマン戦術と育成年代


アスレチック・ビルバオが快進撃を続けていることは、多くのサッカーファンが驚いているだろう。特にヨーロッパリーグでマンチェスターUを倒したと聞いた時には、耳を疑った人も多かったのではないだろうか。


アスレチック・ビルバオといえば、スペインリーグの中でも特殊なチームの一つであり、なんとバスク地方出身者しか採らないというルールを設けている。また、スペインリーグの中では珍しく、ロングボールと空中戦を多用する戦術をチームコンセプトとして掲げている。


しかし今シーズンから就任したマルセロ・ビエルサはビルバオの戦術をガラッと変えた。ビエルサといえば「変人」と呼ばれるほどのサッカーバカで、あのグアルディオラが世界最高と称している監督である。ビエルサは超攻撃的サッカーをベースとして、ショートパスとパス&ムーブを繰り返して攻撃をするスタイルを好んでいる。そして注目すべきは守備戦術である。守備は現代サッカーの流れに反して、オールマンマーク戦術をしいている。最終ラインの1人を残し、全てがマンマークなのである。


現代サッカーはゾーンディフェンスが主流である。ゾーンディフェンスにおいては自分の担当するゾーンに入ってきた選手をマークする。相手がポジションチェンジをしてきた時も、声を出してマークの受け渡しをし、相手選手にそのままついていくことはない。ディフェンスの原則も①ボール②味方の位置③相手の位置になる。


しかしマンマークディフェンスにおいては、原則自分が担当する相手にずっと付いていく。ポジションチェンジをしたとしても、マークの受け渡しないのである。相手のサイドバックがサイドハーフを追い越して上がってきたときにも、サイドバック担当の選手がそのままマークについていく。ディフェンスの原則は①ボール②相手の位置③味方の位置になる。


もちろんフィールド10人全てをマンマークすることはなく、最終ラインにリベロを1人残すことが多い。ビエルサのチームも相手が1トップや3トップのときには4バック、相手が2トップのときには3バックを敷く。そして1人がかわされたときに初めてマークの受け渡しをする。つまり余った選手にリベロがつくことでリスクヘッジをするのである。


ただしビエルサのチームにおいてはフォーメーションがあまり意味を持たない。なぜなら相手の動きによってフォーメーションが変化するからである。例えば相手のCBが前線まで上がってきたときには、FWがディフェンスラインまで戻る。そこでマークを受け渡すことはないからである。


もちろんこれにはリスクもある。例えば相手選手に常についていくということは、ディフェンスが苦手な選手がディフェンスラインに入り、オフェンスが苦手な選手が前線に残ることもあり得るからである(もちろんその時には空いても同様のシチュエーションになるが)。これは本当の意味での全員守備・全員攻撃である。ゾーンディフェンスではこのようなことは基本あり得ない。


私は実は小学生の公式戦で一度マンマーク戦術を試したことがある。相手はJ下部組織のU-12だったのだが普通にやっては絶対に勝てない相手である。そこで私がオールマンマーク戦術を用い、1人1人に責任を持たせる守備を課した。実際のところこれは勝ちを目指していたのではなく、J下部組織の相手に自分1人1人の力を試してみてほしいという意味だったのだが、実はこの戦術が見事にはまった。普段ゾーンディフェンスに慣れている相手は、マンマーク戦術にかなりてこずっていた。結果は1-3での敗戦だったが、普通の街クラブがJ下部組織相手にかなり良い試合をしたと思っている。


個人的にマンマーク戦術は特に育成年代に有効だと考えている。まずマンマークをするということは目の前の相手との個人勝負になる。誰かがサボって失点すればその選手の責任であることが明白になり、責任感が身につきやすい。また目の前の相手に負けたくないという気持ちもすごく出てくるだろう。ゾーンディフェンスになるとどうしても責任の所在が不明確になりやすいからである。


また上記のように相手にずっとついていくということは、自動的にいろいろなポジションをやることになる。相手が上がってくればディフェンスになり、下がっていけばオフェンスになる。育成年代においてはいろいろなポジションをやることが有効だといわれているので、マンマーク戦術はぴったりである。


ビエルサはもともと育成年代の監督経験もあるので、このあたりももしかしたら考えているのかもしれない。まだ元日本代表監督のオシム氏もマンツーマンディフェンスを好んでいたが、ジェフの選手がこれによって急激な成長を遂げたことも関係しているのかもしれない。


とはいえ、私も今まではゾーンディフェンスを基本とした戦術を子供たちに教えていた。マンマーク戦術をとったのはJ下部組織相手の試合のみである。これから少し試してみて効果のほどを観察してみたいと思う。

テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

ビルドアップ時にフォーメーションを変える?

浦和レッズVS柏レイソルの試合をTVで観戦した。今年のレッズはペトロビッチ監督になり、ポゼッションサッカーを志向したチームに生まれ変わろうとしている。柏レイソルもご存じの通りネルシーニョ監督が率いる昨年優勝チームである。結果はレッズが1-0で勝利したが、内容的にも大変見ごたえのある試合になった。


ペトロビッチ監督といえばサンフレッチェ広島で攻撃的なサッカーを展開し、すごく面白いチームを作った名将である。残念ながらタイトルには縁がなかったが、個人能力がそこまで高くない広島であれだけのサッカーを作り上げたことが評価されている。また、3-6-1というあまり現在では流行しないシステムを使う監督でもある。


レッズにおいても3-6-1をスタートのフォーメーションとしていた。メンバーは以下のとおりである。


GK:加藤
DF:坪井、永田、槇野
MF:平川、阿部、鈴木、梅崎、柏木、原口
FW:デスポトビッチ


とはいえ、ペトロビッチ監督のサッカーにおいてはこのシステムというものが固定されていない。ペトロビッチ監督のサッカーはディフェンスラインから細かいパスをつないでビルドアップしていくのだが、その際にフォーメーションは変化するからである。


まずポゼッションを開始するときには3バックの左右(坪井、槇野)がタッチラインいっぱいまで広がる。そして真ん中のDF(永田)とボランチの一人(阿部もしくは鈴木)がセンターバックのポジションをとり、結果的に4バックのような形になる。


そしてサイドハーフの平川と梅崎は前線まで駆け上がり、FW(デスポトビッチ)と一緒に3トップのような形を作る。結果的には以下のような4-3-3のシステムに早変わりするのである。


GK:加藤
DF:坪井、永田、阿部、槇野
MF:鈴木、柏木、原口
FW:平川、デスポトビッチ、梅崎


しかもここでは終わらない。ビルドアップが成功して相手のゴール前まで近づいてくると、左右のサイドバックのどちらか(坪井もしくは槇野)も攻め上がり、厚みのある攻撃を繰り広げる。結果的に3-4-3のようなシステムになるのである。


GK:加藤
DF:坪井(もしくは槇野)、永田、阿部
MF:鈴木、柏木、原口、槇野(もしくは坪井)
FW:平川、デスポトビッチ、梅崎


このようにビルドアップ時にフォーメーションを変えるというのが現代サッカーでは主流になりつつある。たとえばバルセロナの場合は4-3-3のシステムから始めるが、ビルドアップ時には両サイドバックが攻め上げリ、センターバックの間にボランチが引いてきて、3バックのような形を作る。


このようにビルドアップ時にフォーメーションを変えることが流行しているのは、そうすることでマークを外すことを目的としているからだろう。通常3バックの左右は上がってくることがないので、相手はマークを決めてないことが多い。しかしフォーメーションを変えて3バックの左右が上がってくることで、相手はマークを受け渡さざるを得なくなる。この受け渡しのタイミングを狙って縦パスを入れるのである。


いずれにせよこの試合の浦和レッズはとても良い試合をしていたのは間違いない。タレントもそろっているので、それをどのようにまとめられるのかがペトロビッチ監督の手腕が問われるところだろう。今シーズン注目のチームであることは間違いない。


テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

マンツーマンは時代遅れなのか?


多くの人はマンツーマンディフェンスを時代遅れのものだと思っていないだろうか?


現代サッカーでは多くのチームがゾーンディフェンスを使用している。マンツーマンを使用しているチームは現在Jリーグでもほとんどないだろう。またワールドカップで使用しているチームも見たことがない。


しかしマンツーマンが全くダメなのかというとそうではない。特に育成年代においてマンツーマンディフェンスを採用することは良い面もある(もちろん悪い面もある)。


まずマンツーマンを使用すると、目の前の相手(つまり自分がマークしている選手)には絶対負けたくないという気持ちが出てくる。ゾーンの場合はその都度マークが変わるので、あまり1対1で勝負しているという気持ちはしない。しかしマンツーマンの場合は、抜かれたりゴールを決められたりすると責任範囲がはっきりするので、普段以上に気持ちが入る。


また、相手チームからしてみるとゾーンディフェンス相手に慣れているため、マンツーマンをどうやってかいくぐればよいのかが分からない。単純に考えればポジションチェンジをしてスペースを開ければよいのだが、育成年代ではそこまで頭が回らない。「なんかやりにくい」という気持ちだけが残ってイライラするチームが多くなる。


さらに攻撃面に関しては、個の能力を上げるためにはもってこいのチャンスになる。一般的にこちらがマンツーマンをしているということは、相手もマンツーマンに近い形になる。そうなると自分がドリブルで相手を抜けばビックチャンスになるため、どんどんチャレンジさせることが出来る。またゴール前での1対1での勝負も多くなるだろう。


もちろんマンツーマン戦術がこれから流行するとはとうてい思えない。また育成年代においても最新の戦術(現在であればゾーンディフェンス)を教えることは大事である。しかしたまにはマンツーマン戦術をとりいれて個の勝負をさせるのも、子供たちにとって良い刺激になるのではないだろうか。


テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

センターバックがポゼッションに参加できることの重要性


現在の日本代表はダイレクトでの細かいパス回しができる。特に香川、本田、長谷部、遠藤、今野である。んんん?今野?そう今野である。MFの4人の選手がダイレクトで細かいパス回しができるのはわかる。しかしそれに加えて今野がパス回しに加われるのが大きい。


今野は現在日本代表ではセンターバックをやっている。しかしご存知のとおり今野はもともとボランチの選手である。特にハードマークに定評があり、現在流行のアンカーをやらせたら日本で右に出るものはいない。


しかしザッケローニ監督は今野をセンターバックで起用している。おそらくセンターバックの人材が不足しているからかもしれないが、正直最初は危ないと思っていた。今野はそこまで背が高いわけではなく、しかももともとボランチの選手だからである。しかし私の見通しは甘かった。


今野をセンターバックで使ったことによる一番のメリットは、センターバックからボールを回せるようになったことである。一般的にセンターバックというとフィジカルは強いが技術がなく、ボール回しができない選手が多い。よって基本的にセンターバックがボールを持つととりあえずボランチにボールを預ける。


しかし現代のサッカーではボランチの位置に対しても激しいプレッシャーが来る。遠藤や長谷部はそれでもボールをつなぐことはできるが、相手がワールドクラスになったらそうはいかないだろう。そのときに重要になってくるのはセンターバックである。


センターバックがボール回しに参加することができれば、ボランチへのプレッシャーがきつくなってきたときにかなり助かる。ボランチできついと思えば、センターバックにボールを下げればよいからである。そしてセンターバックがサイドチェンジをしたり、効果的に縦パスを入れることができれば、ボランチの代わりにボールを展開できる。


またもし相手がそれに気がついてセンターバックにプレッシャーをかけてくれば、逆にボランチが空いてくる。そのリスクがあるため、多くの場合相手フォワードはセンターバックにはプレッシャーをかけない。つまりセンターバックは比較的フリーでボールを展開できるのである。そのときにボールをつなぐことが出来るかどうかで、ポゼッション率が大きく変わってくる。


海外の指導者はこれに気がついている。現在ボールを回すキーになるポジションはセンターバックとGKである。マンチェスターユナイテッドでは、ポゼッション練習のときにフリーマンをセンターバックとGKに指名している。ファーガソン監督は明らかにセンターバックとGKからポゼッションを始めることを意識しているのだろう。


現在の日本代表は今野と吉田というボールをつなげる選手がセンターバックにいる。これはトゥーリオ中沢というコンビの時には考えられなかったことである。この2人がアジアカップ優勝の影の功労者であることは間違いない。

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なぜディフェンスラインを上げるのか?

多くの人はディフェンスラインを上げる理由をオフサイドを取るためだと思っている。しかしこれは必ずしも正解とは言えない。もちろんオフサイドを取るという目的もあるが、本当の目的はそうではないからである。ディフェンスラインを上げる本当の目的は、中盤をコンパクトにするためである。


おそらく日本人はトルシエがフラット3を使ってオフサイドトラップを仕掛けていたのが記憶に残っているため、ディフェンスラインを上げることはオフサイドを取るためだと誤解している。しかしオフサイドを取ったからと言って点数が入るわけはないし、サッカーはオフサイドを取るゲームではない。あくまでも相手よりも多く点を取って勝つゲームである。


例えばアーセナルというチームはプレミアリーグの中でもかなりディフェンスラインが高いチームである。またオフサイドを取った数もプレミアリーグの中で一番多いらしい。しかしアーセナル監督のアーセン・ベンゲルは必ずしも「オフサイドを取れ!」とは指示していない。『ベンゲルノート』には次のように書かれている。


「トレースとコンビを組んだ大岩は、ベンゲルから「オフサイドトラップを使え」と言われたことはない。監督の指示通りにディフェンスをすることで、結果的にそうなったのだと考えている。〔中略〕「相手チームがオフサイドになる場面は増えたかもしれないけど、ベンゲルからはラインを上げろとか、オフサイドトラップをかけろとは一度も言われていない。いつも言われていたのは、周りとの関係を考えてどうやって動けばいいのかだった」」(p55)


ベンゲルが名古屋グランパスを指揮していた時、グランパスのディフェンスラインはとても高いことで有名だった。当時のマスコミはそれを「オフサイドトラップを有効に活用している」と分析していたが、実際は全く異なるる。あくまでもプレッシングをかけて周りのスペースを埋めていくうちに勝手にラインが上がっていたのである。


あくまでも一番大事なのは中盤をコンパクトにすることである。そのときに前線からプレッシングをかける場合は必然的にディフェンスラインも高くなる。その結果としてディフェンスラインが上がり、オフサイドが取れるのである。この順番を間違えてはいけない。

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攻撃の問題は守備にあり、守備の問題は攻撃にある

多くの人は点数をたくさん取られたのは守備に問題があったと思っている。逆に点数がなかなか取れないときには、攻撃に問題があったと思っている。もちろんこれは間違いではないが、必ずしもそうでない場合もある。バルセロナのグアルディオラ監督は次のように言っている。


「攻撃と守備は切り離して考えられない。いいディフェンスを揃えたからといっていい守備ができるわけではなく、いいフォワードを揃えたからといっていい攻撃ができるわけでもない。いい攻撃をするからいい守備ができ、いい守備をするからいい攻撃ができる」(『テクニックはあるが「サッカー」が下手な日本人』(P184))


例えばバルセロナは比較的高い位置からプレッシングをかけることで有名である。特に前線の3トップは、相手のセンターバック、サイドバックに対してしっかりとしたプレッシングをかける。これが一番うまくいったのは一昨年のチャンピオンズリーグ決勝マンチェスターユナイテッド戦だと思う。


しかし岡田監督率いる日本代表がこのような前線からのプレスをかけたときには全く機能しなかった。ただただ体力だけを消耗し、親善試合のオランダ戦ではスタミナ切れから後半に3点取られた。この戦術をあきらめた岡田監督がワールドカップでディフェンシブな戦いをして、結果を出したのは記憶に新しいはずである。


ではこのバルセロナと日本代表の違いはいったい何なのだろうか?理由は2つある。


1.ポゼッション率
2.ボールを取られた時の選手のポジショニング


まずバルセロナと日本代表での一番の違いはポゼッション率である。バルセロナの場合はほとんどの試合でポゼッション率が60%近くになる。ポゼッションをしている間はもちろん人も動くが、一番動くのはボールである。またモウリーニョが言うようにポゼッションをしながら休むこともできる。そして前線からプレッシングをする時間も短くて済む。よってポゼッション率が高いチームはなかなか体力が減らない。それに対してポゼッション率がそこまで高いとは言えない日本代表は、前線からのプレッシングをかける時間が多く、体力を減らしてしまうのである。


またポゼッション時にボールを取られた時の選手のポジショニングも大事である。バルセロナの場合は密集地帯を細かいパスでつないでいくため、ボールを取られた時にも味方が周りに多くいる。よってすぐに数人でプレッシングをかけることができる。しかし日本代表は密集地帯を細かいパスで抜けるチームではないため、多少選手間の距離がある。そうするとボールを取られた時に周りに味方が少なく、プレッシングをかけようとすると長い距離を走らなければならない。


このようにプレッシングという守備の問題に関しても、実は攻撃パターンが大きく関わっている。単純に日本代表のプレッシング(守備)が悪いのではなく、日本代表の攻撃パターンが前線からのプレッシングという守備パターンとあっていなかったのである。これはまさしくグアルディオラが言っているような、「攻撃と守備は切り離して考えられない」という例ではないだろうか。

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ザッケローニが日本代表監督に就任!

やっと日本代表の監督が決まった。イタリアセリエAで指揮を執っていたアルベルト・ザッケローニである。私はこの人が指導するチームのサッカーを全く見たことがない。よってこの決断が良いのか悪いのか良くわからないが、日本サッカー教会も苦労したのだろう。


ただ日本サッカー協会はスペイン代表のようなサッカーを目指し、スペインサッカー協会と育成の分野で手を組んだ。イタリアのサッカーとスペインのサッカーは全く異なるものであるため、その辺がどのように協調していくのかが指導者としては気になる。


ただイタリアの監督に一度日本代表の監督になってもらいたかったのも事実である。特にディフェンス面ではカテナチオと呼ばれる守備力の高さがあるため、それを一度学んでおくことは決してマイナスにはならない。特に岡田前監督が前線からプレッシングをかけるサッカーをしていた時に、イタリアの監督からは多くの批判が集中した。それはナンセンスなプレッシングであるというのである。よってその意味でも本場のプレッシングがどのようなものなのかが気になる。


ただシステムが3-4-3を好むというのはどうなのだろうか。3トップは悪くないが、3バックを採用しているチームは現在ほとんどいない。理由は以前「なぜ3バックは流行らないのか?」で書いた通りである。


とはいえ必ずしも3バックが悪いわけではない。またザッケローニも最近では4バックを使用していたこともあるようである。まずは彼の試合を見てみるしかない。10月8日のアルゼンチン戦が初陣となるようだが、今から楽しみである。

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アーセナルはなぜ強いのか?

アーセナルVSブラックプールの試合を見た。
今年のアーセナルは特に目立った補強もなく大丈夫なのかと少し心配したが、結局6-0の完勝となった。相手チームが前半途中で一人退場となったことも大きかったが、それよりも内容が凄く良かった。


アーセナルのスタメンは以下の通りである。

GK:アルムニア
DF:サーニャ、ソング、フェルメーレン、クリシー
MF:ディアビ(セスク)、ロシツキー、ウィルシャー
FW:シャマク、ウォルコット(ベラ)、アルシャビン(ファンペルシー)


この中で新戦力はMFのウィルシャー、FWのシャマクあたりだろう。私が注目したのはMFのウィルシャーである。まだまだ戦術理解度、ゲームの流れを読む力は高くないが、左足のパスの制度、テクニックなどは素晴らしい。また運動量もかなり多く、たびたびゴール前に飛び込んでいっていた。それでまだ18歳なのだから驚くべきばかりである。


アーセナルといえば選手の平均年齢がものすごく若いことで有名である。この試合ハットトリックしたウォルコットは21歳、ベラも21歳、そしてアーセナルの中心選手であるセスクもまだ23歳である。アーセナルが経営難で資金がないことが理由の一つではあるが、それが逆に面白いサッカーをすることにつながっている。


ではアーセナルはなぜこんなにも強いのだろうか?
私はアーセナルの強さを3つ考えている。


1.一人一人のテクニックが高い
2.パスを出した選手は必ず走る
3.インターセプトの数が多い


まずアーセナルは一人一人のテクニックのレベルがものすごく高い。というよりもテクニックが高くなければアーセナルに入ることはできない。特にドリブルやボールキープのテクニックがものすごく高いため、少しフォローが遅れてもボールをとられることはない。


そしてその選手が2タッチ、3タッチでボールをまわし、その後必ず次のスペースへ走る。ボールをキープできる選手が少ないタッチでボールをまわし、その後走るのだから、ディフェンスとしては溜まったものではない。しかもアーセナルの選手は走った選手を単純にワンツーで使ったりはしない。基本的にはその選手をおとりにして、その選手が元々いたスペースに入ってきた次の選手を使うのである。


よってこれを繰り返していくだけで、いつの間にか前線にいる味方の数が多くなる。また一人一人のキープ力があるためボールを取られることはほとんどなく、後はそれぞれのアイディアでゴールに迫る。


またボールを取られたとしてもその後が速い。パスを出した選手はスペースに走っているため相手も一緒についてくる。またパスを出した選手がいたスペースは次の選手が必ず入っている。よってボールを取られたとしても、相手の人数は少なく、味方の人数は多いのである。そこですぐにプレッシャーをかけることで、ボールを前に生かせない。前に行ったとしても雑なボールになるため、必ずDFがインターセプトを狙っている。よって波状攻撃がとても多いのである。


このサッカーはおそらく平均年齢が高いチームではできない。こんなにも運動量を多くすることは難しいし、前線に飛び出していく思い切りのよさも、若い選手のほうが高い。よって今のアーセナルのチーム状況に合った戦術だと思う。このチームを毎年作っているアーセン・ベンゲルは本当に天才だと思う。アーセナルのトレーニングは『ベンゲル・ノート』という本に書いてあるが、そこまで変わったトレーニングをしているわけではない。どうやったらあのサッカーができるのかがとても興味がある。またどうにかして日本代表の監督に抜擢できないだろうか。

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本田圭佑のワントップ

日本代表がワールドカップの第1戦でカメルーンに勝利した。勝利の立役者としてワントップに起用された本田圭佑を上げる人は多いだろう。


本田圭佑をワントップに置くことは岡田監督にとって大きな賭けであった。なぜならそれまでは岡崎、森本、玉田など、もともとフォワードの選手をワントップに置いていたからである。しかし本田圭佑はもともとフォワードの選手ではない。トップ下、もしくはウイングの選手である。


しかし『4-2-3-1』著者の杉山氏が言うように、ワントップ本田圭佑という案は昔からあった。なぜなら一番フォワードに向いている性格、プレースタイルだからである。本田圭佑は日本には珍しく「俺が、俺が」という選手である。またプレースタイルもドリブルから強引にシュートまで持っていく力がある。つまりもともとのフォワードよりもフォワードらしかったのである。


実はこのようにもともとトップ下の選手をワントップに置くシステムは他にもあった。それがスパレッティが監督だった時のローマである。この時のワントップはローマの王子様トッティだった。この時のシステムは4-6-0(ゼロトップ)と言われ、イタリアでもかなり注目された。


この時のローマはまずトッティにボールを集める。トッティはボールキープ力も高く、パスも出せるのでそこからいろいろなボールが出てくる。そしてウイング、トップ下、センターハーフなどの選手が次々にトッティを追い越していく。そして最後にはトッティがゴールを決めるシーンもたびたびあった。


この姿は現在の日本代表とも重なる。まずは本田圭佑にボールを集め、そこでキープをしてもらう。そしてサイドの大久保、松井、2列目の遠藤、長谷部などがそこに絡んでいく。カメルーン戦の決勝ゴールも、本田がボールをキープし、それを遠藤に渡し、遠藤がサイドの松井に振って、そのセンタリングを本田圭佑が決めたものだった。まさに日本代表版ゼロトップが機能した姿だと言える。


しかしこのシステムの弱点は、ワントップの選手の能力がチームの攻撃力を決めてしまうことである。まずはワントップにボールが入るため、そこでボールをキープできなければ効果的な攻撃はできない。またもともとトップ下の選手が本当にポストプレーを出来るのかという疑問も残る。次回のオランダ戦では、正直言って本田圭佑がどれだけボールをキープできるかにかかっている。それが機能すれば日本代表にもチャンスがあるだろう。

アンカーというポジション

現代サッカーではアンカーというポジションがとても重要視されている。アンカーとは船の碇という意味だが、サッカーの場合は中盤の真ん中で相手の攻撃の芽を摘む役割を果たすポジションである。4-3-1-2や4-3-3では3の真ん中のポジションになる。


アンカーというポジションは最近出てきた言葉である。おそらく最初にアンカーというポジションを確立したのはバルセロナのマルケス、Y・トゥーレ、チェルシーのマケレレあたりだと思う。3人ともボールをつなぐことも上手いが、ボールを奪うことのほうが得意な選手である。センターバックでもやっていけそうな選手がアンカーをやることが多い。


日本の中では岡田監督がマリノスを率いていた時の那須がアンカーの役割を果たしていた。最近では阿部を日本代表でアンカーとして使ったのが功を奏した。


現代ではアンカーのポジションに守備的な選手を置くことが多い。しかし以前まではパスをしっかり回せる選手をボランチに置くことが多かった(現在は中盤の守備的な選手をアンカー、ボールを回す選手をレジスタと呼んだりする)。代表的な選手とすれば、グラルディオラ、レドンド、ピルロ、シャビアロンソ、などがいるだろう。これらの選手は中盤のポゼッションの時に欠かせない選手であった。


しかしこれらの選手の弱点は守備ができないところである。アンカーは中盤の真ん中にいることが多いが、相手のカウンター時に相手を遅らせる役割を果たす。しかしこれらの選手では守備能力が低いため、その役割を果たすことが難しい。だから相手のカウンター対策のために守備ができる選手をアンカーに置いているのだろう(これは現在の得点の約3割がカウンターから生まれているということに対する対策である)。


そのため中盤でパスを回す選手はポジションが1列前に置かれることになった。つまりセンターハーフの役割に変わったのである。これは現在のセスク、シャビ、遠藤などを想像すればよいだろう。そして中盤からのビルドアップはセンターバックの選手が行うことになった。これはファーディナンド、フェルメーレンなどを想像すればよい。つまりパスを回す役割を、ボランチ一人から、センターバック、アンカー、センターハーフの3人で分業したのである。


日本ではアンカーの役割を果たせる選手がまだいない。特にヘディングが弱い選手が多い。これからはアンカー的な選手を育成することがカギになるだろう。

4-1-4-1は守備的か?

日本代表の岡田監督が4-1-4-1のシステムを試すらしい。アンカーの位置には浦和レッズの阿部を起用する。メディアではこれを守備的な布陣だとしている。そもそもボランチが長谷部と遠藤だったから守備的になったと思われるのは当り前である。しかしサッカーの場合そう単純ではない。


なぜならアンカーの阿部がいることにより、今まで以上に遠藤と長谷部が攻撃に関わることができるようになるからである。今まではダブルボランチだったため、長谷部と遠藤のどちらかが上がってどちらかが下がるという役割を果たしていた。しかしアンカーに阿部がいることにより、遠藤と長谷部はおもいっきり良く上がることができる。彼らは日本代表の中でもトップクラスのオフェンス力を持っているので、前線にFWを置くよりも攻撃力は上がる可能性がある。だから一概に4-1-4-1のシステムが守備的だとは言えない。


これは今年のアーセナルを見ればよくわかる。今年のアーセナルも4-1-4-1(4-3-3)のようなシステムを採用していた。アンカーの位置にはカメルーン代表のソングがいた。それにより今までボランチだったセスク・ファブレガスが自由に攻撃に参加することができるようになった。セスクが今年たくさんの得点を取ったのは、ポジションが一列前に上がったからである。そして結果的にアーセナルの攻撃力は爆発した。


システムを変更したからといってそれが守備的な布陣だとか攻撃的な布陣だとか言うことにはならない。むしろ誰がどのポジションになったのかのほうが重要である。この間違いはマスコミなどサッカーを中途半端に見ている人に限って起こりがちである。サッカーとはそんなに単純なスポーツではないのだ。

プレー原則の重要性

前回は4-3-3や4-2-3-1などフォーメーションについて詳しく分析してみた。しかし私自身は、フォーメーションというのは試合の時によって変化するものだと思っている。よって私にとってどれが一番良いフォーメーションなのかはその時によって違う。


ではチームにとって一番大事なものは何なのだろうか?モウリーニョはシステムやフォーメーションよりも、プレー原則のほうが大事だとしている。


「あなた方はいつもシステムについて話をしたがる。しかし、私の仕事はシステムではなく、プレー原則をチームに徹底することだ。システムは変わりえるが、プレー原則は常に変わらない。より根本的な原則だからだ」(『モウリーニョの流儀』p99)


これはシステムやフォーメーションの議論が好きな日本人にとっては驚きの発言だろう。モウリーニョは極論システムなんてどうでもよいと思っている。モウリーニョにとって大切なのはシステムではなく、プレー原則だからである。ではプレー原則とは一体何なのだろうか?


「重要なのはどんなサッカーがしかいのかだ。チームがある試合で、あるいはあるシーズンに、どんなサッカーを目指すのかというのは、システムではなくプレー原則の問題だ」(『モウリーニョの流儀』p99)


これによれば、プレー原則とはチームがどのようなサッカーをするかということみたいである。例えばバルセロナであればポゼッションを中心とした攻撃的なサッカーがプレー原則になる。またイタリア代表であれば、カテナチオを中心とした堅い守備がプレー原則になる。よって監督にとって、このプレー原則をどこまで統一できるかが勝利のカギを握る。またモウリーニョはこのプレー原則をもっと細かく分解している。


「ゾーンで守るかマンツーマンで守るか、高いブロックで守るか低いブロックで守るか、ポジションチェンジを許容するかしないか、縦に奥行きのある陣形で戦うか横幅のある陣形で戦うか、ロングパスとショートパスのどちらで攻撃を組み立てるか―。これらがプレー原則だ」(『モウリーニョの流儀』p99)


なるほど。モウリーニョに言わせれば、これらの二項対立をどのように組み合わせるかでチームのプレー原則が決まってくる(もちろん二項対立はこれで全部ではないだろうが)。そしてこのプレー原則が決まってから初めてチームのシステムが決まってくる。


日本人はウイニングイレブンをやっているせいか、まずシステムのことが頭に浮かぶ。そしてチームの成績が悪いと簡単にシステムをいじる。しかしモウリーニョにとって大事なのはシステムではない。大事なのはプレー原則である。実はこのことは戦術的ピリオダイゼーション理論にも当てはまる。次回はそのことについて説明する。




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4-2-3-1の可能性2

4-2-3-1では、選手はどのような動きをするのだろうか?ここでは私が考える4-2-3-1での選手の動き方を書いてみる。


・攻撃時

まずワントップにボールを集めることになる。そしてワントップにボールが集まった瞬間にトップ下、サイドハーフの3人がそれをフォローする。フォローの方法にも2種類ある。ボールを後ろに落としてもらう場合と、ボールを相手ディフェンスの裏に出してもらう場合である。ただワントップへのプレスはとても激しいため、そのまま反転してボールを裏に出してもらうことは難しい。よってワントップは一回ボールを後ろに戻し、そこから相手ディフェンスの裏にボールを出してもらうことが多い。


問題はどこにボールを出すかである。私のチームでは相手サイドバックの裏にボールを出し、サイドハーフを走らせる方法を用いている。そしてそれを同サイドのサイドバックがフォローする。ゴール前にはワントップ、トップ下、逆サイドハーフの3人が飛び込む。そしてボランチ2人のうち1人はゴール前に詰め、もう一人はスペースを埋める動きをする。ディフェンスは上がったサイドバック以外の3人でスリーバックを作ることになる。よってカウンターに備えて、3バック+1ボランチはリスクマネジメントとして後ろに残る。


私のチームではサイドからの攻撃をメインにしているので、ボールサイドのサイドハーフは必ずタッチライン沿いまで開くことにしている。逆サイドのサイドハーフは少し中にポジションをとり、トップ下と同じような位置から前線に飛び出す。プロにチームによっては、逆サイドハーフもサイドに張っている場合もある。これはそこにサイドチェンジをすることで、相手ディフェンスをずらすことを目的としている。しかし私が教えているのは小学生なので、そのようなサイドチェンジは蹴ることができない。だから逆サイドのサイドハーフはちょっと中にポジションを取らせている。またワントップは最終ラインぎりぎりにポジションを取り、攻撃に深さを作る。そしてゴールエリアの幅ぐらいで左右に動く(基本的にはボールサイドに少しだけ寄る)。トップ下はワントップが空けたスペースに2列目から飛び出すことで、相手ディフェンスを混乱させる。


・守備時

4-2-3-1はバランスよく選手が配置されているので、プレッシングはやりやすい。相手センターバックにはワントップ、サイドバックにはサイドハーフ、ボランチにはトップ下がプレスをすればそれだけでも簡単なプレッシングになる。私のチームでは相手のボールをサイドに出させるようにしている(これはそれぞれのチームによって異なる)。そしてサイドハーフがプレッシャーをかけるところからプレッシングが始まる。そしてラインを高く保ち、逆サイドが真ん中ぐらいまで絞ることで、非常に狭いスペースを作る。そしてサイドハーフ、ボランチ、サイドバックの間ぐらいでボールを奪う。


これはあくまでも私のチームでの4-2-3-1である。しかしおそらく4-2-3-1を用いるチームならばそれほど選手の動き方は変わらない気がする。ちなみに私はリバプールの動き方を模範している。だから日本代表みたいにボールサイドのサイドハーフがむやみに中に入ってくることはない。日本代表はサイドハーフのポジションにトップ下の選手が入っているため、どうしても中にポジションをとりたがる。中村俊輔などは右サイドから中に入ってくるプレーが特徴的である。しかしこれでは攻撃が中からになりやすい。もちろん開いたスペースにサイドバックが飛び出してくればそれでよいのだが、それでも攻撃は中がメインになってしまう。私はサイドから攻めることを目的としているので、ボールサイドのサイドハーフは必ずタッチライン上に開かせるようにしている。


このように同じ4-2-3-1でもその指導者の考え方によって選手の動き方は異なる。だからこそ、指導者がどのようなコンセプト(サイドから攻めるのか中央から攻めるのか、前線からプレスをかけるのかリトリートするのか)の元にチームを作るかが一番大事である。これはモウリーニョも言っている。大切なのはフォーメーションではなく、チームのコンセプト、原則であると。次はこのことについて書いてみる。


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4-2-3-1の可能性

昨日は4-3-3のことについて書いたので、今日はそれと同じぐらい使われている4-2-3-1について分析する。4-2-3-1については『4-2-3-1』という本が出ているくらいなので、多くの人が知っていると思う。おそらく4-2-3-1が流行りだしたのはスペインリーグが最初であろう。


いつのスペインリーグかというと、フィーゴがバルセロナからレアル・マドリードに移籍したときぐらいのスペインリーグである。このときのスペインリーグは、レアル・マドリード、バレンシア、ディポルティボ・ラコルーニャが4-2-3-1を用いていた。現在ではベニテスが指揮するリバプール、フランス代表、オランダ代表、ブラジル代表、そして日本代表などで4-2-3-1が用いられている。


このときのレアル・マドリードは4-2-3-1を用いて成功していた。ワントップにモリエンテス、トップ下にラウル、右にフィーゴ、左にマクマナマン(サビオ)という形である。しかしこれが意図的に用いていたのかはわからない。なぜならトップ下のラウルはフォワード登録だったからである。


ラウルという選手は純粋なフォワードではない。どちらかというとチャンスメーカー的な役割を果たすことが多い。しかし点も良く取る。前線からしばしば中盤に下がってきて、そこでボールをさわり、そしてゴール前に飛び込んでくる。ディフェンスにとっては一回前線から消えるので、すごくマークがしずらい。


4-2-3-1は基本的には4-4-2と同じである。しかしフォワードが一人下がってくることにより中盤に厚みを持たせている。4-4-2に場合はどちらかのフォワードが中盤に下がってくることが多いが、4-2-3-1の場合はそれが最初から分担されている。ワントップで前線に張るフォワードと、中盤に下がってくるフォワードという風にである。これはもしかしたら4-4-1-1と書いたほうがわかりやすいかもしれない。


しかしそれとは異なる4-2-3-1もある。それが現在のリバプールである。リバプールはワントップにフェルナンド・トーレスを使い、トップ下にジェラードを使っている。ジェラードはもともと中盤の選手なので、ラウルのようにフォワードが行うような仕事はできない。よってフォワードが中盤に下がってくるという動きよりも、中盤の選手が前線に飛び出していくという動きになる。よってこちらのほうが4-2-3-1という数字が合っている気がする。


日本代表もトップ下に本田を使うか中村憲を使うかで戦術が結構異なる。本田の場合はプレースタイルがフォワードに近いので数字的には4-4-1-1になることが多い。しかし中村憲はもともと中盤の選手なので4-2-3-1になることが多い。これはどちらが良いというわけではない。相手によって変化させれば良いからである。


では4-2-3-1や4-4-1-1においては、実際の選手はどのような動きになるのだろうか?次のページで詳しく分析する。




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4-3-3の可能性

今日は名古屋グランパスVSガンバ大阪の試合をテレビで見ていた。グランパスは今シーズンから4-3-3のフォーメーションにしたらしい。実況がしつこくそのことについて語っていたので、今回は4-3-3について少し考えてみることにする。ちなみに名古屋グランパスのスタメンは次のようになっていた。


GK:楢崎
DF:田中、増川、闘莉王、阿部
MF:吉村、小川、マギヌン
FW:ケネディ、玉田、金崎


4-3-3のフォーメーションは最近の流行である。有名なのはバルセロナの4-3-3である。バルセロナはカンテラ世代から4-3-3でフォーメーションを固定しているため、「バルサといえば4-3-3」というのが通説になっている(以前は3-4-3も使っていたが)。


最近ではアーセナルも4-3-3を用いている。ベンゲルは以前からずっと4-4-2で戦っていたが、それを変更したのでとても驚いた。それだけ現在の流れが4-3-3に向かっているということだろう。そしてモウリーニョもチェルシー時代に4-3-3を用いていた。モウリーニョはインテルでも4-3-3を用いようとしたが、現在では4-3-1-2を使っている。


ではなぜ4-3-3が流行っているのだろうか?おそらく理由は3つある。


1.トライアングルがたくさんできる
2.バランスがとりやすい
3.相手ディフェンスラインへのプレスがかけやすい


1.トライアングルがたくさんできるのは、実際にフォーメーションを並べてみればよくわかる。トライアングルがたくさんできればできるほど、ボールを持った選手のパスコースが増える。よってパスを良くまわすチームにとっては有利なフォーメーションになる。バルセロナやアーセナルが4-3-3を用いるのは必然的である。


2.バランスがとりやすいのは次のような理由による。まず4-3-3ではサイドに必ず2人の選手がいることになる。またアンカーの位置にいる選手(グランパスでは吉村、チェルシーではマケレレ)が必ずディフェンスラインの前にいることにより、カウンターをケアすることができる。そしてサイドバックがあがったときには残りのディフェンス3人+アンカー1人で対応することができる。また中盤の2人はオフェンスにもディフェンスにも参加することができるため、ランパードやシャビのような選手にはもってこいである。このように一人ひとりの役割がわかりやすく、ピッチ上にバランスよく選手を配置できるのが4-3-3の特徴である。


3.相手ディフェンスラインへのプレスがかけやすいというのは、現在のフォーメーションでは4バックの場合が多いからである。相手が4バックの場合、こっちはサイドバックの上がりをケアすることが重要になる。なぜなら現代サッカーのサイドバックはボールを触る回数が多く、そこからビルドアップが始まることが多いからである。よってこのサイドバックにうまくプレッシャーがかかれば、相手のビルドアップを遅らせることができる。しかしこちらが2トップの場合、2人で4人を見なければいけないため、かなりの運動量が要求される。それだったら3トップにして、ウイングにサイドバックをマンマーク的に付かせたほうが効率が良い。これが最近3トップが流行っている理由である。


このように4-3-3はとてもメリットが多いフォーメーションである。そしてそこまで多くの弱点は見当たらない。私が考える弱点は次の2つである。


1.センターフォワードにキープ力が必要
2.相手ボランチへのケアができない


1.センターフォワードにキープ力が必要というのは、4-3-3のウイングは守備をしなければならないことに理由がある。攻撃の時には4-3-3になるが、守備の場合は相手サイドバックの上がりにウイングが付いていかなくてはならない。つまり守備の時には4-5-1のようになる。よってカウンターをする場合にはワントップにボールをキープしてもらわなければならない。実際4-3-3を使っているチームには優秀なセンターフォワードが多い。バルセロナのイブラヒモビッチ、アーセナルのファンペルシー、チェルシーのドログバなどがその典型である。


2.あいてボランチへのケアができないというのは、アンカー以外の2人の動きによるものである。この2人はとても運動量が必要なポジションである。オフェンス、ディフェンスはもちろん、サイドのケアもしなければならない。よってどうしても2人が両サイドによる形になってしまい、真ん中が開いてしまうことが多い。ここを相手のボランチに利用される可能性が多くなる。モウリーニョのインテルは昨シーズンここのケアでてこずっていた。


以上が私の4-3-3の分析である。まだまだ4-3-3の長所・短所はあると思うのでもし何かあればコメントして欲しい。今日見た限りでは名古屋グランパスの4-3-3はそれなりに機能していた。両サイドの玉田、金崎にキープ力があり、センターフォワードがケネディであるから当たり前といえば当たり前である。いずれにせよ今後のグランパスはとても楽しみである。

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なぜ4バックが流行っているのか?

なぜ3バックは流行らないのか?」では3バックが流行らない理由を説明した。ではなぜ3バックではない代わりに4バックが流行っているのだろうか?


昔は2バックというものがあった。またトルシエ時代には5バック気味のフォーメーションもあった。しかし現在では3バックではなければ4バックというのが当たり前である。


これには2つの理由がある。1つ目はピッチの横68メートルをカバーするのに、4人1列が一番適当だということがだんだんわかってきたからである。現在はディフェンスラインに4人1列、中盤に4人1列を並べる4-4-2、もしくは4-2-3-1などが流行している。


「4人のフラット型ゾーンディフェンスと、その前面に4人のハードワーカーを配する。この4人×2ラインの守備組織は、どのチームにも共通する近年の傾向になっている。残り2人のフィールドプレーヤーをどこに置くかはチームによるけれども、8人のハードワークで隙を作らない戦術が支配的だ」(『戦術クロニクル』p218)


2つ目は4バックといってもその時々によって変化させることが可能だということである。例えば相手が3トップの場合、こちらが4バックであれば1人余ることができる。また相手が2トップの場合、こちらのサイドバックが1人中盤に上がれば良い。そうすれば2トップに対してセンターバック2人+サイドバック1人の3人で対応することができる。近年のサイドバックは攻撃ができる選手が多いので、中盤に挙げてもさほど問題はない。そして相手が1トップの場合は2人のサイドバックを中盤に上げる。そして2人のセンターバックで1トップを見ることになる。


このように4バックは比較的応用がしやすい。しかし3バックはこの応用がしにくい。例えばこちらが3バックで相手が3トップの場合、こちらの中盤の選手をディフェンスラインに下げる必要がある。しかし中盤の選手でディフェンスをできる選手というのはそこまで数が多くない(日本代表の阿部、今野ぐらいである)。またポジションを下げるというのは、後ろを見ながらのプレーになるためやりにくい。


現在4バックが流行っている理由はおそらくこの2つである。私のチームでも4バックを採用しているし、プレミアリーグのチームで4バック以外を用いているチームは見たことがない。ディフェンスラインは4バックというのは今後も揺るがないだろう。



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なぜ3バックは流行らないのか?

現在のフォーメーションは4バックが明らかに多い。そして3バックを使っているチームはどんどん少なくなっている。いったいこれはなぜなのだろうか?


現在Jリーグで3バックを使っているのはサンフレッチェ広島のペトロビッチ監督ぐらいではないだろうか?後はアントラーズもガンバもグランパスもフロンターレもすべて4バックである。


トルシエ前日本代表監督の時にはフラット3というものが使われていた。これはその時代にセリエAで流行していた戦術であり、3バックをフラットに並べることによりディフェンスラインを統率するやり方である。しかしこのフラット3も最近は見られることがない。


「そもそも3バックというのはなぜ生まれたのだろうか?」というところからこの問題を考えてみる。3バックは明らかに2トップに対応するために作られたフォーメーションである。つまり2トップに対して2人のストッパーが付き、残りの1人が後ろで余るという形を取ることで、数的優位を作ることを意識している。またフラット3の場合は2トップに対して3人のゾーンで守ることになるが、これも数的優位を作るという意味では同じである。


しかし現在のフォーメーションは2トップが主流ではなくなってきている。Jリーグでもプレミアリーグでも3トップ、1トップ、もしくは3トップ気味の1トップなどが主流になってきている。よって2トップに対して数的優位を作るための3バックという存在価値はだんだん薄れてきている。


例えば相手が1トップの場合、3バックのディフェンスラインには2人余ることになる。そうすると中盤で相手に数的優位を作られてしまうため、相手に主導権を握られてしまうことになる。また相手が3トップの場合、3バックのディフェンスラインには人が余らなくなる。そうするとこちらのディフェンスラインで相手に数的同数を作られてしまうため、1人かわされたときのリスクが大きくなってしまう。


このように相手が1トップ、3トップの場合だと、3バックは完全に相性が悪い。これが現在では3バックが流行っていない理由である。




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「攻守の切り替え」が一番大事

「攻守の切り替え」はポストモダンなサッカーの中で一番大事なキーワードである。


バルセロナはジョゼップ・グアルディオラが監督になってから復活し、チャンピオンズ・リーグで優勝した。多くの人はメッシ、イニエスタ、シャビなどのテクニックがすごいから優勝したと思っているが、私はそれだけではないと考えている。バルセロナを復活させたのは「攻守の切り替え」の徹底である。


バルセロナの前監督はフランク・ライカールトであるが、そのときのバルセロナには「攻守の切り替え」が徹底されていなかった。まずロナウジーニョは守備をしないし、ディフェンスもまずはリトリート(自陣に戻ること)することを意識していた。なぜならボールポゼッションが高いため、そこまで守備のことを考えなくても良かったからである。


しかしそれではだんだん勝てなくなってきた。多くのチームがバルセロナと戦うときにはゴール前を固め、カウンターで点を取ることを目指してきたからである。これはモウリーニョ時代のチェルシーがチャンピンズリーグでバルセロナを下したときが記憶に新しい。そしてロナウジーニョの不調とともにバルセロナは負けが込み、ライカールトは解雇されることになる。


ライカールとのあとを継いだグアルディオラは、バルセロナの高いポゼッションはそのままに、ボールを取られたときの「攻守の切り替え」を徹底した。つまりボールを取られた瞬間に、その周りにいた2,3人がすぐプレッシャーをかけるようになったのである。これが一番良く現れたのがチャンピオンズリーグ決勝バルセロナ対マンチェスター・ユナイテッドの試合である。この試合ではマンチェスターのカウンターがほとんど出なかった。これはバルセロナの「攻守の切り替え」が早いために、ボールを後ろに戻さざるを得なかったからである。


強いチームは必ず「攻守の切り替え」が早い。カウンターが得意だったモウリーニョ時代のチェルシーは守備から攻撃への切り替えが早かった。逆にプレッシングが得意なマンチェスター・ユナイテッドは攻撃から守備への切り替えがものすごく早い。そして両方を兼ね備えた現在のバルセロナが一番ポストモダンなサッカーをしている。


「攻守の切り替え」、これこそがポストモダンなサッカーのキーワードである。



テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

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プロフィール

吉田憲吾

Author:吉田憲吾
2006年より坂本SCで小学生にサッカーを教えている。日本サッカー協会公認指導者ライセンスC級(サッカー、フットサル)取得。2010年より日本ヒューレット・パッカード(HP)株式会社でStorage Salesを担当。TOEIC850点。

主なブログ:
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